子供向けのテクスチャを貼られた大人向け作品
今回結構記憶が曖昧だから間違っている表現があるかもしれない。あと、『神様ゲーム』の若干のネタバレを含みます。気になる人は読んでから出直してください。面白いよ!
小学生の頃の僕はかなりの読書家だった。そのため両親(特に母)は、よく僕に本を買ってきてくれた。母なりに本を選ぶ基準があったようで、難しすぎる本や、過激な描写がある本は基本的には買い与えられなかった。しかし、母フィルターをすり抜け、当時小学六年生だった僕の元にやってきた過激すぎる本が一冊ある。それが、『神様ゲーム』だ。
本作は子供向けと銘打たれたミステリ小説で、おそらく母も
「子供向けなら問題はあるまい」
と、買ってきたのだろう。
僕は読んだ。そして打ちのめされた。
本作はまず、小学校のクラスメイトが井戸の下で死んでいるところから始まる。主人公たち探偵団がその犯人探しをする、という話だ。
主人公はその過程で神様を名乗る同級生と知り合う。神様はぴたりと犯人を言い当て、罰を下すこともやぶさかではないという旨の発言をして、実際に犯人はそれからしばらくして主人公達の前で串刺しになって死ぬ。このシーン、かなり描写が残酷で、一、二度しか読んでいないにも関わらずかなり記憶に残っている。
出版社が、
「子供向け!?どこがじゃーい!」
というツッコミを期待していた可能性は、正直ある。映像にすれば100%R18だし。しかし、母はそれを見抜けず、僕に買い与えてしまった。そういうこともある、といえばそれまでだが、「子供向けと言っておきながら実は大人向けです」という作品は、実際に見た子供、あるいはその親が大変そうだな、と思う。僕は子供向け風味の大人向け作品を買われたことになんとなく気がついたため、黙って読んだが。
ところで、苦情とかは大丈夫だったんだろうか?うっかり読んだ子供も少なからずいるだろうし、その内容を聞いた親が烈火の如くクレームを……というのは想像に難くない。しかし、子供向け作品で人がエグい死に方をしていてるというクレームは、妥当と言えば妥当な気もするし、やっぱり謝ったんだろうか。
話がとっ散らかってしまった。そろそろ終わろう。
子供向けのテクスチャを貼られた大人向け作品は、少し間違えれば白ける非常に難しいものだ。大人向けエッセンスもただ残酷であればいいというものでもなく、書き手の手腕が過剰なくらい反映されやすい。
その点、『神様ゲーム』は、悪趣味な残虐描写で逆張りするだけの作品とは異なり、きちんとミステリを扱っている、考察のしがいがある作品となっている。ぜひ読んでみて欲しい。