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原作未読のゲーマーは「OVERLORD: ESCAPE FROM NAZARICK」を楽しめるか?【レビュー】

まず、これを書き始めた時点でのプレイ時間は6時間。ひとまずエンディングまで駆け抜けて、書きながら収集要素を集めている状況です。例によってセール中なので、それに間に合うように書き進めていますから、やり込めていない点はご容赦を。

ついでにもう一つご容赦いただきたいのですが、タイトルにもあるように原作は未読未視聴で、このゲームを始めた時の知識レベルとしては

  • ライトノベルが原作でアニメも何期かやっている

  • サービス終了したネトゲ世界に転移する、変則的な異世界転移もの

  • OPに出てくる骨の人(?)が主人公で、ありえんくらい強いらしい

程度です。一応、この記事を仕上げるために少しだけ情報を入れたんですが、にわかどころかほぼゼロですね!

なので、なるべく客観的に書くようにはしますが、あくまでも原作を知らないがこのジャンルのゲームが好きな人が、同じような人に向けて書いているという前提で見て頂ければと思います。つまり、原作が好きな人にとっては愉快ではないかもしれないということです。

例によって例のごとく、今回も目次から【まとめ】に進んで頂ければ、短くまとめた内容にアクセスできますので、お忙しい方はそちらをどうぞってことで行ってみましょう!


■ストアページ

■紹介&感想

というわけで改めてゲームの説明をしましょう。ゲームのジャンルとしては探索型アクションゲーム。いわゆる「メトロイドヴァニア」というやつで、プレイヤーは主人公の戦士クレマンティーヌとして、ニラザック大墳墓と呼ばれるアンデットクリーチャーがひしめく巨大なダンジョンからの脱出を目指す。というのが概要になります。

ゲームの流れとしては下層から上層に向けて直線的な進行をしているので攻略の自由度は低め。探索要素はあるし、前のステージに戻った時に追加で収集できるものもあるけど、本筋の進行としては一方向に進んでいくタイプのマップ構成ですね。詳しくは以下の画像をどうぞ、序盤のマップです。

マップに関しては四角形の繋がりで表示されるんですが、その部屋にある重要なオブジェクトや一方通行の表示はされていていい感じ。ただ、扉で分けられていない場所がほとんどなので、部屋と部屋の境界線はちょっと分かりにくいかも。

主人公であるクレマンティーヌはなかなかいいキャラしていますね。彼女はオープニングで謎のアンデットに倒されたはずが地下迷宮の最下層で目覚め、そのアンデットから脱出を行うように促されるわけなんですが、反骨精神の塊(まぁ敵も骨ですし)のような女性で見ていて面白い。
そもそもあまりセリフのやりとりが多いわけではないのですが、その数少ないやりとりの中でもボスを煽りまくったり、油断させるために皮肉を放ってみたりと、ダーティながらも強かで好感が持てます。原作でも人気のキャラなんですかね?ゲームの主人公に抜擢されるくらいだし、そこそこ人気はあるんでしょう。

ゲーム部分に直結する性能としては、短剣、直剣、大鎚など様々な得物を扱うものの、メインウェポンは「スティレット」と呼ばれる刺突用の短剣。身軽な装備からしてもファンタジー的なジョブでいえば、シーフやアサシンといったイメージ。
その身軽さを意識したのか本作は移動のシステムにも力が入っていて、例えばちょっとした起伏であればダッシュすることで自動的に乗り越えてくれますし、鉄棒ジャンプや壁キック、ワイヤージャンプなど軽快なアクションが豊富で、これを駆使してステージを踏破していく面白さは本作の良い点の一つです。
武器だけではなく、ゲームの進行に応じて「炎」「雷」「氷」の魔法も使えるようになり、それぞれの魔法は、発動することでスティレットで魔法弾を放ったり、セットしているだけで各属性の攻撃を無効化できるようになる(例:炎魔法を装備していれば、地面から噴き出す炎を無効化)とアイディアは面白いと思います。

先程触れた「スティレット」という武器、ゲーム的には固定装備で変更できないというのも特徴の一つ。装備スロットは2枠あるんですが、メインがスティレットで固定、サブウェポンとして短剣、直剣、大鎚などを選択できるのですが、数値的に見ても使い勝手にしてもスティレット弱いんですよね…
一応パワーアップ要素もあるのですがこれも収集要素の一つで任意取得(つまり取り逃す可能性もある)ですし、強化した他の武器のほうが強いのですが、上記の魔法を使えるのがスティレットのみのなので、使用を半ば強制される仕様になっています。
どうもこの武器はクレマンティーヌの象徴的な武器らしく、その表現の為にこういったシステムになっているのだと思います。それは原作の要素なので否定する気はないんですが、どうにも愛着がわきにくいです。

その他にもアイディアはいいのに惜しいな。と思う部分が幾つかありまして、パルクール的なアクションの一つに敵の手前で回避を行うと頭上を飛び越えて背後を取れるというものがあるのですが、そもそも判定がシビアだし、背後をついてもすぐ振り返ってしまうのであまり意味がないように感じます。

例えば、背後から攻撃したときに与えるダメージが上がるとか、相手が一瞬でもスタンするとかなら積極的に使う理由にもなりますよね。

魔法による属性変化に関しても、それぞれの魔法に使用回数があるというのがネックになっていて、ギミックを解くのに多用するので、使用回数を意識してしまい戦闘ではあまり使えないというのも惜しいです。
一応使用回数を回復するアイテムはあちこちに設置されているのですが、探索型アクションゲームはこの先の地形がどうなっているか分からないことが前提のゲームなので、ちょっとちぐはぐな感じがします。

もう一つ、あまり良くないなと思う点を挙げておきます。本作は戦闘や本筋の探索はそこまで難しくないものの脇道にそれた瞬間難易度が急激に上がりまして、これに関しては動画を見てもらったほうが早いのでこちらをどうぞ。

どうでしょう。もちろんやりこみ要素だから難しいと言われればそうなんですが、ここまでくると「Celeste」とか「スーパードンキーコング」なみのアスレチックですね。
こんな感じでこのゲーム、原作ファン向けのライトゲーム、探索型アクションゲーム、高難易度プラットフォームアクションの要素が混ざっているような印象を受けるんですけど、この難易度の振れ幅であったり、上記の魔法の使用回数など、ちょっとバランスがちぐはぐな感じがするんですよね。

最後に、原作に関する知識の有無で評価が分かれそうな点も軽く書いておきます。
まず、本作のメインの収集要素。これはオープニングで無くしたクレマンティーヌの記憶の断片になるのですが、実際はアニメにおける彼女の登場シーンを一枚絵として切り取ったもののようです。

▲いい笑顔してますよね。どういう状況か分かりませんが。

個人的な感想ではありますが「これだけ見せられても…」というのが正直なところ。これなら原作が小説ということを活かして文章を持ってきてくれたほうがバックボーンの解説も出来ていいような気がします。版権的に難しかったりするんですかねぇ…

あとはストーリーの結末についても原作ありきな内容なのでちょっと評価が分かれると思いました。こういった要素が動機としてどの程度働いてくれるかが、このゲームを好きになれるか、やりこめるかの分水嶺になるかも。

■まとめ

◇良い点

  • パルクールアクションやワイヤーなどアクションのアイディアは良い。

  • クレマンティーヌのキャラクター性は好感を持てる。

◇良くない点

  • アイディアはいいが、システムの練り込み不足が目立つ。

  • 一部アスレチックの異様な難易度。

◇総評

多少の起伏をものともせず、ワイヤーアクションや壁キックを駆使した軽快なアクションは面白く、それを使って敵を翻弄したり探索をしたりと光る部分は多くあります。ただ、システム全般が練り込み不足というか荒っぽく、快適なゲーム性とは言い難い出来になっていて、その点は惜しいですね。

難易度としてはノーマルでストーリーをクリアするだけならばそこまで難しくはありません。主人公クレマンティーヌの機動力は高く、武器もしっかり強化しておけば火力不足になることはないはず。ダーティで強かな彼女は少ないボリュームの中でも魅力的なキャラクターです。

ただ、やりこみ要素をしっかりこなそうと思うと、一部のアスレチックは異様な難易度で牙を剥いてきますし、そのご褒美もアニメからワンシーンを切り取った画像で、これをモチベーションとできるかは疑問が残ります。

結論としては「原作知らなくても全然楽しめるよ!」とは流石に言えないし、ゲーム自体荒い部分が多いものの光るものはある。といったところでしょうか。


#ゲーム #レビュー #NintendoSwitch #インディーズゲーム


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