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メタルなようで、ソリッドじゃない、ちょびっとギアなゲーム「UnMETAL(アンメタル)」をサクッと紹介&レビュー!

[接頭]〔形容詞とその派生副詞・名詞につけて〕…でない,不…,…のない,無…

https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/un-/

メタルじゃないならなんなんだ!?

というわけで現在の進行状況なんですが、デフォルトの難易度である「ノーマル」にてメインストーリーをクリア。

収集要素やゲーム内実績を回収する段階に入っていて、ここまでのプレイ時間は約9時間。例によって例のごとく、セール期間に間に合わせるために急いでプレイした…のですが、様々な理由が重なり投稿が少し遅くなることに。次のセールはいつになるか分からないし、セール抜きでも久々に夢中になったインディーズゲームだったので紹介していこうと思います。

流れとしては一通りのレビューをした後、最後にまとめを書いています。ネタバレが気になるという人や、忙しい人や掻い摘んで読みたいという人は目次から「■まとめ」へどうぞ。

■目次


■ストアページ

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■紹介&レビュー

改めて簡単に本作の概要を紹介します。ジャンルは基本的に「ステルスアクションゲーム」。2D見下ろし視点の画面内でキャラクターを操作し、敵を回避、あるいは排除することで進んでいくという内容。

▲実際のゲーム画面

まぁいうまでもなく「メタルギア(MG)」のオマージュ作品で、主人公の名前からしてジェシー・フォックスとあちらのファンならばなんとなくニヤリとできる要素に溢れています。

▲こんな見た目とポーズですが一般人の「フォックス」さん
▲そっくりさん?(引用元:https://www.konami.com/mg/archive/mg/)

ストーリーについても触れていきましょう。物語はある国の領空に侵入したヘリコプターが撃墜される場面から始まります。

▲大☆爆☆発

そしてそのヘリコプターのパイロットをしていた男こそ主人公であるジェイミー・フォックス。無実の罪で囚われ命からがら脱出した「ただの一般人」を名乗る彼ですがもちろん信用して貰えるわけもなく尋問を受けることに。あの爆発で普通に生き残る一般人…?

というわけでこのゲームのプレイアブルの部分はジェイミーが尋問官に語る回想という形で進んでいくわけなんですが、なにせ回想なのでところどころ曖昧だったり、ツッコミどころが満載です。

面白いのが、そういう曖昧な部分やツッコミどころをバカ真面目にゲーム内に反映させているところ。例えば、このゲームはあらゆるオブジェクトに対してパンチを打ち込むことができるのですが…

▲こんなふうにツッコミを入れられることも

こういったプレイヤーの行動に対してゲーム内でリアクションをしてくる演出は「メタルギアソリッド(MGS)」の無線を彷彿とさせますが、ただのネタ演出だけではなく

▲ちなみに「!!!」を選択する真っ向勝負をすることに

といったように選択肢によるゲーム内容への介入が行える場面もあるわけです。あえて危険なシチュエーションを楽しむのも良し、都合の良い選択肢を選んで楽するのも良し。

▲選択肢によってカオスなことになることも…

まぁ画像や雰囲気からもそろそろ察しが付いたかもしれませんがバカゲーですね。分かる人にはどこぞの3のシークレットシアターみたいなノリといえば伝わると思います。回想だからこそできる暴挙なんでもアリのスタイルはとどまることを知らず、下水道に潜む半魚人や、カタコトで話す日本人の傭兵部隊と戦う羽目になったりします。

▲ボス戦の開始時には格ゲー風の演出が入り
▲場面によっては横スクロールや
▲縦スクロールSTG風のボス戦も

最初にこのゲームのジャンルのことを「ステルスアクションゲーム」と書きましたけど、こういった演出も踏まえると正確にはステルスアクションをベースにした「バラエティアクションゲーム」というのが正確ですね。

なんだか節操ないように思われますが、個人的にはこれも有りだと思っています。というのもこのジャンルのゲームってMG2で完成していて、2Dステルスアクションという軸だけでは目新しい体験を作るのがすごく難しい段階にあるはずですし、2Dか3Dかを問わず、隠れて進むのが上手ければ上手いほど単調になりやすいジレンマも持っています。

オマージュ元が映像表現を強化することでプレイヤーを魅力したように、回想という特殊な形式で物語を語ることや、過剰とも言えるユーモア、ところどころで挟まる別ジャンルパートといった工夫によってプレイヤーに飽きさせないような配慮がされているわけです。これが本作の良い点の1つ目。

次にプレイアブルの部分に関してですが、画面の構成はレーダーがない以外は「メタルギア2 ソリッドスネーク(MG2)」や、ゲームボーイカラーの「メタルギアゴーストバベル(MGGB)」とほぼ同じで、MGGBと同じくある地点まで到達するとリザルト画面が表示されるチャプター制を採用。

MGやMG2を最後に遊んだのがかなり昔のことなのでうろ覚えなんですが、中盤でキーアイテムを取りに序盤のエリアに戻らされたりした記憶があるので、チャプター制にしたのは好印象でした。

その他、ほふく前進やそれによって狭い場所に隠れるといった動作はできなくなっている代わりに、MGS以降のシリーズで定番になったローリング回避が使えるようになっています。ほふく前進は2Dだと視認性が悪いのでこれもアリな変更。

全体的にMG2とMGGBをベースにブラッシュアップされているんですが、それだけに留まらず、本作オリジナルの要素である「殺傷が完全に禁じられている」点と「レベルの要素」についても良い出来ですね。

まず殺傷禁止に関して、主人公のジェシーは「特殊部隊の工作員」でもなければ、「不可能を可能にする伝説の傭兵」でもないただの一般人なので、殺人に対して普通に忌避感を抱いています。

一応拳銃や爆発手榴弾、ロケットランチャーなど、明らかに殺る気満々な武器が登場するし扱えもしますが、ストーリー内の場面である物凄くしょうもない理由から改めて不殺を誓うことに。

殺傷武器を敵兵に撃つ事自体は可能なんですが、その場合には必ず手当をしなければならず、その際には回復用アイテムの救急パックを一つ消費します。そして手当が間に合わない場合や救急パックが足りていないなどの理由で手当ができない場合は問答無用でゲームオーバーになるわけです。

え?ただの民間人のはずなのになんでそんな物騒なものを扱えるのかって?

一度撃った相手をわざわざ治療しなくてはいけない。とだけ書くと一見メチャクチャな設定にも思えますが、ゲームバランスという点で見るとこれが意外とステルスゲームと噛み合っています。

というのも、ステルスゲームにおける殺傷武器ってバランスの取り方が難しくて、ノーリスクで撃ててしまうとゲームの難易度が下がりすぎるし、かといって制限を大きくするなどしてリスクをつけすぎると難易度が跳ね上がってしまうんですよね。

本作の場合、個数制限のある回復リソースを失うというリスクはあるものの、これ自体はそれなりの頻度で拾うことができるので、殺傷武器の性能の高さ=リターンとの釣り合いは取れているわけです。

次にレベル制に関しては、敵兵に察知される前に無力化することで経験値が手に入り、それを溜めることでレベルアップ。そうした場合、二つあるスキルのどちらかを選択し獲得できるというもの。スキルの内容は様々で移動速度を上げるものから、格闘攻撃の射程を伸ばすものなど様々な種類があります。

▲選べる道は一つだけ…

レベルアップによるヒットポイントの上昇などはないので、レベルを上げずともクリア自体は可能ですが、隠密行動を上手く行えれば行えるほど有利になるし「新たなアビリティの入手」というモチベーションに繋がるので、上達への導線になっているのも良いですね。

上記で触れた通りこのジャンルは既に成熟しきっていて、「METAL GEAR AC!D」のような別ジャンルの要素を盛り込んだものや「ボクらの太陽」などステルスがメインではない作品などに派生する事こそあれど、本作のようにジャンルそのものの進化を目指して、しっかりと面白いものが出来ているというのは凄いことだと思います。

ただ、ここまで挙げた点がオマージュ元のシステムを洗練しているのに対して、練り込み不足の点も幾つか存在しています。特に気になったのは被ダメージとその回復に関連する部分。

まずオマージュ元との大きな違いとして、あちらが使用も回復も即座に行われるのに対し、本作は使用に時間がかかる上に回復もジワジワと行われていく所謂「リジェネ」方式になっていて、回復中に被弾するとそこで回復も終わってしまう仕様になっています。

▲およそ1秒で1メモリ回復

おそらく、回復に頼ったゴリ押しを封じたり上記の「手当」関連のシステムをふまえ回復アイテムを強くしすぎない意図があるのでしょうが、ゲームバランスの取り方としてはともかく、テンポはかなり悪くなっていますね。

そもそも本作は敵から受ける一回のダメージがかなり大きい上、被弾するとほぼ確実に出血しスリップダメージを受け続けるという仕様があるのですが、「ダメージを受ける=即座に回復を行う余裕がない」状況なので、回復を行える場所に退避した頃には更にダメージが増えています。

となると全快になるまでには時間がかかるし、途中でダメージを受けたら回復状態が解除されるという仕様上、無理に進んで被弾しまったときのリスクはかなり大きくなってしまうので、結果的に立ち止まって回復を待つだけの無駄な時間が少なからずありました。

例えば、出血が発生する頻度をもう少し低くしたり、回復アイテムは使用時に隙ができる代わりに即座に回復、もしくは使用動作を省略する代わりにジワジワと時間をかけて回復していくシステムにすれば良い塩梅だったのかもしれません。

また、演出についてもテンポを損なう面があるのも確かです。前提としてこのゲームは基本的に敵に見つかってしまうとリカバリーが難しく、後半になればなるほど発見=リトライという状態になりやすいのですが、そしてこの演出もリトライの度に表示されてしまいます。

一応スキップは可能なものの、一つの演出を飛ばすにはボタン長押しで約1秒かかり、ただでさえ多い演出をリトライの度に一つの演出に1秒、別の演出に1秒、選択肢が絡むものだと選択肢までに1秒、選択肢を選んだ後に1秒…と、一回1秒が積み重なると流石に煩わしいです。

それでも攻略に関わる内容ならもう一度聞こうという気持ちにもなるのですが、本作の会話演出はよく言えば「面白い」ものの、悪く言えば「深い意味はない」ので、リトライの連続でモチベーションが下がっている状況で何度も聞かされるのは苦しいものがあります。

もう一つ気になった点としては無線連絡に関する機能があります。物語の序盤で「無線機」を入手する機会があり、少なくとも二人の人物に任意で無線連絡を取ることができるようになっているんですが、これも流血と止血同様、オマージュ元から取り入れたものの活かしきれていない要素の一つ。

▲無線画面

オマージュ元におけるストーリー進行や所謂「ネタ無線」の役割をジェシーと尋問官の会話という形で表現しているので仕方がない面もあるのですが、その時点での目的の確認という最低限の会話程度でパターンは少なく、ボス戦のアドバイスすらありません。

オマージュ元における無線会話は、セーブといったゲームの機能はもちろん、非対面の会話だからこそ出来るギミックを盛り込んだり、ストーリーだけでは語りきれない情報や、一度語った重要な情報の再確認など様々な役割を持つ作品の華の一つでしたし、本作もストアページの宣伝画像として無線画面を採用するくらいですから期待していたのですが、残念ながら期待外れと言わざるを得ません。

一応、無線会話の充実自体はMGS以降の流れで、MGやMG2の頃の無線自体はかなり薄味だったと言えばそうなんですが、無線のチャンネルは3つあるものの先述の通り無線をかけられる相手は二人。なんらかの隠し要素か私の見落としでなければ、3つ目のチャンネルはあるだけで意味のない要素なわけで、やはり手抜き感があります。(もしなにか知っている人がいたら教えて下さい…)

■まとめ

☆良い点
・オリジナルの要素含めステルスゲームとしての完成度は高く、操作も非常に快適
・独特でユーモア溢れるストーリーテリングと、それを実際のゲーム内容に反映させてしまう演出も見事

★良くない点
・回復のシステムはリスクとリターンが釣り合っておらず、無線もあるだけで活かしきれていない
・演出スキップにタイムラグがある上、数も多いのでリトライの度にスキップするのが煩わしくなってくる

◆総括:500字でまとめると?

無実の罪で投獄された一般人が軍事基地からの脱出を目指す2Dステルスアクションゲームで、見ての通りメタルギアシリーズを意識していますが、操作は洗練され非常に快適。

脱出を目指していたはずが、成り行きで全面戦争の危機を救う羽目になった経緯を回想形式で語るというストーリーテリングもユニークで、プレイヤーの選択でステージが変化したり、一般人という設定を生かした独特な制約もステルスとの相性が良くて面白いです。

基本的にはオマージュ元の良い点を上手く取り込んでいるものの、回復アイテムは使用に隙がある上に回復も遅い異様にハイリスクな仕様になっていたり、無線も会話パターンが少ないなど練り込み不足な点もありました。

また、本作は被ダメージ量が多く気を抜くとすぐにゲームオーバーになるのですが、演出はその度に見せられ、スキップにタイムラグがある仕様もあいまって、テンポを損なっているのも惜しいポイント。

とはいえ、既に成熟しきった正統派2Dステルスの系譜を復活させつつユニークにリファインしていて、遊び終えると「確かにメタル(ギア)ではないな」と感心させられました。オマージュ元のファンなら遊んでみる価値ありの良作です。

■あとがき

あとがき、というか余談なんですが、今回用意した見出し画像の「メタル」「ソリッド」「ギア」のカラーリングはそれぞれ本作のオマージュ元であるメタルギアシリーズのタイトルロゴを参考にしています。気付いた人はスゴい!

というわけで今回はここまでとします。ここまで読んでいただきありがとうございました。


他にも色々書いています、お時間があればどうぞ!


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