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「ゴーストリコンブレイクポイント」を遊んで感じた「違う、そうじゃない」と「そう、それそれ」【今更ゲーミング:Vol.1】

そうじゃなァ~い♪

■今更ゲーミングとは?
最新作でもなければ、人気作でもない。歴史の闇に埋もれそうなゲームを「今更」発掘。そして紹介する変なマガジンです。「そういえばあのゲームってどうだったん?」っていう疑問の答えが分かるかも…?

 はい。少し前にゲーミング的なPCを購入しまして、ずっと前からやりたいと思っていた「ゴーストリコンブレイクポイント」を始めました。
 PlayStation4は持っているのでやろうと思えばいつでも遊べたのですが、ソロでプレイすると分かっているのにPlayStation Plusへの加入するのが嫌だったのと、発売前に公開されていた情報の中で幾つか引っかかるものがあってプレイに至らなかったんですよね。
 ちなみに筆者は前作「ワイルドランズ」からのプレイヤーで、どちらも全編ソロでプレイ。これを書いている時点で本作は一応クリア?しています。なお、気がついたら12,000字近くの長文になっていたので、お忙しい方は目次から「■まとめ」へどうぞ。ってことで行ってみましょう!



■そうじゃないPoint:オンラインプレイとコンセプトのミスマッチ

 多分本作の一番の難点だと思うんですが、ストーリーを含めたコンセプトと、Ubisoftが推奨するゲームプレイの間で乖離が生まれているようです。
 コンセプトの話をするために改めて本作のストーリーを超絶ざっくり言うと

  • 一切の通信が途絶された諸島国家を調査するため特殊部隊ゴースト32名が送り込まれる。

  • しかしこの派遣自体が罠で部隊は半壊。前作で一緒に戦ったチームメイトの一人も目の前で殺されてしまう。

  • 生き残った主人公は仲間を殺した犯人への報復のため、そして事態の解明のため救援も望めぬなか反撃を開始する。

 とまぁこんな感じで、「窮地からの生存、そして孤独な反撃」というのがテーマの一つだと思います。

 実際にゲームを遊ぶ上でもプレイヤーにとって不利な要素や制限が多く、遊び始めてすぐに開発側は「メタルギアソリッド3」や「Escape from Tarkov」のようなサバイバルの要素を売りにしたかったのだろうと思いました。
 これに関しては「ウォッチドックス」や「アサシンクリード」を生み出したUbisoftらしい他社タイトルの良い点を取り入れる上手さを活かした設計で、潜入任務というシチュエーションとの相性もよく面白いと思います。
 それでここからが問題なんですが、この孤独なサバイバルというコンセプトに対して、どうもUbisoftが想定している遊び方はCoopメインのオンラインゲームとしての遊びのようで、そこがコンセプト及びストーリーとの間に齟齬が生まれているんですよね。

・ストーリーとのミスマッチ

 オープニング(部隊半壊のくだりの直後)プレイヤーは紆余曲折の上で、島民で結成されたレジスタンスの本拠地「エレホン」に辿り着きます。
 装備もろくになく、生き残りを狩るべく巡回する敵兵をかいくぐり、彼らの会話の中から部隊がほぼ全滅したことを改めて思い知らされながらようやく辿り着いたその場所には…

▲壊滅したはずのゴーストたちがたむろしていたのでした。

 この「エレホン」というエリア、拠点としてNPCと会話をしてミッションを引き受けたり、装備品の調達を行うことができるのですが、同時にオンラインゲームのロビーのように、他のプレイヤーとの交流やマッチングにも利用できるようになっているわけです。

 一応、このオンラインロビー状態は設定でオフにできるのですが、初期設定では有効になっているので、最初は他プレイヤーの存在に非常に驚きました。ストーリー上の「部隊は壊滅」というシチュエーションとギャップが大きすぎる。
 私はあまりオンラインゲームをやってこなかったんですが、前作のように専用画面でマッチングを行うか、「オンラインロビー」と「オフラインロビー」に分け、初期設定を後者にして任意でオンラインに接続できるようにしてほしかったですね。
 ちなみに、この記事を書くためにこのゲームのこれまでの経緯を辿っているんですが、オンラインロビー状態の無効化はアップデートで追加されたものだそうです。今更書くまでもなく、当時のプレイヤーに散々言われたんでしょうね。っていうか作ってる時に誰かおかしいって思わなかったんですかね…

 とまぁこんな感じで本作は、どうにも没入感をそがれる「違う、そうじゃない…」な設定や仕様が多いのです。まだまだ序の口…次、いってみよう……

・ギアレベル関連

 次に気になったのが「ギアレベル」に関する仕様。これは何かというと、プレイヤーが装備する銃や、ベストやグローブなどのタクティカルギアにレベルとレア度が設定されていて、その合計によってプレイヤーレベルが算出されるというもの。

▲左上の数字が現在のレベル。各装備の数値の平均値になっている。

 更に敵兵士などにもレベルが設定されており、こちらよりもレベルが高い場合、発見されやすい、与ダメージの低下、被ダメージの増加といったデメリットが発生するようになっています。ちなみにミッション毎に目安となるギアレベルが設定されているので、プレイヤーはそれを参考にそのまま挑むか、後回しにするか決めるわけです。
 銃やタクティカルギアは倒した敵からのドロップやマップに設置されているボックスから入手できるようになっていて、これによって敵を倒してギアレベルを上げていくことで徐々に行動範囲が広がっていく、とまぁレベルデザインとしては確かに妥当なシステムになっているとは思います。

 ただ、この武器のレベルとレア度という概念は前作では姿かたちもなかったので正直違和感が凄い。そもそも銃のレベルってなんやねん。って思うのは私だけでしょうか。いやまぁ凄くよく整備がされているかとかそういうのはあるのかもしれませんけど…じゃあレア度ってなんやねんって話になるし…
 一応同じUbisoftの「ディビジョン」シリーズにこのレベル制が採用されていることは知ってますけど、あちらは元々TPS+RPGとコンセプト自体が異なりますからね。ゴーストリコンには求めていません、そういうの…
 ちなみに前作では地域ごとに「危険度」という数値が設定されていて、危険度の高い地域の拠点では重武装した敵やスナイパーが居る監視塔が多かったり、ライトパネルや銃座、迫撃砲、ドローンジャマーなどが設置され施設自体の警戒度が高いという形でレベルデザインがされていたように記憶しています。

 一応このゲームの名誉のために書いておくと、これもアップデートによって任意でオフにすることができるようになっています。
 その場合はレベル差によって生じるデメリットなども無くなり、武器は敵から奪って使う他、「設計図」と呼ばれるアイテムを各地で回収することで、拠点から装備の変更が行えるようになると、装備の付替えに制限がある以外は前作とほぼ同じ仕様になるわけです。
 装備を失った状態から現地調達しつつ、ミッションによって必要な装備を選択する。そう、それそれ。って感じですよね。

・DLC前提のストーリー

 このゲーム、長期コンテンツとしての運営が行われていたこともあって、メインストーリーが「エピソード」と名付けられた複数の群に分かれているのも特徴です。
 これは長くゲームを遊んでもらうために、アップデートによって定期的にストーリーを追加していく。というもので、最終的にはエピソード3(+独立したミニエピソード数編)まで展開されていました。
 それだけ聞けば、海外ドラマのシーズン制や、オンラインゲームの追加パッケージのようなものをイメージするかと思うのですが、実態はそんな生易しいものではなく、物語の完結にダウンロードコンテンツの購入が必須というヤバい代物でした。

 ストーリーの展開に触れると、一応エピソード1の範疇で「仲間を殺した犯人」で元ゴースト部隊の一員でもあったコール・ウォーカーとの決着自体はつくんですが、そこに至るまでにこれでもかというほど存在が示唆されていた黒幕や、ウォーカーに続く敵組織のNo.3も野心を燃やしたまま唐突に終わりを迎えるのです。
 思わず「え、終わり?」って口に出てしまいました。というのも実はコール・ウォーカーとの戦い自体は、必要な情報を集めてしまえば中盤くらいのレベルでも挑めてしまうし、前作も中盤で一度ラスボスと接触するも決着は持ち越し。という展開があったので同じパターンだと思ったんですよね。
 なにせ結末までプレイできていないのでストーリーの内容に対する評価はしにくいものの、前作の良いところの一つって、巨大なドラッグカルテルを細かく解体していく描写を、ブリーフィングのムービーやオペレーターとの通信など敵味方の視点から深く描いていた点だと思っているんですが、本作の場合ウォーカー以外の敵幹部には特にそういったムービーなどもないので爽快感やカタルシスに欠ける印象でした。

 まぁ、私のように今更このゲームを遊ぼうとしている人間は、セールになっている本編+DLCのパックを買えばいいだけなんですが、このゲームってPlayStation4などで遊ぼうと思うと、マルチプレイを利用しなかったとしても「PlayStation Plus」などの有料サービスへの加入が必須なんですよね。
 お世辞にも満足とは言いにくいボリュームな上、尻切れトンボのまま終わったストーリーの続きを見るために定価でゲーム本編とDLCを買い、当時年5,000円近くするサブスクリプションのサービス加入が必須。言っちゃあなんですけど、発売当時買ったファンの落胆は察するにあまりあります。正直発売当時スルーして正解だったなって…
 先程「オンラインゲームの追加パッケージ」を例えとして出しましたけど、それですらある程度話はキレイに畳むと思うので、どちらかというと「METAL GEAR SOLID 2」だけ買うと「タンカー編」しか遊べず、「プラント編」と「アーセナルギア編」まで見るには別料金みたいな感じ。もはや違うそうじゃないとか以前の問題です。

・対大型ドローン関連

 ところで、私は今例えとして挙げた「METAL GEAR SOLID」シリーズの大ファンを自負しているんですが、それでも二度やりたくない要素が「ピースウォーカー」の大型兵器戦です。
 大したギミックもないのに耐久値ばかり高くて、撃てども撃てども終わらないし、弱点が小さくて狙いにくいし、弾は無くなりそうだし、発見判定がシビアだったりして最悪でした。
 まさかあれから10年以上経つ今、同じような経験をしようとは…

 先程ギア関連の話をした際に「ギアはマップに設置されているボックスからも入手できる」という旨書いたのですが、一部のギアが設置されているエリアを守るように大型のドローン兵器が鎮座しているのです。一応、慎重に行動すれば戦うこと無くギアだけ獲得して撤退もできるのですが、メインストーリーで少なくとも一箇所、強制戦闘があるんですよね。
 これの何が問題かって…まぁ上に書いているのとほとんど同じです。付け加えるならキャタピラに当たると即死なくせにキャタピラの向きとか関係なく急に方向転換してくるので接近戦はほぼ無理なことくらい。ちなみにあるサブクエストでこの大型ドローンの弱点が明かされるんですが、それも「装甲を攻撃して剥がすと一時的に動作不能になるのでその間に弱点を攻撃しよう」というざっくりしたものであまり参考になりません。
 一人プレイで動き続けるドローン兵器に対して様々な方向から攻撃を加えるとなると、EMPグレネードで動きを封じながらということになるんですが、そうなると近寄らざるを得ず、EMPから回復したドローンが急に突っ込んできて…

▲中々理不尽な移動とダメージ。

 需要があるかわかりませんが、このベヒモスドローンの攻略に関してちょっと書くと、機体の前後左右にある「青く光る部品」を破壊することで一時的に動作が止まるので、その間に「赤く光る部分(弱点)」に集中攻撃をして破壊する。というのが正攻法になるようです。轢かれるまでは結構いい動きしてますね。
 弱点は装甲に守られているのでロケットランチャーやグレネードでまずはそれを剥がし、その後は、一人プレイなら上でも触れたようにEMPグレネードを撒きながら、中距離を維持しつつマシンガンで攻撃って感じ。
 まぁめんどくさければAIチームメイトを有効にして難易度設定を低くすれば時間はかかっても負けることはないはず。ターゲットがバラける上にチームメイトが的確に攻撃を加えてくれるのであっさり勝ててしまいます。

 マルチプレイを前面に押し出す以上、複数人で戦いがいのあるボスキャラクターが必要になってくるというのは理解は出来るのですが、みんながみんなマルチプレイをしたい訳では無いです。
 それにメタルギアシリーズならともかく、ゴーストリコンにこんな非現実的な兵器との戦闘が本当に必要なのか?と思ってしまいます。
 この「戦場におけるAIとドローンの在り方」という面白そうなテーマもエピソード1の範囲内ではストーリー上もあまり活かされていない印象ですし、なんか色々と勿体ないんですよね。


■そう!それそれPoint:ごっことしての完成度は高い

 ここまでお付き合い頂きありがとうございました。ここからはようやく本作の良い点について触れていきます。ちゃんとありますいいところ。

 色々と文句をつけたいことはありますけど、このゲームの一番の根幹である「ステルスシム」もっと簡単に言うのなら「特殊部隊ごっこ」部分の完成度は前作以上といっていいと思います。
 Ubisoftお得意の細かな部分のリアリティ追求は本作でも健在で、モーションキャプチャーと脚本には元特殊部隊隊員が参加しているのだそうな。
 もちろんこれを書いてる人はただのゲーマーなので、そのモーションが正しいのかとか分かりませんけど、これを書くために久々に前作ワイルドランズを触ってみのでちょっとした比較動画を作ってみました。音は出ません。

 こうやって見ると結構違いますよね。そもそもグラフィックがかなりキレイになっているし、ワイルドランズに見受けられる「TPSゲームのお約束的な動き」も明らかに少なくなっています。
 それが必ずしも面白さに繋がるわけでもないのですが、こういった部分の完成度が高いと没入感は上がるし、没入感が高くなることで体験の質が上がることは様々なゲームで証明されていますから、中々馬鹿にはできませんよね。
 では続けて、更に細かな良い点を挙げていくことにします。

・プレイスタイルに変化を出せる「クラス」要素

 ここまでオンライン要素のほぼ全般を良くない点として挙げてきましたけど、この「クラス」に関しては一人プレイにおいてもプレイスタイルに幅が出て面白い要素でした。
 クラスにはそれぞれ異なる得意分野があり、得意分野の武器で敵を倒すなど特定の条件でゲージを増加させることで発動できるアクティブスキルと、手榴弾などと同じ消費アイテムの枠に専用の装備が追加されるようになっています。
 例えば、狙撃銃を得意とする「シャープシューター」であれば、着弾地点付近の敵を遠隔でマーキングし壁越しでも視認できる特殊なグレネードランチャーが装備され、アクティブスキルを発動すれば敵の装甲を貫ける特殊な弾頭を利用できる。といった具合。折角なので動画でどうぞ。一応銃をぶっ放しているのでセンシティブのフィルターをかけています。音も出ます。

 クラスによって得意とする武器は異なるものの装備できる銃器の種類が固定されることはないので、クラスの特性や強みを前面にしたプレイをすることもできるし、逆にクラスは銃撃戦に強いものを選びつつステルスをメインに立ち回り、見つかったときはアクティブスキルを発動して打開というのも戦略として成り立ちます。
 クラスに沿った動きを徹底してロールプレイを楽しむもよし、苦手な分野をフォローできる組み合わせを選ぶもよしと自由度が高めなのもいい感じ。ちなみにクラスにもレベルの概念があり、得意な武器で敵を倒す、見つからずに敵を倒すなど、そのクラスにちなんだお題をクリアしていくことで上がっていくようになっています。
 このお題に沿って行動していけばそのクラスの強みが把握しやすいですし、レベルを上げることでそのクラスにちなんだ特別な装備が手に入るといったご褒美もあるのでモチベーション的にも良い追加要素だと思いました。ここまでなら…

 それで終わらないのがこのゲーム。7つあるクラスのうち2つ「パンサー」と「エシュロン」は隠密からの強襲と得意分野が似通っている上、負傷した仲間の救助と回復を得意とする「フィールドメディック」は明らかに一人プレイでは役に立たない、クラスのレベルも、最大が20なのに対してソロでは10までしか到達できず、それ以上に上げるにはマルチプレイ要素のレイドバトルをプレイしなければいけないなど、肝心なところで練り込み不足感が否めません。そうなんだけど、そうじゃない…一人でやらせてくれよ…

・敵のバリエーション増加

 前作の主な戦闘員がドラッグカルテルの構成員だったのに対して、本作では訓練を受けた職業軍人を相手にすることもあり、敵兵士にもそれぞれクラスが細かく設定され行動にもバリエーションが増えました。
 例えば、拠点外から増援を要請できる「通信兵」は率先して無力化したいところですが大体は拠点の奥におり、ロケットランチャーでこちらを執拗に爆撃してくる「ランチャー兵」は銃弾が背面のロケット弾に当たると爆発を起こすのでステルス時には慎重な対処が必要、機関銃とボディーアーマーを装備した「重装兵」は並大抵の武器では一撃で倒せない上にCQCも無効となかなかの強敵揃いで、正面突破、隠密行動のどちらを選ぶにしても作戦をしっかり練らないといけません。
 でも、偵察して戦略を立て優位に立ち回りつつ、イレギュラーが起きてしまったときは冷静に対処を行う。この戦略性とスリルこそ、前作で感じたゴーストリコンの面白さなんですよね。難しくなっているものの、この方向の進化に関しては文句のつけようがありません。そう!これこれ!

 もう一つ、ストーリーとも綿密に関わってくるのが敵のエリート部隊「ウルブズ」。彼らの存在も敵のバリエーションという話であれば欠かせません。

▲黒尽くめの不気味な幽鬼たち

 彼らは先にも名前を挙げた仇敵「コール・ウォーカー」直属の兵士たちで、元ゴーストでもあるウォーカーが訓練した悪のゴースト部隊とでも言うような存在。
 強力な装備と高いレベル、そして複数名での連携をもってこちらを狩りに来るんですが、レベルシステムの都合もあって序盤はとにかく強い「見つかってはいけない敵」として設定されています。
 ゲームプレイ上ではプレイヤーにゴリ押しだけが正解ではないと教える役割を担いつつ、ストーリー上では絶対に倒さなければいけない敵でもある。というこの設定はステルスゲームにおいて大事な「恐怖」の要素を上手く扱っていると思います。まぁAIチームメイト含めマルチプレイになった途端にちょっと強い雑魚になってしまうのはご愛嬌ですけど。

・銃器とスキン要素は豊富でカスタマイズの幅も広い。

 武器のカスタマイズ要素は相変わらず豊富で、銃口からレールシステム、マウント、ストックなど機能に関する部分から、武器のカラーリングといった見た目の部分まで変更できるようになっています。長時間使っている武器は塗装が剥げていくのも相変わらず。このダメージ演出細かいながらも愛銃って感じがして好きなんですよね。

▲塗装が剥げるだけではなく、泥や雪による汚れが付着することも。

 キャラクターに関しても同様で、一部のスキンアイテムはトレジャー要素になっていたり、ゲーム内通貨での購入が必要なものの柔軟なカスタマイズが可能。前作から大幅に変わったこととしては、既存キャラクターのスキンを使えるようになった点でしょうか。カスタマイズが面倒ならデフォルトのノマドスキンを使えばいいし、中にはこんなものも。

 エピソード2に登場する「サム・フィッシャー」のスキンです。クラスを潜入特化の「エシュロン」にして、フォースエシュロン仕様の武器を揃え、闇夜に乗じて単独潜入に臨めば気分は「スプリンターセル」。ロールプレイが強化された本作ならではの楽しみ方だと思います。まぁDLCを買わないと使えないんですけど。

 服装によってカモフラージュ率が変わることはないとは分かっていますけど、森ならギリースーツを着込んでみたり、雪が多ければ白系の服にしたり、環境に応じた服装を考えたりするの、前作でも結構楽しかったんですよね。そう、これこれ。


■賛否両論な点:ゲームとしての快適性が犠牲になっている

 それは「否」では?って言われてしまうとまぁそうなんですが、先に良い点として挙げた「没入感」を向上させるために快適性が犠牲になっている。といった印象。これに関しては私が頑張って文章で説明するより分かりやすい動画があるのでリンクをペタリ。

 これを書き始めた時に漠然と考えていた事がすげぇ分かりやすく言語化されてて「こ、これだぁぁぁぁぁぁ!!!」ってなりました。流石だぁ…
 動画では一般性とゲーム性、リスクとリターンという例えがされていますが、これを快適性と没入感と言い換えるとなんとなく分かって貰えると思います。

 本来快適性と没入感はトレードオフできるものではないと思うんですが、コンセプト的には正しいし、そこさえ受け入れることができれば面白いとも感じられるので、今回は「賛否両論点」として触れていくことにします。今思うと前作ってこの辺りが奇跡的なバランスだったんでしょうね。

・車両の性能について

 本作を触って最初に違和感を感じたのがこの部分。どうにも扱いづらいと言うか変な感覚がしたので、遊びながらこの違和感の正体を考えてみたところ幾つかの理由に思い至りました。感覚的なことが多いので推測が多分に含まれる点はご留意を。
 まず、単純に操作性が悪い。前作どころか同社の「ウォッチドックス」シリーズよりも扱いづらいです。思ったように曲がってくれないし、電動車に関しては初速から異様に加速するので前作の感覚だと思ったように動かせません。ハンドブレーキの感覚も前作とは異なります。
 また、バイクが特に顕著なんですが、前作より地形に足を取られやすくなっていますね。前作なら乗り越えられた段差や傾斜などに引っかかるし、変な方向に跳ね上がったりします。また、段差からのジャンプも前作なら着地できたような高さで振り落とされてしまいます。
 最後に耐久性ですが、これも前作と比較して劣化というか衝突に対して弱くなっているようで、地形に足を取られて変な方向へ→木に激突みたいなことを繰り返しているとすぐに壊れてしまいます。

 お気づきでしょうか。冷静に考えると当然の事を言っているんですよね。電動車の発進時加速が早い、二輪車が地面の起伏に影響を受けやすい、事故を起こすと跳ね飛ばされたり車両が壊れる。現実的に考えれば当然の事ではあるんですが、ゲームにおいては無視されることが多い事でもあります。
 なぜかというとそのほうが遊びやすいから。これに尽きると思います。前作の車なんて坂から転がり落ちても普通に走りますからね。本作の場合、モーションキャプチャーなど細かい部分に対する力の入れようから察するに、そういった挙動をあえて実装しているような気がしますね。
 ちなみに他のゲームと同様、車両によって性能差があり、加速性、悪路走破性も申し分ない車両というのも存在はするんですが、ゲーム内通貨を使って一度購入しないとならず、車両の呼び出しもファストトラベル地点でしか行えないので利便性も低いです。というかそもそもこのゲームあまり車両での移動はオススメできないんですよね。詳しくは次の項目で触れていきます。

・マップと目標地点に関して

 前提として前作におけるゲーム進行を振り返りたいと思うんですが、前作は広大なボリビアのマップを幾つかの地域に分け、1つの地域に1人のターゲットが設定され、地域内で情報収集を行うことでその地域内の別の場所でミッションが開始できるようになるという流れで、基本的には一つの地域で完結していました。
 これのいいところはボリビアという広大なマップにおける移動量を減らし、一つの地方の密度を高めることが出来る点と、ギアレベルに関する話の中で触れた地域ごとに異なる「危険度」でレベルデザインを行える点だったと思います。なんでこんな事をわざわざ振り返っているかと言うと、本作は真逆の仕様になっているから。

 まず、今作のミッションは前作と異なり、情報収集とミッションを並行して行い、情報から情報へと進むようにミッションを行うことで最終的な目的地に到着するようになっているんですが、問題なのは「各情報ごとの距離」で情報を手に入れたら次の目的地が全体マップの正反対、山を超え、川を渡った先だったなんてことがざらにあります。
 加えて一つ一つの情報が断片的なのもかなり厄介です。例えば、一つの拠点に潜入して目的の情報を手に入れるとして、以下の画像のような形式で提供されることがあります。

 デフォルトの設定だと、情報にある写真や文章といった断片的な情報から「自分でマップと照らし合わせ」、「自分で目的地と思われる場所をマーキングし」、「逐一マップを開いて道順を確認しながら進む」という事をやらないといけません。

 いやまぁ確かに現実的に考えれば、こんなサバイバルみたいな状況でマップに直接目的地が反映されるわけはないし、道順なども自動的に表示されるわけはないんですけど…でもこれゲームなので…
 まぁあくまでも初期設定なので、設定を変更すれば情報を集めてフラグを立てることでマップに目的地が反映されるようにもなります。その場合でもルート案内は一切出てこないので利便性は前作よりも劣りますが。

 好き嫌いの話をすると、個人的にはこういう仕様も嫌いではありません。「Marvel’s Spider-Man」のように移動自体が快適かつ面白いゲームであればきっと楽しいし面白いと思います。
 ただ、本作の場合、一つ前の項目で触れた通り車両の性能がピーキーで壊れやすい上、ストーリー上戒厳令が敷かれた状況で一般市民に紛れられない中、パトロールの敵が多すぎてドライブを楽しむ余裕すらないので、正直面倒くさいの一言につきますね。
 そう考えると、前作はマップデザインもそうですが、チームメイトとの雑談やラジオなどで楽しませてくれたのも良かったですね。DJペリコ…またお前のトークが聞きたかったよ。

 もしもこれからこのゲームを遊んでみたいという人がいたら是非参考にしてほしいんですが、本作は前作ほど対空ミサイルが飛んでこないのでヘリコプターでの移動は多用しても大丈夫です。もちろん全く無いわけではないので補足されたらすぐに低空飛行が出来る高度を保つことを意識しましょう。
 そしてマップ情報の収集が行える場面では、出来るだけファストトラベル地点の開放を選ぶこと。結構離れた場所が開放されることあるのでガンガンファストトラベルしていけます。
 そしてドローンでズームを行うとかなり遠くの施設を認識してくれるので、来たことがない地域に来たらドローンをギリギリまで高く飛ばす→ズームして近辺のスポットをスキャンするという作業を行っておくと快適に遊べます。

・AIチームメイトに関する物足りなさ

 まず「賛」の部分の話をすると、このゲームって完全に単独でプレイすると死角からの銃撃や長距離からの狙撃であっけなく倒されてしまうほど難易度が高いのでAIチームメイトを実装してくれた事自体は有り難いですし、前作ではプロフィールにあるだけだったチームメイトの技能も固有スキルとして実装されているのもロールプレイの面白さに拍車をかけてくれています。
 次に「否」の部分の話をしますと、その固有スキルというのが任意発動ではなく勝手に発動するのはどうかと思います。デメリットのない能力ならまだいいんですが、索敵スキルは敵を強制的に壁越しハイライト表示してしまうせいで、遠距離だと敵の前に障害物があるか分からなくなるし、自動攻撃ドローンを召喚するスキルはバッテリー切れの度に爆発を起こして敵に警戒されたりします。 
 そもそもAIチームメイト自体がアップデートで追加された機能だから仕方がないのかもしれませんが、これなら指示を出して任意発動としたほうが「味方に作戦指示を出す」という体験にもなっていいと思うんですよね。元々計画にはなかったようなので実装してくれただけ有り難いんですが正直練り込み不足感は否めません。


■まとめ

【良い点】
・一部難ありなもののプレイスタイルを広げる新要素「クラス」システムは面白い。
・敵のバリエーションも前作から増加。これまで以上に戦略を練る楽しみがある。
・カスタマイズ性の高さは相変わらず。グラフィックの強化、モーションの改善なども相まって没入感を上げている。

【良くない点】
・ギアレベルや他プレイヤーがたむろするエレフォンなどオンラインプレイ前提の仕様の数々が没入感を削いでいる。
・行き過ぎたリアルさ追求のせいで、遊びやすさや親切さといった一般性は前作よりも低下。
ストーリーの完結にダウンロードコンテンツの購入が必須。最大の問題。

【総評】
 そもそも「部隊壊滅という窮地から孤独な反撃を開始する」というストーリー上のコンセプトと、マルチプレイを前提とした仕様の数々が噛み合っておらず、中途半端に追求されたリアリティのせいで前作よりも全体的に遊びづらい。というのが一番違和感のない表現です。
 ただ、プレイヤーの得意不得意を活かしやすい「クラス」のシステムは(一部の問題点に目を瞑れば)非常に面白いし、前作よりも強化されたグラフィックやモーション、そして前作同様豊富なカスタマイズ要素のおかげで実際のゲームプレイの部分、ゴーストリコン元来のコンセプトとされる「特殊部隊シミュレーション」の部分は前作以上の没入感と奥深さがあります。
 アップデートで改善された部分も多いようなのですが、ストーリーをちゃんと完結させるためにDLCの購入が必須であるなど、ライブサービスとして運営していたことのマイナスが尾を引いていて、コンテンツを長く運営することの難しさを感じさせられました。
 見逃せない問題は多いものの、駄作と切り捨てるには魅力があるのも確か。もしもこれを読んでいる人の中で気になっていたけど手を出していなかったという人がいれば、セールのタイミングにシーズンパス含め購入して実際に遊んでみることをおすすめします。案外手放せない一作になるかも。


■余談

 さて鳴り物入りで始まった謎の企画「今更ゲーミング」。その名の通りレトロというほどでもないけど様々な意味で旬が過ぎている「今更」なゲームを遊んで紹介していくなんとも出遅れ感が凄い企画ですが、出落ちではなく次に取り上げるタイトルもすでに決めています。

 ご紹介しましょう!ちょうど先月(23年10月)に続編が発売された事で皆さんご存知!!

と、同じマーベルコミックを原作とした!!!

Coming Soon…

↑本当に続きました

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