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HHKBのパームレストを百均素材だけで自作した話

 遡ること2月の先頃。以前から気になっていた「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID」を手に入れました。それで折角なのでアクセサリーをいろいろ調べていたのですが、いやぁ、どれも中々いいお値段です…残念ですが、金欠なのでちょっと手が届きません。
 ただ、少し調べていると「パームレスト」つまり手首の場所に置いてキーボードと手の落差を軽減するツール。ツール?というか板?が少し気になりました。前の仕事をしていたときに手首を酷く痛めた事がありまして、「手首の負担」というワードに対してはアンテナ高めになっているのです。
 そこで考えました。「ん?この板にレザーが張ってあるやつ。自分でも作れそうじゃないか?」と。無謀にも、そして失礼にも。

 しかーし!思い立ったがやるというのがクラフターというもの。以前レザークラフト用に買った革の残りもあることだしやってみることにしました。前置き終わり!続いて、目次です。

 の前に少しだけ真面目な話をさせてください。この記事は参考として提供するものであり、実際に自作をされる際にはみなさん自身の判断と責任において実践してください。筆者はいかなる責任も負いかねますのでご了承ください。私が書いたもののせいで誰かが怪我をするなんて嫌ですからね。
 特に今回の工程では刃物を使う場面などが多々ありますし、ヤスリがけで木の粉が出たりニスを扱うこともあるので、換気や道具の取り扱いには細心の注意をしてくださいね。
 では注意書きも書いたので、今度こそ目次をどうぞ!

■事前準備編

・完成品をイメージする

 純正のアクセサリーの中に、イタリアンレザーが貼り付けられたパームレストがあったので、今回はこちらを目標、つまり完成品のイメージとします。

・仕様を把握する

 モチーフになる製品が決まったので、その製品の仕様を把握しましょう。まずサイズは【約80×290×17mm】。ベースとなる指板に【2mm】のイタリアンレザーが貼ってあるようです。
 この【2mm】というのは、レザークラフトで扱う革としては結構ぶ厚い方だったと記憶しています。この革の厚みがクッションになってるってことでしょうね。
 となると百均で売っているレザーは厚みが足りないので、今回は【フェルト】を使って厚みを確保することとします。


■材料調達編

 仕様を決めたので材料をリストアップします。ちなみに各材料のURLは最後に載せておくので参考までにどうぞ。

◆本体パーツ
・木の板(芯材)
・レザー(手に当たる部分)
・フェルト(芯材とレザーの間に挟みます)
・滑り止めゴム(脚部に取り付け)

◆その他使用するもの
・紙やすり(できれば耐水ペーパー)
・カッター ・カッターマット
・ノギス
・スクレーパー(ヘラ)
・綿棒などニスを塗る為の道具
・木工用ボンド
・水性ニス

 こんなもんかな。これなら全て百均で揃えられそうです。仮に道具類も全て買ったとしても2,000円もかかりませんね。

 次に厚さについて計算します。レザーが【2mm】として、今回購入したシール付きのゴム足は高さ【3mm】なので、芯になる木の板は【約80×30×12mm】のものがいいんですが、そんなに丁度いいものが…

うん、これがいい感じかな。結構色々なサイズのものがあるし、厚さの調整はいくらでもできるので好きなものを選ぶとよいでしょう。

 レザーに関して、ダイソーに売っているものは【13×18cm】と【18×26cm】の2サイズ。今回大きいものだとサイズが足りないので、レザーは小さいサイズのものを2つ買うことにしました。
 まぁ今回は記事のコンセプト上そうしてるだけですが、近場にレザークラフト用品を取り扱っているホームセンターのなどあれば、そちらで手に入れたほうがいいかもしれません。あまり大きくないものなら300円から700円程度で売っていると思います。では実際に作っていきます。


■実際に、やってみよう

・板をヤスリで磨く

 はい、ここは一発AC/DCの「Thunderstruck」でもかけながら気合を入れていきましょう。やすりだけにサンダー!
 今回は最後に革を貼り、そこでもヤスリがけをするので、ここでは軽く全面をバリやささくれが無い程度、磨くようなイメージでやります。削れたヒノキの香り、意外といいですね。


・レザーとフェルトを重ね合わせる

 まずはフェルトを少し大きめにカット。続きまして、レザーのトコ面(裏面)にボンドを塗り、ヘラを使い薄く伸ばしていきます。

 満遍なく伸ばせたらフェルトを貼り付け、ムラがないように圧力をかけていきます。私は【壁紙貼り用のローラー】を使ったんですが手でも別に大丈夫。
 もう一枚もやってしまいましょう。先に付けたレザーの端に合わせて貼り付けます。レザーとフェルトの組み合わせならすぐに貼り付くはず。

 と、ここで第一の誤算。レザーの厚さについてです。自宅にあったものと同じサイズのレザーを買ったのですが、個体差のためか厚さが少し違いました。そのため板の中心から左右で少し厚さが違う状態に

▲左側のほうが少し高いんですよね。

 そしたらノギスを使って厚さを確認。好みの厚さになるまでフェルトを重ねる作業を繰り返します。
 ただ、レザーとフェルトは簡単に貼り付けられるんですが、フェルトとフェルトは中々そうもいきません。今回は少し多めにボンドを塗ってなんとかしますが、フェルト同士の接着に関しては【グルーガン】を使うのが良いかもしれません。
 その場合でも、半端な熱し具合でやるとすぐに冷えてデコボコになったりするので、使い慣れてない人は一旦小さく切ったフェルトで練習をしましょう。あとは一気にやらずに少しずつ貼り付けていくのもポイントかな。


・板とレザーフェルトを貼り合わせる

 まずは板の天面にボンドを付けまして、こちらもヘラで満遍なく塗ります。そしたらレザーフェルトにドッキング。裏返して圧力をかけます。


・革をカットしていく

 板からハミ出している部分を、カットナーウ!レザーを切るときのコツは、一度で切ろうとせず、軽い力で何度もカッターを当てていくこと。特に今回はフェルトもあって余計に切りづらいので、時間をかけてやっていきましょう。


・ニス塗り&ヤスリ

 まず、カットしたレザーの断面と木材のサイドにヤスリがけを行います。最初はあら目のものでゴシゴシとやって、レザーのコバとフェルトを毛羽立たせます。次にニスを塗り乾き次第細かい目のヤスリで磨く作業を繰り返していきます。
 革と木材の境目というか、段差が無くなるまでやればオーケー。と言ってもいいのですが、フェルトの接着が甘かったらしく、案の定四隅が浮かんできました。
 こういうときはボンドをその場所に少し塗りまして、縫い針を何度か抜き差しすることでボンドを中に入れ、そのうえでまた重しを乗せてプレスします。
 更に仕上がりに拘るなら、ニス塗りとヤスリの作業を繰り返していくことになります。レザークラフトをやったことがある人ならもうお分かりですね。コバ磨きってやつです。

 ある意味ではここからが本番です。思う存分、納得の行くまでやってやりま

した。

 途中色々とやらかしたせいで見た目が良くないのが悔しいんですが、少しだけ光沢があるのがわかりますかね?実際には【#100】→【#340】→【#1000】→以降【#1000】で気の済むまで。という順番でやっています。


・滑り止めを着ける

 仕上げです!といっても、まぁこれは普通に着けるだけ。本当は磁石とか仕込んで高さを変更出来るようにしようかと思ったんですが、まぁそれはいいでしょう。
 もしやるとしたら磁石を二組とコンパスカッターを買って、一組を板にボンドなどで接着。もう一組をコンパスカッターでカットした滑り止めに着けるって感じにな

▲四隅にあるのがネオジム磁石。隣りにあるのがゴム足。

り ま し た 。

 いやぁ思いついたら、ついやってみたくなってしまって…
 磁石ゴム足の使い方で、高め、低め、手前と奥の傾斜と色々なバリエーションで試せるのがいい感じだと思います。
 個人的には手前低めの傾斜がちょうど良さげ。まぁ結構な手間だったので、あんましおすすめはしません。

▲高め
▲傾斜

■使った感想とあとがき

 というのが約一ヶ月前のお話で、実は既に完成してからしばらく経過しています。今この記事の仕上げもこれを使いながら書いているわけです。

 それで使ってみた感想なんですが、まぁ悪くはないですね。手首とキーボードとの高低差を少なくするという役目はしっかりと果たしてくれています。見た目はあまり良くないですけど。
 比較対象はどちらもダイソーで買ったものですが、ウレタンや、合皮の中にスポンジが詰められたリストレストと比べて沈み過ぎないのがいい感じ。
 好みやクセの問題だとは思いますが、沈みすぎると逆に手首に負担がかかる気がするんです。こちらは木製なので力を込めなくても支えてくれるのでその点でもいいかなと。

 これは個人的な問題なんですが、もともとの木材が短すぎて、手を動かした際に角に手があたって痛いです。多分ホームポジションから動かさずにタイピングが出来る人なら問題ないんでしょうが苦手なんです。
 私のように手を左右に移動させながらタイプする人はもう少し長めの板を選んだほうがいいと思います。公式のレストパームを買おうとしてる人も注意したほうがいいですね。
 個人的には、もう少し厚みがあってもいいかな。もしも改良版を作るのであれば、もう少し長さがあり厚めの木の板を用意してみようと思います。

 DIYに関しては初心者同然ですが、自分の体やクセにあったものを作れるというのが一番のメリットですね。そのクセや問題点を把握するという意味でも、原価が安く作れる百均パームレストというのは面白いチャレンジだと思います。あまり凝ったものでなければ数時間で完成するので是非試してみてくださいね。

 次回【百均とホームセンターの物を活用してHHKBのパームレストを作る】に続く…?

(本当に続きました)


■余談 〜金も手間も大してかけずパームレストを手に入れる方法〜

 あまり手間をかけたくないなら、これだけ買えばパームレストとして十分機能すると思います。
 まぁ出来ればヤスリがけはしたほうがいいでしょう、使っているときに手がチクチクしますからね。


■使った材料リスト

◆本体パーツ
・木の板(芯材)
・レザー(手に当たる部分)
・フェルト(芯材とレザーの間に挟みます)
・滑り止めゴム(脚部に取り付け)

◆その他使用するもの
・耐水ペーパー
・簡易ノギス
・スクレーパー(というかヘラ)
・ニスを塗る為の道具(綿棒や細くカットしたメラミンスポンジ
・木工用ボンド
・水性ニス
・カッター
・カッターマット

◆その他今回使ったもの
・シート貼り用ローラー
・コンパスカッター
・ネオジム磁石2セット
・グルーガン
・グルースティック

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