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こぐまのぷりんのお菓子屋さん
森の奥にクリーム色のあまあいケーキのようなニ階建てのおうちが立っていました。そこはこぐまのぷりんが店長を、人間のパパさんがパティシエをつとめるお菓子屋さん。今日はそんなお菓子屋さんの一日を見てみましょう。
ぷりんはいつも朝八時くらいに目を覚まします。一階のキッチンからあまくておいしそうな匂いがするからです。ぷりんはぴょんっとベッドをおり、とてとてと階段をおります。
「ぷりん。おはよう」
「おはようパパさん」
ぷりんがキッチンのテーブルに座ると、パパさんが三枚重ねのホットケーキを置いてくれました。ぷりんはホットケーキにだいすきなはちみつをたっぷりかけてもぐもぐもぐ。あらあら急いで食べたから喉につまらせちゃった。ぷりんは慌ててパパさんが手渡してくれたミルクをごくごくするのでした。
11時、お菓子屋さんは開店です。最初のおきゃくさんは森に住んでいるおばあさん。孫のケンタくんのための誕生日ケーキを受け取りにきたみたい。
「いらっしゃいませ。あっおばあちゃんだ!」
ぷりんはやさしいおばあさんがだいすきです。ぎゅっとだきつきます。
「おやおやぷりんくんはあまえんぼうさんだね」
「えへへ。あっケーキだよね。いまとってくるからっ」
ぷりんはおばあさんから離れると、冷蔵庫からケーキを取り出します。ケンタくんの顔とどうぶつが描かれたおいしそうなショートケーキです。ぷりんは箱に入れると、おばあさんに差し出します。
「はい、どうぞ」
「ありがとうね」
「いえいえ、お買い上げありがとござます」
ぷりんはお店の外まで付き添うと、おばあさんの背中が見えなくなるまで見送りました。
それからはぷりんも大忙し。接客したり、お掃除したり……。
1時過ぎようやくおきゃくさんが減ったのでぷりんはランチタイムです。パパさんのつくってくれたお子様ランチをもぐもぐもぐ。パパさんはおやつのスコーンを焼いているので、ぷりんはちょっと寂し気です。
「どうしたの? おいしくない?」
「ううん! おいしいよ!」
パパさんが様子を見に来てくれたのでぷりんはえがおになりました。そしてまたもぐもぐもぐとお子様ランチを食べるのでした。
さてさて、本日最後のおきゃくさんはうさぎの母娘。今日はパーティ―のためのお菓子を買いに来たみたいです。
買い物を終えた母娘を見送りながらぷりんは、もう会えないママさんのことを思い出して、じんわり涙目です。
そんなぷりんの頭がやさしくなでられました。パパさんです。
「お疲れ様。ぷりん店長」
「……パパさんもね!」
ママさんには会えないけれど、さみしいときはいつもパパさんがいてくれます。だからぷりんはパパさんがだいすきなのです。
それから二人は一緒にごはんを食べて、おふろに入って、少しだけゲームをして遊びました。それから二人でベッドに入りました。ぷりんはパパさんに抱き着きます。パパさんはぷりんの頭を撫でてくれました。
「パパさんだいすき!」
「ぼくもぷりんがだいすきだよ」
これは森の奥にあるちいさなお菓子屋さんのちいさな日常です。
おわり