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クリスマスに思う
クリスマスに想う・・・
「ブルークリスマス」(エルビス・プレスリー)、「クリスマスイブ」(山下達郎)、
「クリスマスラブ」(サザンオールスターズ)、「クリスマスキャロル」(稲垣潤一)・・・
さびしい歌のオンパレードである。クリスマスという非日常に恋愛をかけて、歌にしている。
本来は「生きている幸せを感謝する日」が「男と女が愛し合っていることを確かめ合う日」に変体し、「みんな幸せそうだけど、僕は独りぼっちで寂しいよ」ということが主題になる。テーマは決まっているので、作り手も歌にしやすいのだ。ミュージシャンなら必ず1曲はクリスマスソングを持っているもので、レパートリーのにぎやかしになる。そしてクリスマスソングでハッピーな内容は少ない。楽しい日に楽しい歌を歌ってもドラマにならないからだろう。
僕は中学、高校とミッション系の学校なので、クリスマスという定義はそれなりに知っているつもりだが、簡単にいうと本来クリスマスは、日本でいうところの「お正月」である。アメリカでもイギリスでもクリスマスの日は公共機関も休みになり、交通機関も特別なタイムスケジュールになる。レストランや商業施設も軒並みクリスマスホリデーになる。そもそもクリスマスは家族で厳かに過ごすものであり、1年間の幸せを神に感謝する日である。七面鳥の料理も自宅のオーブンで焼き、ケーキもドライフルーツがちりばめられた質素なパウンドケーキを食するのだ。まさに日本のおせち料理かの如く。
クリスマスにカップルが街を闊歩するなど、本来はありえないのである。
ちなみに僕は、2人だけで彼女とクリスマスを過ごしたことがない。ゴリゴリの国粋主義者ではないのだが、街が浮かれてクリスマス料金なるものが設定されて、アホらしくなるのでその日はデートを避けるようにしていた。もちろん世間一般で言うクリスマスプレゼントという慣習については従い、プレゼントの交換を行うが、クリスマスにかこつけただけで、普段欲しいものを言い合いながら、その日を迎えていたので、ロマンチックなものは何も無かった。
さて、クリスマスという日について、日本はどこでどう間違った捉え方をしてしまったのだろう。サンタクロースとプレゼントとケーキだけが一人歩きしている気がするのは僕だけだろうか。要はバレンタインデーが「森永製菓が仕組んだイベント」と同義で、商売上手な日本人がバタ臭い風習に便乗しただけという気がする。
そんでもって子供は12月になると途端に物分りの良い子に変身する。サンタクロースにお手紙を書き、プレゼントをリクエストする。親は「いい子のところにしかサンタさんは来ないよ。」と子供をけしかける。子供は精一杯の笑顔で約3週間をききわけの良い子を演じる。あーっ、何だか屈折しているなぁ。
サンタクロースにまつわる話。
子供はいつ頃までサンタクロースの存在を信じているか・・・。簡単に「実は嘘なんだ」「サンタなんていないよ、親がプレゼントを用意しているんだよ」などと言ってしまったら、ずっと信じ続けてきた子供はどう思うだろう。これはSEXの話と同じで、いつの間にか知っていた、という着地点が一番具合が良いんだと思う。僕も確かに小学校1年生の時に、枕元にウルトラセブンの動くおもちゃが置かれていたとき、真剣にサンタクロースはいると信じたものだが、いつの間にか親が用意していると気づき、それ以降まともにプレゼントなんて貰ったことなんて無かった。直接親に「プレゼント頂戴」と言って、親も「クリスマスだからなぁ」という具合に・・・。
我が小学3年生の娘はうすうす気がついてきているようだが、サンタクロースの正体を明かすときは、仰々しくすると感受性の強い子供の感性が曲がってしまう。
仰々しく言って失敗した例がある。
ある父親が、息子に対し10歳にもなってサンタクロースを信じていることで、学校で馬鹿にされやしないかと思い、こう言った。
「おまえも、10歳になったから言うけど、これは男と男の話だ(大げさ)。実は、サンタクロースはお父さんだったんだよ・・・。」
「えっ!」
「やっぱり知らなかったか・・・。」と父親。
その純真な子供は感受性が強い。次の日、学校でこのことをクラスメートに話した。
「うちのお父さんがみんなの家にプレゼントを配っているんだぞ!」
「お前、バッカじゃないの~。」
実話である。
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そんな中で僕の好きなクリスマスソングは、ジャクソン・ファイブの「「ママがサンタにキスをした」である。
その夜、ボクはついにサンタさんを見る。
サンタさんに寄り添って、ママがキスをしていた。
世の中って、不思議なことなんてないもンだなぁ…。
と歌われるこの歌。
サンタの正体がばれて最初はがっかりするかもしれない。だけど、ちょっぴり嬉しくもなる。そんな嬉しさが連綿と受け継がれて、サンタクロースは誰の心の中にもいるということ。
海外のクリスマスソングは比較的明るいものが多い。
多神教の国である日本がクリスマスに浮かれている。クリスマスイブから1週間もすれば、神道に早がわりである。神社に初詣に行き、お神酒を飲んで幸せな気分である。もし、28日くらいに誰か死んだら、坊さんを呼んで仏教にもなってしまう。日本とは何とおめでたき世界。
多神教の日本は寛容だと唱える人も多いが、それは誤りで日本人がそもそも宗教というものに対する寛容度が低いのである。
それは言い換えれば、宗教感を持った人が少ないということかもしれない。だから、僕がクリスマスに対しあまり肯定的でないことは、イベントととしてクリスマスを取り上げ、そんな状況を女々しいクリスマスソングで悦に浸っているやつが多いことが嫌なのかもしれない。
2004年12月21日
花形