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『黄昏のレンガ路』 エルトン・ジョン
今回のブログは、ルッキズムやLTGBQなどという言葉が無い時代の偏見に満ちたものだが、本能的な嗜好は世の中の流れで簡単に変わるものではない。ただそれを声を上げて言うことを控えるかどうかという事。
今の時代に合わないことはわかっているが、エルトンが発表した音楽は素晴らしいものだし、特にこのアルバムはヘビロテする。
2024/11
僕にはアーティストに対し、ものすごい偏見がある。フロントラインに立つ人は、格好良い人でなければどんなに歌が上手でもNGなのだ。当り前のように聞こえるが、その“格好良い”に条件がある。
“格好良い”の条件は、①背が高いこと(これだけは譲れない)②痩せていること(中年太りはまだ許せる。若い時痩せてたんだからね)③ハゲていないこと(きついなぁ)④同性愛者(男も女も普通がいい)
でないこと・・・など。この条件をクリアしていないと、とたんに眼中に入らなくなる。認めないわけではない。音楽は素晴らしいと思うが、そのアーティストが好きになれないのだ。だからクイーンは素晴らしいロックバンドと思っているが、最後まで本当に好きになれなかった。
こんな勝手な言い分だが、好き嫌いの問題なのでしょうがない。この条件にあてはまらない有名アーティストとして、エルトン・ジョン、ビリー・ジョエルなどは最たるものだ。特にエルトン・ジョンは、僕のアーティスト条件から一番遠い所にいる。
しかし、そのエルトンだが、聞き込むと良いアルバムがたくさんある。セカンドアルバムの『エルトン・ジョン』(1971)は、シンガーソングライターブームがアメリカ西海岸のものだけではないことを証明したし、『Don’t Shoot Me I’m Only The Piano Player:ピアニストを撃つな』(1972)では派手にロックンロールを決め、ヒット曲にも恵まれた(「クロコダイル・ロック」・・・)。この流れで発表された『Goodbye Yellow Brick Road:黄昏のレンガ路』は、4枚のシングルヒットを生んだ力作に仕上がっている。すでに前作より商業的には成功していたが、この作品で不動の人気と地位を築き上げたといっても過言ではない。当時のイギリスはビートルズが解散し、クラプトンは薬中毒になり、やかましいブリティッシュ・ハード・ロックが音楽界を占める形となり、ヴォーカルファンが目を背ける時代だったようだ。
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『Goodbye Yellow Brick Road:黄昏のレンガ路』は、2枚組のLPで発売され、様々なジャンルを網羅している。いきなり11分のオープニング・ナンバーやレゲェやR&Bなど音楽的な幅が広がり、前作よりも工夫され制作されていることがわかる。またグラムロック(時代だねぇ)調の楽曲が目立ち、ともすればいろいろな音楽のごった煮状態のようだが、ビートルズの『ホワイトアルバム』のようにスルリと入ってくる。2枚組のアルバムですんなり聞き通すことができるアルバムこそ、上質な作品といえるのではないか。
曲の並べ方の妙か、各楽曲のパワーなのか・・・。
そしてそこにエルトンのパワーがクローズアップされるのだ。
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もって生まれた容姿や性癖は中々変えることができないが、何万人もの前でおどけたパフォーマンスを見せたり、真剣勝負をする姿は、彼が音楽に対する強い想いとアーティストであるが故のアイデンティティを確立させる手段なのだろう。
人間の本質は演技できない。しかしそれをコンプレックスと感じるか、強みとするか。
エルトンは類希なる音楽性を持ち、常に音楽チャートを引っ張ってきた。例えばデビュー以来発表する作品(アルバムもしくはシングル)が、必ず1位をとる記録は破られることの無い金字塔だろう。
僕のエルトンのアーティストとしての魅力は、紛れも無く音楽である。それ以外は全く無い。やっぱり容姿から入っちゃうんだよなぁ・・・。それが証拠にクラプトンと一緒に東京ドームでコンサートを行ったとき、エルトンの時間は苦痛だったもんなぁ。コンサート会場で『Goodbye Yellow Brick Road』を流してくれた方が良かった・・・は言いすぎ?
とにかく『Goodbye Yellow Brick Road』は名盤だと思うし、エルトンの最高傑作だと思う。
80年代だったら『Jump Up』(1982)かなぁ。仲良しだったジョン・レノンの死を歌った「Empty Garden」が泣かせる。そういえば、クィーンのフレディもエルトンと仲良しだったなぁ・・・。みんな死んじゃうね。
2005年8月18日
花形