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山下達郎 アコースティックライブ in 小樽GOLDSTONE


2019年春、今から5年前のコンサートレポートです。
今までにレアなライブに度々参加しましたが、このライブもかなり貴重なものでした。
今年も全国ツアーはあるかな?
2024年3月



 首都圏では春一番も吹き荒れ、三寒四温の安定しない天候の中、それでも春の訪れがもうすぐという雰囲気でありますが、北海道は3月とはいえまだまだ冬であります。月半ばの3月16日で、気温はマイナス1度。雪が降っておりました。さて、そんな小樽の夜でありましたが、外は寒いが中は熱い演奏が繰り広げられました。

小樽GOLD STONEでの山下達郎アコースティックコンサート。

 このコンサートはレギュラーのツアーのスピンオフ企画といいますか、ラジオで話している達郎氏の言葉を借りると「常にライブ感を持っていたいこと、アコースティック編成でできる可能性を試すこと、フルバンドではなくアコースティックだから活きる曲を演奏したいこと・・・」など氏の拘り溢れる企画であります。

そもそもアコースティックライブは、予算の関係でバンド演奏は難しいというイベント時に開催されており(達郎氏のラジオ・レギューラー番組「サンデー・ソング・ブック」の500回記念とか10周年等の記念コンサート的な開催)、達郎ファンの間ではレアなライブの位置づけであります。
そんなアコースティックライブは、最近では新宿LOFTや、広島のクラブ・クワトロ、京都の拾得など小さな会場で不定期に行なわれています。
 突然告知が出ますから、常にホームページなどをチェックしておかなければなりませんが、収容人数の少なさも相まって当選倍率は80倍以上の時もあるとのこと。
今回も外れる覚悟で申し込みをしておいたら見事当選。春の横浜を後に、冬の北海道に乗り込みました。

 小樽GOLD STONEは小樽運河に面したとてもおしゃれなライブハウスです。
会場は座る席が60席くらい用意されており、あとは立ち見です。
 今回の収容人数は140名とライブ中に言っていましたから、半分以上の方々が立ち見であります。休憩無しの3時間ライブですから、老体には堪えるライブです。

 さて、ピアノの難波弘之、ベースの伊藤広規を従え、「ターナーの汽罐車」からスタート。達郎氏のギルドから奏でるビートが気持ちよいです。「あまく危険な香り」「夏への扉」(難波弘之と歌い分け)「砂の女(鈴木茂)」「ペイパードール」と熱い演奏が繰り広げられます。  
 達郎バンドでのライブであれば、コーラスやサックス、シンセサイザーなどレコード通りの再現も可能でしょうが、限られた音の中での演奏はビートが命です。それはスローな曲であっても躍動するリズムが無いと成立しないわけで、その3人のビートがあるからこそレコードを聴きなれている我々でも納得できる、いや、感動できる作品に甦っているのであります。

 アコースティックライブは客との距離も近いのでMCも多めになるとのこと。

気になったMC・・・

「このライブは本編のライブ(コンサートツアー)の休み中にも喉を鍛えておくと言う意味もあるんです。休み期間中に声を出しておくと本番のツアーに入りやすいんですね。だから、今回のアコースティックライブが本ツアーのリハという印象にも受け取られるかもしれませんが、そんな低レベルな話ではなく、しっかりやっていきますよ」

「山下達郎のコンサートを初めて観る方はどれくらいいらっしゃいますか?あー、なるほど。こういう抽選でのコンサートは一見客が多くなるということもあるので、選曲が非常に難しくなります。あまりにもヒット曲ばかりやると古い常連からは「なんだ、こんな曲ばかり・・・」と言われますし、常連に合わせてマニアックな曲ばかりになると一見客は気絶してしまいますからね。バランスを取る事が大変難しい・・・」

「この曲は以前イベントでやりました。もう10年以上前のことです。この曲の意味を高校時代に知った時から私の反戦への表現になっています。
そして、いまだにこの歌を歌っていることに、この歌が歌われなくなるような世の中に・・・。
私は戦争に対して無力です。但し、歌い続けることが私の役目だと思っています」と言ってマーヴィン・ゲイの「What'sGoing On」を演奏。

「ここにお集まりの140人を納得させることができれば、(ドームクラスの)45000人を納得させることは可能です。しかし、45000人のドームクラスのコンサートをしているミュージシャンが100人の観客を納得させることができるかははなはだ疑問。会場が大きいと誤魔化しがきくんですよ。プロンプター見たり、口パクしたり。
つまり、人数が少ない程、ミュージシャンと客とのガチンコの勝負になるから、誤魔化しはきかないんですよ!どこの誰とは言わないですけどね・・・」

 自分の意見を真面目に伝える時の表情は、険しく、芯のあるトーンで話します。また、それが他のミュージシャンや音楽業界を示唆する時は、強めの話をした後は、顔を崩しながら「こういった事をツイッターに書かないでね」とか「洒落ですよ、洒落!」と戯けることも達郎氏の説得力のある話術のひとつです。洒落と言いつつ本音ですからね。

 ライブハウスを中心に活動していたシュガーベイブから音楽業界に入った達郎氏ですから、ライブハウスの思い出を話し始めると止まらなくなります。そういう中でシュガーベイブ時代の曲を聴くとタイムスリップした感覚になります。
また、「BOMBER」や「Ride on Time」「Love Space」といった曲はフルバンドで聴いているかのようなグルーヴがあり、1981年に観た六本木PIT INNでのステージを彷彿させるものがありました。

 アンコールを含め22曲。3時間のライブでありました。
会場の外に出ると雪が舞っておりました。
小樽運河のガス灯がぼんやり浮かび、帰路につく人々を照らし出しておりました。みんなの上気した表情は笑顔で幸せそうでした。

今年も全国ツアーを開催予定とのこと。

楽しみですね。

2019年3月25日

花形

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