『嘉門雄三&VICTOR WHEELS LIVE !』 嘉門雄三&VICTOR WHEELS
若さに任せて過激な事を書いている。今読み返すと恥ずかしい。20年前の稚拙なコラムだ。
僕は音日記には嫌いなミュージシャンは載せないと決めている。なぜなら悪いことしか書けなくなるから。別に音楽評論家でもないので、無理して嫌いなミュージシャンの事を書いても悪いことしか書けない。そんな中でいきなりこのコラムでは例外的にサザンにモノ申している。
ま、戯言と思って読んでくれればいい。
2024年8月
僕は、サザンオールスターズが嫌いだ。あの学生ノリのC調なところが嫌いだ。偏見かもしれないが、青学のベター・ディズ出身かなんか知らんが、苦労知らずのボンボンが音楽やってます!ってところも嫌いだ。なんといってもアマチュアっぽいの。
桑田圭祐の作る詞が嫌いだ。変な日本語と英語をごちゃごちゃにして、スケベな歌詞にしてしまうノリも嫌いだ。どうせやるなら、岡村靖幸かラブ・サイケデリコまで突き抜けないと!・・・中途半端なんだよな!
クラプトンが好きな僕にとって、桑田がクラプトンのモノマネするあの根性が嫌いだ。歌い方やギターソロなんかそのものやん・・・。何が「いとしのエリー」だ。「いとし」と来たら、「レイラ」なのだ。そもそも桑田と原由子と大森(g)はクラプトンつながりでバンドを始めたらしいけど・・・。そういえば、サザンの編成も70’sのクラプトンバンドそのものだ!
桑田のあの歌い回しが嫌いだ。桑田の真似をしてカラオケで悦に浸っている奴はもっと嫌いだ。
「えーっ?サザンのこと嫌いな人っているの?」と言っている奴が本当にいるから驚く。
また、そういう輩が本当にサザンファンには多い。何度も目撃したし、何度も「嫌いだよ」と言ったことがある。
あー・・・いらいらする。まだまだたくさんあるが、もういい。
僕が桑田を認めている点は2つ。
ひとつは原由子と結婚したこと。これは大きい(何のこっちゃ)。
そしてもう1つは、ソロプロジェクト。桑田のソロは面白い。ロック好きの兄ちゃんという感覚で見ていればサザンのことなど気にならない。
桑田は古くはKUWATA BAND、最近ではソロとしてビッグ゙ヒットを飛ばしているが、彼の面白みはそこじゃない。他人の歌をカバーする桑田が僕は好きなのだ。
例えば、アクト・アゲインスト・エイズのイベントでは、毎年いろいろな趣向で観客を楽しませている。企画のほとんどが他人の歌を歌うもので、若い時にコピーした歌をのびのびと歌っている。企画的には60年代や70年代のブリティッシュ・ロックやJAZZ、アコースティックで洋楽カバー、すべてのメニューがクラプトンナンバーという時もあった。桑田の好みで選曲されるが、この選曲が実に的を得ていて楽しくなる。この模様は毎年TVで放映されるので僕は楽しみにしている。
さて、桑田のソロだが、嘉門雄三という偽名で出したアルバムを御存知だろうか。
『嘉門雄三&VICTOR WHEELS LIVE !』(1982)と題されたライヴ盤である。ホント、学生の文化祭のノリで展開されているライヴで、渋谷のエッグマンというライブハウスで行われたものだ。録音日を見るともうサザンで人気は定着していた時期なので、シークレットライブに近い形で行われたものだろう。
バックは斎藤誠(g)、関口和之(b)、国本佳宏(Key)、宮田茂男(ds)、原由子(Key)、小林克也と、KUWATA BANDとザ・ナンバーワン・バンドの合同部隊のようで、しっかりとした演奏を聴くことができる。
桑田のオリジナル「REGGAE MAN」以外はすべてカバー曲で構成されている。ザ・バンドの「ウェイト」やビリー・ジョエルの「さよならハリウッド」、マーティン・バリーの「ハート悲しく」なんて時代だよなぁ。もちろんディランやビートルズもしっかり入っている。客との掛け合いもあり、会場の熱気が伝わる良いライヴだと思う。きっとこういった企画が大きくなっていってアクト・アゲインスト・エイズのイベントにつながったのではないかと思う。
1986年と1987年の12月24日、桑田はNTV系《メリー・クリスマス・ショー》を企画、出演し、視聴者を楽しませた。いろいろなロックの名曲を異種格闘技戦よろしく様々なジャンルの人とセッションしていた。山下洋輔と忌野清志朗と桑田で即興演奏をしたり、布袋寅泰とチャー、高見沢俊彦、鮎川誠らとロッカペラを演じたりと内容の濃いプログラムだった。こんな遊び心を持つ桑田は本当に面白いと思う。
そういえば最近では、《ROCK寅さん》って番組なかったっけ?確か同じような内容だった気がするんだが・・・。こういう遊びの企画ならいいんだけどなぁ。
『嘉門雄三&VICTOR WHEELS LIVE !』は、隠れたカバー名盤だ。
2005年8月27日
花形
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