母からはみえているのか

11月半ばに施設へ移ったのに、まもなく体調を崩して病院へ入院した母が、退院してまた施設へ戻った。
この短期間に、あちらへこちらへと移動が多かったせいか、（それとも認知症が出てきてしまったか…）せん妄が酷く続いている。

何故か、私のお腹には赤ちゃんがいることになっていて、今日面会へ行った時も「いつ生まれるの？」としつこく聞いてくるので、「それはお母さんの夢の中のお話しなんじゃない？私は赤ちゃんいないよ」と、否定した。良くなかったかなと思いつつ、このままやんわりかわしていても「生まれた赤ちゃんを連れてきて」とか言われると困るなあと思った。

母には歳の離れた弟がいる。私にとっては叔父。かなり前になるが、叔父の会社で働いたこともあったり、今でもたまに会うこともある。
今日、その叔父（母にとっての弟）のことを母は「クローゼットを勝手に開けられてお金を取ってるみたいなの」と話していた。
叔父は、そんなことをする人ではない。数年前に私の家が半壊の浸水被害に遭った時も金銭的にも助けてくれた。数年前に会社は畳んで、色々と事業を渡り歩いて、今は元の業界でまた事業を立ち上げて順調にがんばっている、みたいだ。だからそんな、お金を取るようなそんなことをするわけがないのだ。

母が叔父のことをそんな風に言っている、ということを母の妹（私の叔母で、叔父にとっては姉）に伝えた。
「おじさんは順調なんだからそんなはずないのにね」という私の気持ちも含めて。

すると叔母は。
「あー、お姉ちゃんはそう言ってるんだね。だったらひょっとすると（叔父の事業は）あまりうまくいってないのかもね」と言った。

叔母は何を言っているのだろう。叔母までおかしな事を言い出す。と思って何度も同じ話を繰り返してしまった。

「だからね、お姉ちゃんはいま半分あっちの世界にいっちゃってるんだと思うの。だから、空の高いほうから色んな物事を見てるんじゃないかしら」

と、突然スピリチュアル的なことを言い出す。

「だからね、おじさんが順調だっていうのも、そう言っているだけで実は順調ではなくて、お金に困っているような状況なのかもしれないわね」
それが、母にはみえていて、それが、「お金を取られた」というせん妄として現れた、と。

なるほど。
納得してしまった。

母の年齢は、８８歳。
占星術の話になるが、天体は人間の発達段階とリンクしていて、母の年齢だと海王星に相当すると学んだ。

海王星は、枠を越えるとか、目には見えない意識と繋がるとか、確かそんな意味があったと思う。だから、腑に落ちたのだ。

叔母にもスピリチュアル的な何かがあるのかと思ったら、祖母（叔母にとっての母親）にもそういうことがあったようなのだ。

「昔ね、おばあちゃんも突然変なことを言い出すと思ったら、その通りだったってことがあったのよ…」

そうなのか。
私がスピリチュアルなものに興味があるのは、家系的な面もあるのかもしれないな、と思った。

ところで、叔父のことは叔父に聞いてみれば、本当はお金に困っていたとか、そういう事実は分かるかもだけれど、私の「赤ちゃんができる」という発想は？

一体、母からは何がみえているのだろうか…。