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義己 伊月
2023年5月27日 15:32
春の晴れた暖かな日。 私は長い階段を上がり、ある神社に来た。近くの公園では花見客が集まっているものの、この神社では皆無に等しい。これほど美しい一本桜が咲いているというのに。 人のいない静寂に包まれた境内で、私は参拝を済ませる。そして早速、鳥居のすぐそばに伸びる桜の元へと向かった。「綺麗……」 春の風が吹き、桜の花弁が散るその様は晴天の空によく映えた。 しばらく桜の木を眺めて、私はその場