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僕ん家のお風呂の壁

昨日、僕の母が大分変わり者だという話をしたが、父も少し変わり者だ。それが分かるエピソードを思い出した。僕が高校生の頃、古い家を建て直し、新しい家にした。新しい家にする際に、色々と考えることがあるが、それが楽しかった。そんな中、一つだけ大揉めしたことがあった。建築士さんも同席していてのことだった。お風呂の壁を何色にするかということで意見が割れた。僕は水色が良い。海にいるみたいだから。妹はピンク色が良いと言った。母は緑色。自然が好きだから。父は黒色。黒色?そんな風呂あるか?嫌だ。と思った。狭く見えるし。と子供ながら思った。父は高級感があるから良いと言ったが、母はこれに大いに反対。水垢が目立つし、掃除するの誰だと思ってるの?と。父も父で「オレもたまに掃除している」と反対。ここで埒が開かなくなった。二人して大人ながら大揉め。建築士さんも困った様子で、「まあまあまあ」と。30分ぐらい経っただろうか、父が急に、「ここはオレの家だ!オレが決めた色にする!文句は言わせない!」と大声で言った。そして、しょうがないな、そうするか、という空気が漂った瞬間、「灰色にする!」と言い放った。「灰色?そんな選択肢あったっけ?え?何で急に灰色?」とそこにいる誰もが思っただろう。「黒色にする!」ならまだしも分かる。自分の意見を貫き通してのことだ。がしかし、灰色だ。意味が分からない。どうやら、みんなの意見をまとめてのことだったらしいのだが、いったいそれは誰得なんだ。父は誰一人として欲していない色を選んでしまったのだ。こうして僕の家のお風呂の壁は灰色になった。

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