ウォッシュレット

ウォッシュレットに関してのトラブルが二つある。一つはつい先日のことだ。ウォッシュレットには位置がある。前、真ん中、後ろ、という具合にだ。あれは意外と難しい。ピンポイントで当てないといけないからだ。だが、その日はコンビニでトイレをした後、なんともなしにウォッシュレットを押したら、背中に直射した。若干キレそうだった。前にお相撲さんでも座ってたのかと本気で思った。二つ目は、すごく真面目な仕事の場面でのことだった。13時にお客様がご来店されるアポイントがあり、待っていたところ、急にトイレがしたくなった。まだ10分ほど時間があるから大丈夫だと思い、ゆっくりトイレをしてウォッシュレットを使った。約束の時間まで後5分といったところだった。そのウォッシュレットは止まらなくなった。何度止まるのボタンを押しても水が止まらないのだ。ボタンを連打してみたり、長押ししてみたりもしたがダメだった。そんな時に電話が鳴った。どうやらお客様が到着したらしいとのことだった。まさかウォッシュレットが止まらなくてトイレから出られないとも言えず、「急いで行きます」とだけ言って電話を切ったが、その思いも無念に、ウォッシュレットはとどまることを知らなかった。10分以上はウォッシュレットを浴びせられ続けただろうか、これ以上お客様を待たせる訳にはいかないと思った僕は、ある策を考えた。勢いよく便器の蓋を閉めることだ。だがしかし、立った瞬間ウォッシュレットの水はどうなる？自分にかかるのは火を見るより明らかだ。そして何より蓋を閉めたはいいが、ウォッシュレットそのものがもちろん止まるわけではない。テンパりにテンパった僕は、今考えても何故だか分からないが、ビデのボタンを押した。するとウォッシュレットは何事もなかったかのように止まった。何はともあれ良かったのだが、流石にあの時は焦った。正直に言うと半分泣きそうになっていた。その日以来僕はウォッシュレットを使うのをやめた。