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【早明浦ダム】香川県早明浦ダム出資拒否デマ【出資拒否】簡単版

※この記事ではほぼ全ての内容に対し誰にでも閲覧、検証可能なソースを用意しています
※早明浦ダム関係のWikipediaやニコニコ大百科はデマ屋が自身で編集していることをアピールしているため、ソースとして採用していません
※特定の県が「良い」「悪い」という話ではありません

◾️香川県早明浦ダム出資拒否デマ

デマを3つのポイントにまとめます。

①四国で多目的ダムを作ることになった際、香川が出資拒否した
②香川の負担を徳島が肩代わりした
③ダム完成直後に渇水が起こり、慌てた香川がダムの費用を後から出資した

それぞれの点について検証してみましょう。


◆検証①
「四国で多目的ダムを作ることになった際、香川が出資拒否した」

・「出資拒否」が事実である事を示す根拠がない

そもそもなんの根拠も証拠もありません。
根拠のない主張は「陰謀論」や「妄想」と変わりません。

・香川が出資した記録はある

早明浦ダムの総事業費は約331億円ですが、治水分と発電分を除く利水分の事業費約109億円のうち、水道用水と工業用水、農業用水の取水量の割合等に応じて香川県は約44億円を負担しており、事業費に占める香川県の負担割合は約40%となっています。

香川県ホームページより引用

ほかにもいくつか具体的な出資金額が記載されている資料が存在します。
早明浦ダム工事誌」「吉野川総合開発誌」「香川用水誌」です。

・ダム建設に乗り気な香川と愛媛

(5)四国4県の立場
 昭和29年に”吉野川総合開発計画(調整試案)”が発表された際の、四国4県のそれぞれの立場は、分水に強い期待を寄せる香川県、分水には絶対反対を主張する徳島県、県内開発が優先であり、差し迫った課題ではない愛媛県と高知県、という構図であった。

令和4年10月19日インフラ整備70年講演会 P4より引用

・香川は分水に強い期待
・入水側の香川県、愛媛県は「調整試案」に非常に乗り気
・慎重であり分水に絶対反対の立場だった徳島県

香川と愛媛はノリノリですが、徳島は「分水に絶対反対」していました。

・徳島の「分水」と「負担金」拒否

徳島県が吉野川総合開発計画に対して、「分水拒否」を示す

吉野川歴史探訪 Ourよしのがわより

水を分ける側の徳島県がダム建設費の高額な負担金を払わなければならないのは、県民感情として承服しかねる。

学会誌「土と基礎」招待論文より

1.香川が出資拒否したことを示す根拠も証拠もない
2.香川が出資した記録がある
3.香川は建設に対してノリノリ
4.徳島はダム建設の際「分水」を拒否し、「負担金」も県民感情で拒否

つまり「四国で多目的ダムを作ることになった際、香川が出資拒否した」は全て嘘である事が分かります。

吉野川の洪水により多大な被害を出し続けていた徳島は、「ダムは必要だがダムが出来たからといって他県に水を分けるなんて許せない」という感情が強かったみたいです。

◆検証②
「徳島が香川の負担を肩代わりした」「香川が出資を拒んだ分は徳島が多くを負担した」

・証拠がなにもない

肩代わりしたのが何の費用なのかも分かりませんし、そもそも「出資を拒んだ分を徳島が負担した」ことが事実であることを証明できるような記録もありません。

・「徳島が肩代わりした香川の負担」とは

① 某4コマ漫画の「治水のためしょうがない」というセリフ
②「徳島が肩代わりしたことで香川が負担していない」という設定
③「徳島が多くを負担した」という設定

以上を考慮すると「治水分費用」の事だと思われます。

・治水分費用とは

「吉野川の治水に対する費用負担」の事です。

早明浦ダムの費用分担は「身替り妥当支出法」が採用され、各県がダムから受ける利益に応じて割り振られています。

(2)建設に要する費用の用途別負担額およびその負担者
イ)洪水調節および流水の正常な機能の維持に係る費用の額は、建設の費用に要する額に1,000分の573.5を乗じて得た額とし、国は水資源開発公団法(以下「公団法」という)第26条第1項の規定によりその費用の額のうちすでに国が要した額を控除した残額を公団に交付するものとし、その交付金は国及び徳島県において負担するものとする。

早明浦ダム工事誌P32より引用

「治水」とは吉野川水系に対する治水の事。
          ↓
吉野川の治水は徳島県にしか利益がない。
          ↓
治水分費用は受益者である国と徳島が負担することで合意されています。

▼費用負担について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください

・「徳島が負担を肩代わりした」とは?

前述した通り治水分費用は徳島の負担なので、『徳島の負担』を『香川の代わりに徳島が肩代わりした』と言ってることになります。あり得ませんよね?

・「肩代わり」でも「出資拒否」でもなく徳島の要望を断っただけ

治水分負担は「身替り妥当支出法」により定められ、国と四県が合意した国と徳島の負担です。徳島がその負担を他県に要求するのは自由ですが、他県には当然ながら断る権利が存在します。

徳島の要望が断られた=「肩代わりさせられた」「早明浦ダムに出資拒否した」

と言う訳ではありません。

ここまでの説明で
「徳島が香川の負担を肩代わりした」
「香川が出資を拒んだ分は徳島が多くを負担した」
これらが全て嘘であることがわかりますね。


◆検証③
「ダム完成直後の渇水に慌てた香川がダムの費用を後から出資した」

・後から出資した記録がなにもない

なにもなさ過ぎて金額すらわかりません。

・設定の崩壊

「治水分は徳島以外の県は一切負担していない」ので、「後から出資」してしまうと設定が崩壊します。

・時系列が捏造されている

①ダム完成
②渇水発生
③香川が慌てて費用負担

以上が香川県早明浦ダム出資拒否デマの内容です。
それでは実際の時系列を確認してみましょう。

①費用の割り振り案が決まったのが『昭和41年』

昭和41(1966)年開催の第4回部会で、建設省から提出された最終試案が承認されました。

早明浦ダムの建設① P3より引用

②渇水は『昭和48年』

昭和48年(1973)6月の高松市の降雨量は83ミリしかなかった。その上、6月29日の降雨後は、7月31日の7.5ミリの降雨を除いて、8月14日まで晴天が続いた。このため、高松市では63日間にわたって給水制限が続き、高松砂漠と言われた。

四国災害アーカイブスより引用

③ダム完成(暫定通水)は『昭和49年

香川用水事業の区切りとなる通水イベントは大きいもので、3つあります。
「暫定通水」「本格通水」「全線通水」の3種です。
1つ目の「暫定通水」は、昭和49年5月30日です。

香川用水の通水より引用

つまり、「後から出資した」は時系列すら捏造した「完全な嘘」です。
常識的に考えてもダム完成後に「後からお金出します」なんて通る訳がありませんし、通ったという証拠も当然ながら存在しません。


◆結論
「香川が早明浦ダムに出資拒否した」は『なんの根拠もないデタラメ』である

「香川が出資拒否した」事を証明するのはとっても簡単です。

「出資拒否した事を示す、誰にでも検証可能な具体的根拠のある証拠」を出せば良いだけですから。

デマを流している側が、検証可能な根拠や証拠を一切提示せず、『絶対出資拒否した』『新聞に書いてるのを見た』『見たって書いたから本当』『2chに書いてた』などとうわ言を繰り返している事実こそが、これらがデマであることの証明だと言えるでしょう。

ここまで記事を読んでいただき本当にありがとうございました。


・詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ

加筆修正を繰り返して6000文字近いです…

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