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60歳からの飲食業開業記録(その2)

(その1からの続きです)

その事業計画書の冒頭にはこんなことを書いてました。

     出店「5か条」

①家賃は税・共益費込みで10万円以内にすること。
  (固定費が多いと続かない)

②主要駅に至近であること。
  (誰もわざわざ来ない、立ち寄りに至便)

③人を雇わないこと。
  (固定費が多いと続かない)

④運転資金100万を準備すること。
  (余裕がないと続かない)

⑤トイレは綺麗なこと。
  (汚いトイレの店は行きたくない)

今となっては守れていない項目もありますが、基本的な考え方は間違っていなかったと思いますね。

①と②なんて二律背反、シロウトだから言えることですよね。でも物件さえ選ばなければ探せばあるもんです。


事業計画書では次にこんなことを書いてます。

     目標

① 1年間かけて黒字化
② 月間売り上げ20万円

1年間は口コミ期間として、収入があれば良しとする。
1ヶ月の客数目標/15カ月目より100人(1日4人×25日)    

固定費支出(1ヶ月)

家賃80,000円
水道光熱費20,000円
交通費11,000円
諸経費2,500円
合計113,500円

変動費支出    仕入れ(売り上げの3割)

まぁ、知らんとは恐ろしい。
黒字化の定義も曖昧だけど、売上20万が目標とは…

仮に、目標売り上げ20万円を達成したとして

仕入れが3割だと6万円

固定費と仕入れで経費が173,500円

売り上げ200,000円一経費173,500円=利益26,500円

25日働いて、1日千円ちょっと…これで黒字?


シロウトが事業をする場合によくある話ですが、自分が働いた分をタダだと思ってしまうんですね。仕入れと家賃などの固定費が払えれば赤字では無かったと。
それじゃ時給ゼロの奉仕労働ですね。しっかり自分(や嫁さん)の時給も損益分岐の計算に入れないとね。

とにかくビビりで石橋を叩いても渡れない私なので、チョー低めの目標設定でした。
周りの人にやめとけ!と言われたくないから、とにかく言い訳ができるように、1年間お客さんがゼロでも大丈夫の計画だとか言ってましたね。
(実際は3日お客さんが来なかったら相当落ち込んでたんですがね)


【笑えない開店初日】

無事退職した後に、計画書通りに三ノ宮か神戸駅のJR新快速が停車する駅で店舗を探していたんですが、申し分のない空き店舗が見つかりました。
(ところが後でとんでもないことが分かるんですが…)

当初、カウンター席とテーブル席で10席未満を予想していましたが、15席あって演奏スペースも取れる、願ってもない大きさです。
さらに内装やカウンター椅子、音響機器もそのまま居抜きで置いてあり、改装費用は数十万円で済みました。これは大きい。

まぁそんなこんなで、許可申請やら内装工事、備品購入などで数ヶ月。
お世話になった人や親しい人を呼んで、内輪のパーティもやりました。

いよいよ開店日です。

午後7時からの営業です。
ありがたことに、開店祝いのお花が次々に届いて、それらをお店に並べて行きます。

しかし、1時間経っても2時間経っても、お客さんは誰も来ません。
来るのは、お花の配達員さんだけです。

とうとう、その日のお客さんはゼロでした。

開店日にお客さんゼロ。
今でこそ笑い話にしていますが、あの時の気持ちと言ったら…

(その3に続く)

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