10/24 モーサテ プロの眼 🇯🇵 国債を誰か買う ❓国家破綻ありうるのか
国債市場の動向と注目点について
1. 昨年の国債市場予測:佐野一彦の的中率20%
佐野一彦氏(東海東京証券の著名アナリスト)の昨年の予測的中率が20%であったという点は、国債市場の複雑さや不確実性を象徴しています。彼の予測は、市場動向に関してしばしば参考にされる一方で、変動の激しい国債利回りの動きや、その他の要因が市場予測の困難さを浮き彫りにしています。
特に、昨年から国債利回りが上昇している状況は、市場関係者にとって重要な関心事です。利回りの上昇に伴い、投資家や金融機関の行動が変化し、国債の入札がどのように推移するかが注目されています。
2. 日銀の国債買い入れ額の減少
国債市場において重要なプレイヤーである日本銀行(以下、日銀)の動向も見逃せません。日銀は国債の最大の買い手の一つですが、2024年4月から9月までの期間における国債買い入れ額は月平均5.57兆円であり、これが2024年10月から2025年3月までの期間には月平均4.70兆円に減少する見込みです。この減少は市場に対する影響が大きく、日銀の買い入れ額の縮小によって、国債の新たな買い手が必要になります。
3. 新たな買い手の探求
日銀の買い入れ額が減少する一方で、市場では新たな買い手が求められますが、その候補として考えられるのは主に以下の三者です。
1) 海外投資家
海外投資家は、日米金利差によって円を調達することで国債を購入する可能性が考えられます。しかし、現状では円安によるリスクや円調達コストの増加に伴い、海外からの買いは細る公算が高いとされています。海外投資家の買いが減少する場合、国債市場における需給バランスに影響が生じることが懸念されます。
2) 信託銀行
信託銀行は年金資金の運用を行うため、株式市場が好調な場合には、リバランスの一環として国債を買い増す可能性があります。特に株高が継続する状況下では、信託銀行が国債市場において重要な買い手となり得ます。しかし、株価の上昇が続かなければ、その勢いは限定的となるでしょう。
3) 生命保険会社と銀行
生命保険会社や銀行は、大規模な国債保有者であり、理論的には国債の買い手となり得ますが、現時点では積極的な動きが見られません。これは、日銀の将来的な利上げに対する警戒感が背景にあります。金利が上昇する局面では、国債の価格が下落するため、保険会社や銀行は利回りの上昇に対するリスクを考慮して慎重な姿勢を取っているのです。
4. 生保と外国債券の売却動向
2022年以降、生命保険会社は外国債券を売り越しています。これは主にドルのヘッジコストが高騰したことに起因しています。ドル建て資産のヘッジコストが上昇する中、外国債券の保有リスクが増大し、結果として売却が進んでいます。このため、生命保険会社に国債市場での大きな期待をかけることは難しい状況です。
また、銀行に関しても同様で、金利上昇リスクを考慮し、積極的に国債を購入する動きは見られません。したがって、生命保険会社や銀行の動向に依存するだけでは、国債市場の需給バランスを保つことは難しいと言えるでしょう。
5. 国債市場の今後の課題
以上のように、国債市場には複数の課題が存在しています。日銀の国債買い入れ額の減少、海外投資家の円調達コストの上昇、そして生命保険会社や銀行の慎重な姿勢などが重なり、需給バランスが崩れるリスクが高まっています。これに対して、市場では以下のような動きが予想されます。
• 新たな買い手の登場:特に国内機関投資家の役割が重要となるが、株式市場の動向や金利政策に大きく左右されるため、確実な展望は難しい。
• 金利政策の影響:日銀の利上げが行われるかどうかが、国債市場における大きなカタリストとなる。利上げが行われた場合、国債価格の下落や金利上昇が顕著となり、投資家の行動が大きく変わる可能性がある。
• 外国投資家の動向:円安リスクや円調達コストの高騰が続く場合、外国からの資金流入は引き続き限定的となるため、国内の資金調達手段の多様化が求められる。
このように、今後の国債市場は不確実性が高く、さまざまな要因が絡み合っています。国債の入札がどのように進むか、そしてどのプレイヤーが市場に参入するかによって、今後の動向が大きく左右されるでしょう。
まとめ
国債市場の将来を見通すには、複雑な要素が絡み合っています。日銀の国債買い入れ額の減少や、海外投資家や国内金融機関の慎重な姿勢などが、今後の市場動向に影響を与える重要なファクターです。国債の需給バランスが崩れた場合、利回り上昇が加速するリスクがあり、これに対する適切な対策が求められます。