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下弦の月【詩】

これから欠けゆくばかりなので、下弦の月に秘密を打ち明けます。

ティーカップに角砂糖を溶かして、それはゆるりと時間をかけて夜のしじまに染みてゆきました。飲み干したものは私の一部になるでしょう。取りこぼしたものはシーツの染みになりますね。朝にはきっと、あの月とともに消えてしまいます。どうぞ、安心して。
私は声を上げないように掛け違えたボタンを一つづつ外して、するりと肌を滑り落ちるのはあなたがついた嘘でした。部屋の空気は私に纏わりつきます。煩わしいったら、ありゃしない。隔てるものなど、何一つあってはならないのです。あなたも、たぶんそうでしょう。何もいらなにのに。

重ねたら踊り出す、それくらいの気分でした。因数分解で得られた素数が身体の中を巡ります。言葉はそれよりも単純で、呆気なく胸の内が漏れ出すのでした。溢れてしまった感情を、ティッシュで包んでゴミ箱へ。あとは逃げるように、夜に堕ちる。月は全てを見ていたけれど、どうせ何も言えやしない。

これが私の秘密です。
どうか月が消えゆくそれまでは。愛してください、どこまでも。

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