キタダmusic room 2 詩人は路上を歩く 「雨」「湖畔」長岡亮介
原宿キャットストリートでの弾き語りですが、このクオリティの演奏なのに、(今ほど知られていなかったとはいえ)長岡亮介なのに、立ち止まって聴き入っている人が誰もいないというのが逆におしゃれすぎます。最後にピックを落としてしまった後の表情がいいですねー。人柄を感じさせます。
さあ、歩き出した長岡氏。今度は「湖畔」を歌いだす。
「湖畔」長岡亮介
youtube.com/watch?v=jiDTgffWHjk
原宿を歩きながら「湖畔」???・・・このミスマッチが謎めいていてまた最高。すれ違う人にギターを鳴らし歌い続けながら会釈したり、「雨」のPVでもそうですが、偶然前を通りがかった人を気まぐれに追いかけるカメラワークなど、怪しい人というしかない(笑)。そしてPVの最後は、曲をかき消すように不意に背後から近づいてきて、氏を追い抜いていくバイクの音「だけ」が画面を満たす。
・・・この曲は中原中也の「湖上」からインスパイアされた曲だと長岡氏自身が語っているそうですが、ああ・・・と思い当たったのは、中原のこんな文章。
「大正十二年より昭和八年十月迄、毎日々々歩き通す。読書は夜中、朝寝て正午頃起きて、それより夜の十二時頃迄歩くなり」(中原中也・詩的履歴書より)
散歩というよりは徘徊してたんですね。長岡氏が「徘徊詩人・中原」を意識していたかどうかはわかりません(あまり本を読まないと言っているようなので、その可能性は低そうです)が、詩というものは、無意識の深層でこうしてリンクしていくのでしょう。
詩人は、路上を歩く。
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