1999年から2003年までの阪神タイガース その⑥
アイパー軍団と付き合うようになり、少し時間が経過していた。
アンスリー前で待ち合わせをし、
ダイエーのフードコートで炊き出しに並ぶように飯を食い、開門後甲子園へ向かう。
タイガース勝利の後は二次会が待っている。
二次会を終えて家に帰る道中は満足感で溢れていた。
僕らが甲子園に通っていた頃は「あんなガラの悪い所、行くな!!」
とよく言われたものだ。
野球場にはここには書けないような人が沢山いた。
甲子園駅を降り、球場へ向かう道中はダフ屋。
「ライトあるよ〜 余ってたら買うよ〜」
「兄ちゃん余ってない?買うよ!」
自転車に旗を掲げラジオをひたすら流している予想屋。
高架下を抜け、球場向かって左手に歩くとそこには選手用の車輌入口がある。
ここに入待ちをしているファンが多数いるのだが、
選手のナンバーと車種を完璧に覚えているおばちゃんがいた。
いつもここにいるが、試合を見ている姿を一度も見た事が無い。
そのまま球場に沿って歩くと向かうと小さな小屋、
外野自由席の当日券売場が見えてくる。
ちょうど、レフトスタンドの入口あたりだ。
そして少し歩いてライトスタンド入口の21号門前。
応援団、素人、野次馬のような人種。
開門前は人でごった返す。
ピリピリしている。物凄い雰囲気だ。
アイパーはいつもここで誰かに話しかけられる。
「おうアイパーやんけ!」
「お前昨日の二次会おもんなかったぞ!」
「○○最近見んけど知らん?」
アイパー、あれ誰?
「いやおれも知らんわ〜」
15:00 開門の時間だ。
「おう兄ちゃん、時間や、開けろや」
顔を真っ赤にしたおっさんが職員にたかる。
開門し甲子園へ。
座席を確保しウロウロする。真夏の暑い時期だ。
試合が始まるまで電光掲示板を見ながら今日の先発予想をする。
巨人戦ならレフトへ行き選手をいじめ抜く。
今のような意味不明な
「讃えあう」「安っぽいエールを交換する」「他球団のファンと一緒に観る」
「馴れ合う」「ニッカポッカ」「サークル」「刺繍」
この時代は全部無かった。
「蛍の光、歌いません」
「阪神ファンらしくルールとマナーを守って応援しましょう」
黙っとけ!クソニワカ!!
三連発の「くたばれ読売」
あれも面白くないからやめろ!!
レッツゴートラッキーの替え歌をSSKのみんなで歌ったのは良き思い出だ。
知ってるかい?(知らん!!)知ってるかい?(知らん!!)
トラッキーパワーを知ってるかい?(知らん!!)
中盤 うさぎと亀のメロディで
どうしてこんなに弱いのか〜??
今岡の裏応援歌
打てない 守れない
何にも出来ない
働け ダメ岡
たまには打〜て〜よ〜
これを聞いて、真に受け不快になり
SNSで拡散しようと思う?
そんなあなたは阪神ファンじゃない。
あの頃のタイガースファンはみんなタイガースを愛していた。
どれだけ負けても例年通りタイガースが最下位確定でも球場に通った。
消化試合でも全力で応援した。
名古屋まで遠征して2安打で帰ってきても笑っていた。
試合前にヤジり倒したジャイアンツの打線が爆発。
どれだけ点を入れられても最後まで応援を続けるSSKのタイガースファンに涙した。
佐伯とトラッキーは仲良しだった。
梅雨時期のアイパーの臭いはダイオキシンよりヤバかった。
今のファンは本当にタイガースを愛しているのかな。
二次会で叫び散らした後の阪神電車は充実感で溢れていた。
「また明日な!!」
負け試合でも
「また明日な!!」
シーズン終盤
「また来年な!!」
梅雨時期に最下位が確定するタイガース。
阪神ファン=可哀想
それでもあなたは「アンチ阪神」?
そんなのいなかった。
それでもタイガースが本当に大好きだった。
今は何も思わなくなった。
キャンプに遠征?
ピンクのユニにメガホン?
何故あの気持ち悪い応援歌を真顔で歌えるの?
やめちまえ、阪神ファン。
続く