花粉と歴史ロマン その26 地下資源
地下資源探査
地層中の微化石である花粉は、石油や石炭、天然ガスの採掘の対象となる地層を特定するための研究手段であり、石油資源開発株式会社(https://www.japex.co.jp/technology/techservice/svcmicrofossil/)にも紹介されています。地質層序の対比を目的とした、微化石は示準化石であると同時に示相化石でもあることがわかります。
花粉分析学分野の中で、地質分野で研究を進めてこられた徳永重元氏の著書「花粉のゆくえ」(1963 通商産業省地質調査所編集、実業公報社)や「花粉分析法入門」(1972 通商産業省工業技術院 地質調査場監修)には、地下の資源を探る研究の概要が示されています。驚くことに、新第三紀の褐炭の薄片(「花粉のゆくへp17)や山形県産亜炭の薄片の写真(約50倍)には淡色の斑点が花粉として示されています。
石炭花粉学:「石炭は植物質と鉱物質の不均一集合体であるので、花粉・胞子(菌類の胞子を含む)・角皮・表皮などを多く含んでいる。物理的・化学的処理によってこれらの花粉・胞子を検出し、その種類・群衆の特徴を調べ、分帯を設定する。これによって、各一連の炭層が対比されうる。日本では主に第三紀において研究が行われた。(高橋清「花粉学事典」)。
石油資源開発への応用:第二次世界大戦後の約20年間の中で
「エネルギーの不足に加えて、国土とともにその資源を失ったドイツなどは、急いで国内の石炭資源を開発する必要にせまられた(前掲「花粉分析法入門p162)」2011年は原子力発電、2022年はエネルギー問題が生じており、世界規模での資源の争奪が始まっているように思います。
九州や北海道での炭鉱開発とその後の石油・原子力への移行は、日本にも共通していた背景であることが理解できます!
さて、敗戦国のドイツで炭層の対比目的で花粉分析が発展したが、この時代に油田の開発対象地域が有孔虫などの微化石の代わりに花粉や胞子を含む陸成層に移ってきたことも背景にありました。
だから、油田開発にも花粉分析が組み入れられたのですね!
地下資源のさまざまな情報源として、花粉など微化石が現在でも用いられているのは、未知の可能性が秘められているかもしれません。
九十九里町の天然ガス
房総半島の太平洋に面した外房地域には、天然ガスの井戸(「鉱山」とも呼ばれています)が集中しています。九十九里町も伊勢化学工業(https://www.isechem.co.jp/easyguide/)が都市ガス(メタンが主成分)を供給しています。花粉との関連はわかりませんが、身近に吹き出しているメタンガスについて紹介しましょう。
地下資源は、天然ガス以外にヨウ素があり、宮崎県とともに世界有数の産出量があります。資源となる天然ガスを含む地層は上総層群(約260万年前以降)にあります。これとは別に、九十九里地域には、地下の浅い部分からもメタンが発生しています。
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