寝そべり族
中国のZ世代の事を、躺平(たんぴん)族というらしい。SNSから端を発して、共感する若者達に広がっていったそうだ。
躺平(タンピン)とは中国語で、「横たわる」「寝そべる」という意味らしく、転じて、若者たちが「結婚しない、子どもも要らない、家や車も買わない、消費しない、最低限しか働かない、質素な生活を送ること」を選択する低意欲、低欲望のライフスタイルのこと、らしい。
中国の若者たちのそれは、国の制度や社会に対する反発心による、いわゆるイデオロギー的な、かなり硬派でちゃんとした考えのもとに賛同する活動のようだが、日本語では「寝そべり族」として紹介されていて、続きを読ませるネットのニュースのタイトルだけ見た時は「俺のことか?」と思ったが、まったくの見当違いだった。
実際に日本語で「寝そべる」を検索すると、「両足をのばして腹ばいになって臥せる。だらしなく肢体をのばして寝る」とか、「横になったり腹ばいになったりして、ゆったりとからだを伸ばす」などと書かれている。
それを見てなぜか、僕はふと、「ハンガーストライキ」を連想してしまった。
理由はわからないが、直感的に「寝そべって」いる姿が、何かに抵抗している姿につながったのだ。
目的や背景は異なるが、人間が何か自分より強大な敵と戦う際には、やたら抵抗するよりも、「殺すんなら殺せ〜」みたいな、言わば「開き直り」のような行動をとる事も案外多いのかも知れない。
その光景は、あたかも幼い事どもが、駄々を捏ねてその場から一歩も動かず、寝転んでいる姿と実は近いのではないだろうか?
そう考えると、その行動は、人間の本能による自然な行動と呼べなくもない。
物価上昇で、賃金も上がらない。老後の不安も、少子化問題も解決しない日本社会。
会社で働かずにオフィスで寝そべる若者が現れ、共感・賛同して、一緒に寝そべる人が続出して、待遇改善を余儀なくされる「寝そべりストライキ」なんてものが、いつか社会現象化する日が来るかもしれない…。
(ぴん🤞)