一般試験 Memo
備忘録です.
第1章 太陽系の中の地球
摂氏(t)と絶対温度(T)の変換
:T = t + 273
第2章 大気の鉛直構造
各圏の高度の目安
対流圏:0~11 km
成層圏:11~50 km
中間圏:50~80 km
熱圏:80~500 km
成層圏界面で気温が極大になる理由
紫外線は成層圏界面で最大
密度のもっとも小さい成層圏界面の空気は暖まりやすい
中間圏界面の上下の違い
均質圏:対流圏・成層圏・中間圏までの乾燥空気の成分比が一定の層
非均質圏:中間圏より上の層
オゾンの循環
ブリューワードブソン循環がオゾンを輸送
低緯度で生じたオゾンを高緯度に運搬
第3章 大気の熱力学
基本方程式
シャルルの法則:状態方程式の気圧を一定とした場合
ボイルの法則:絶対温度を一定とした場合
温位:式を導出できるように
スタートは
熱力学の第一法則
気体の状態方程式
相当温位
$${\theta_e = \theta + 2.8\omega }$$($${\omega}$$:混合比)
湿球温位
飽和した空気を高さから1000hPaまで湿潤断熱変化させたときの温度
空気塊を持ち上げ凝結高度から湿潤断熱減率で1000hPaまで下したときの温度が,その空気塊の湿球温位$${\theta_w}$$
水蒸気量の表現
混合比w[g/kg]:空気中に含まれる水蒸気の質量に対する乾燥空気の質量の比
比湿q[g/kg]:空気塊に含まれる水蒸気の質量と湿潤空気の質量の比
絶対湿度[g/m$${^3}$$:単位体積中の水蒸気の質量
相対湿度rh[%]:水蒸気圧の比あるいは水蒸気の質量比で表される
エマグラム
傾きが大きい(傾きが水平に近くなる)ものから
1. 乾燥断熱線(温位)
2. 等飽和混合比線(混合比)
3. 湿潤断熱線(相当温位)
となっている
対流不安定
上層ほど相当温位が低い
極端な例を考える(後で絵にする)
湿度は気層の上端で100%,下端で0%
気層内の温位は一定(300K)
気層の厚さは1km
気層の厚さを変えずに,気層全体を1km持ち上げる
逆転層
接地逆転層:放射冷却の結果生じる地表付近の気温の低下によって形成する地表付近の逆転層.
沈降逆転層:高気圧の下降流の断熱圧縮による昇温によって,地表面から離れた高度に形成される逆転層.沈降逆転層の上の気温はほぼ乾燥断熱減率にそって変化.
移流(前線性)逆転層:前線の上側には暖気,下側には寒気があるため形成される逆転層
エマグラムと対流関係
持ち上げ凝結高度:Lifting Condensation Level(LCL)
自由対流高度:Free Convection Level(FCL)
平衡高度:Equilibrium Level(EL)
対流有効エネルギー:Convective Available Potential Energy(CAPE)
対流抑制:Convective Inhibition(CIN)
SSI
=500hPaの空気の温度-850hPaの空気を持ち上げたときの温度
値が小さいほど不安定
仮温度と混合比
仮温度:乾燥空気に適用される状態方程式を湿潤空気に適用させるときに,使う(代用する)温度
理想気体の状態方程式から$${R' = \frac{R*}{M_d'}}$$を導き,
$${T_v=(1+0.61w)T}$$の導出できるようにする
暖かい雨
凝結(拡散)過程 :小さな水滴に向かって水蒸気が凝結していくこと
併合過程 :大きさの異なる雲粒が衝突して成長
雨粒の終端速度
空気抵抗=$${6\pi r\eta V}$$
終端速度=$${V=\frac{2r^2 \rho g}{9\eta}}$$
冷たい雨の成長過程
水蒸気の昇華凝結過程:過冷却水と氷晶が混ざっており,過冷却水が蒸発,そのときに水蒸気は氷晶に昇華して氷晶は大きく成長(水より氷に対する水蒸気量のほうが小さいから.
ライミング:過冷却水が氷晶にぶつかり,氷晶が成長する過程.
凝集過程:凝結過程の氷晶版
ステファン・ボルツマンの法則
$${I=\sigma T^4}$$
ウィーンの変位測
$${\lambda_{max} = \frac{2897}{T} }$$
距離の逆2乗則
放射強度はその放射強度からの距離の2乗に反比例
点源からの放射を考えたとき,距離に関わらず同一球面上のエネルギーの総和が等しいから当然.
エアロゾルによる日傘効果
エアロゾルが増加すると,太陽光線の散乱量
散乱日射量が増加・直達日射量が減少
放射収支
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放射対流平衡(Manabe and Stricker(1964)の気温の鉛直プロファイル)
4本のプロファイル(観測,観測対流平衡,放射平衡,オゾンなし放射平衡)
オゾンなし放射平衡では,対流圏海面より上では緩やかに気温が低下
放射平衡ではオゾンによる加熱で成層圏内で気温が上層ほど高い.対流が許されていないため対流圏内の気温源率がとても大きい
放射対流平衡:放射平衡+オゾン+対流
レイリー散乱
電磁波の波長が衝突する粒子の半径よりも非常に大きい場合
散乱強度は電磁波の波長の4乗に反比例$${\propto\frac{1}{\lambda^4}}$$
散乱強度が波長に依存する関係は,波長が短い電磁波が直線的で分子にぶつかりにくく,長い電磁波が曲がっているために空気とぶつかりやすいことから想像できる.
ミー散乱
電磁波の波長と衝突する粒子が同じぐらいのサイズ
散乱の強度は電磁波の波長に依存しない
幾何学散乱
2回の屈折と1度の反射によって虹
波長が短いほど屈折する角度が大きい.これもレイリー散乱強度が波長に依存する理由の同じかな.
大気の運動
気圧傾度力
$${F_{x_i} = -\frac{1}{\rho}\times \frac{\Delta P}{\Delta x_i}}$$
勾配は低い方から高い方を向き,気圧傾度力は気圧の高い場所から低い方へ向かうから,頭に(-)がつく
次元解析(気圧)
F/S
$${kg \times \frac{m}{s^2} / m^2 = kg / (s^2 \cdot m) }$$
地衡風の計算
気圧場から計算:$${V = -\frac{1}{2\Omega\sin \phi \rho}\cdot \frac{\Delta P}{\Delta n} }$$
高度場から計算:静水圧平衡を使用し,$${V=\frac{g}{2\Omega\sin\phi}\cdot \frac{\Delta Z}{\Delta n}}$$
地衡風と傾度風の風速の比較
傾度風は,気圧傾度力と遠心力,コリオリ力が釣り合っている
コリオリ力=気圧傾度力+遠心力の形に変形して比較する
風速の大きいものから,高気圧性の傾度風,地衡風,低気圧性の傾度風
摩擦の影響をうける風におけるつり合い
地衡風を考える
摩擦力によって風速が小さく,コリオリ力が弱まる
気圧傾度力と(摩擦力とコリオリ力の和)が釣り合うために,風は反時計回りに回転
風の順転・逆転と温度移流
順転:風向が下層から上層に向かって時計回りに変化.暖気移流に対応
逆転 :風向が反時計回りに変化.寒気移流に対応.
温度風
ベクトルの引き算は分かりにくいので足し算表記で考える,上層の風=下層の風+温度風
大気境界層
接地層:絶対不安定な状態が続く.地表面の摩擦の影響が次第に小さくなるため,高度とともに風速が大きくなる
対流混合層:温位,風速,混合比がほぼ一定.温位が一定=>気温は乾燥断熱減率に従う.
移行層:対流混合層の内の対流が顔を出したり,自由大気に抑えられることによってつぶれていたりする層.後者の場合,エントレイン層と呼ばれる
キャノピー層
森林や建築物の多い都市部で形成される,裸地の上の接地層とは性質の異なる特有の層
夜間の大気境界層
接地層
安定(夜間)境界層
下層から冷やされて接地逆転層(安定)が形成
混合層の名残
移行層
ボイス・バロットの法則
北半球では風を背に立ったとき,左手前方に低気圧の中心がある
各運動量保存則
$${RV = const.}$$
一般的な運動量保存則の角速度版
$${V = R\Omega }$$であり,気象では単位質量の空気の運動を考える
アナ型前線とカタ型前線
アナ型前線:通常の前線.前線帯の上の暖気が上昇し,前線上に強い対流を伴う.
カタ型前線 :前線上の暖気が下降している場合.前線上は下降気流であるため降水は伴わないが,高温位空気が潜り込むため前線よりも南側で対流を引き起こすことも.
温暖前線・寒冷前線・閉塞前線
温暖型閉塞前線 :温暖前線側の寒気が強い場合.寒冷前線は温暖前線の上をはい上がる
寒冷型閉塞前線 :寒冷前線側の寒気が強い場合.温暖前線の下に寒冷前線が潜り込む
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メソスケールの運動
熱の伝わり方:
伝導:
対流 :伝導だけでは熱を伝えれない場合
放射:真空でもOk
ベナール型対流
上昇流と下降流が規則正しく並ぶこと
オープンセル型
上空に強い寒気が入ったとき
上昇流域で対流性の雲が形成
上から見ると雲は蜂の巣状に,雲は縁の部分に形成.
クローズドセル型
上空に弱い寒気が入ったとき
上昇流域で形成した雲は水平流に流されて,収束域に集まる
つまり,下降流の上に雲がある
蜂の巣の中心付近に雲ができている
ロール状対流雲
冬の日本海に発生する筋状雲
ベナール型対流が一般流の影響を受けて,筋状雲(流れに平行にのびる)が形成
メソ対流系
気団性雷雨 :外見は1つの積乱雲でも,その内部には発達段階の違い対流が集まっていること.単一の気団に覆われて,一般風の鉛直シアが小さいときに発生
マルチセル型 :1つ1つの積乱雲が組織化されて大きな積乱雲の塊を形成.組織化とは親雲が子雲を発生させ,さらに子雲が成長して親雲になり,また子雲の形成を繰り返すこと.マルチセル全体の移動方向=中層の風ー下層の風
スーパーセル型:1つの巨大な積乱雲の塊(10~40km).スーパーセルを上から見ると,ヴォルトというレーダエコーの小さい領域がある.ここでは雲の中から発生する冷たい下降流と下層の暖湿気流が衝突して発生して発生した上昇流が極めて強いために,雲粒から降水粒子に育つ前に上層まで運ばれてしますから.フックエコーと呼ばれる領域でしばしば竜巻発生.
山風・谷風
空気と地面の比熱の差と,モンスーン・海陸風との類推で考える
ボラ
比較的高い場所にある凹んだ台地に何らかの理由で寒気がたまるものとし,寒気があふれると,山の斜面に沿って寒気は下降.断熱昇温により乾燥.なお,台地の上にたまっていた寒気の温位は斜面の下にあったもとの空気の温位より低いため,斜面の下では気温が下がる.
前線面を滑昇する上昇流を求める式
$${W=V\times \frac{\Delta h}{\Delta x}}$$
$${V}$$:水平風
台風の国際的分類(最大風速で分類,赤道より北で東経100~180°)
熱帯低気圧 (Tropical Depression):34kt未満
TS(台風,Tropical Storm):34kt以上48kt未満
STS(台風,Severe Tropical Storm):48kt以上64kt未満
T(台風,Tythoon):64kt以上
台風の大きさ(強風域の半径)
台風:500km未満
大型の台風:500km以上800km未満
超大型の台風:800km以上
台風の強さ(中心付近の最大風速)
台風:17m/s以上33m/s未満
強い台風:33m/s以上44m/s未満
非常に強い台風:44m/s以上54m/s未満
猛烈な台風:54m/s以上
危険半径と可航半円
危険半径:進行方向右側
可航半円:進行方向左側
台風周辺の風向の変化
台風の進行方向の東側では時計回りに変化(xと$${\theta}$$は互い符号が逆)
台風の進行方向の西側では反時計回りに変化
台風関係の用語
予報円:予報対象時刻に台風の中心が70%の確立で入ると予想されている領域.現在の台風中心からのびている内側の破線で囲まれている円.
暴風警戒域:台風の中心が予報円のどこかに位置していたときに,この円の内側のどこかが暴風域に入る恐れのある領域.予報円の外側に実線で描かれている線.
転向:台風の進路が西向き->東側
高潮:海面の高さ(潮位)が以上に上昇する現象
月の引力
吸い上げ効果:海上の気圧が低下したときに海面が持ち上がる効果
吹き寄せ効果:暴風により海水が山のように盛り上がりながら海岸に吹き寄せる
成層圏と中間圏の大規模な運動
成層圏下層(10~20km):赤道上で気温極小,両極で気温極大
高度20~60km:夏極で気温極大,冬極で気温極小.オゾンによる加熱の効果で決まる
中層圏以上(70km~):夏極で気温極小,冬極で気温極大.鉛直流による断熱加熱・冷却によって温度が決定.
20~90km:夏極で東風,冬極で西風.オゾンによる加熱の効果と整合的
90km~:夏極で西風,冬極で東風.鉛直流による断熱加熱による効果.
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準2年周期振動(Quasi-Biennial Oscillation:QBO)
赤道付近の成層圏下層で26カ月周期で東風と西風が交代して吹く
高度-時系列断面図で,東西風が左上から右下に伸びる
オゾン層破壊
フロンガスの正式名:クロロフルオロカーボン
対流圏では分解されず,成層圏まで輸送
太陽紫外線のはたらきで分解され塩素原子を放出.塩素原子がオゾンを参加塩素と酸素分子に分解.この過程で成層圏のオゾンが破壊される
極域成層圏雲
PSC
冬季の南極でしばしば発生
氷晶という個体粒子表面で,オゾン破壊を促進.