【超短編小説】 夜中物語
夜の静けさが好きだ。
真っ暗で何の音も聞こえない。
でも、だんだんと空は青になっていく。
わたしたちは笑った。
声はガラガラで、
すぐにでも眠りたい。
「明日、声、出ないかも」
「もう、今日だよ」とツッコまれながら、
飲みすぎて、歌いすぎて。
冷たい空気が身体を纏い、意識を保たせる。
こんな日常が続けばいいのに。
「じゃあね」と手を振ったら、
「おやすみ」と返したようだった。
気がついたら、布団の上にいて、
「おはようございます」と言ったスマートフォン。
時間は11:00だった。(完)