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完走した感想
夫が神戸マラソンを走り、かわいいメッセージカードをもらってきた。
神戸の風景とパンダの横顔にひまわり。
ランナーに届けられる、神戸の子どもたちからの応援メッセージだ。
カードを開くと直筆で、
最後まで
あきらめずに走ってください。
もしあなたが完走したなら
完走した感想をおしえてください。
○○小学校〇年 ○○ ○○
お名前いりの心がこもったメッセージ。
かんそうしたかんそう。かわいい!
「神戸マラソン走りましょうよー。」と誘われたので、申し込んだら自分ひとりだけ当選してしまった孤独のランナー。夫は神戸マラソンは2度目だ。
フルマラソンは6回走って完走している。
私は夫のマラソンを現地で応援したことはない。
夫は新幹線で神戸に向かった。
マラソンの人がたくさん新幹線を降りた、とLINEがきた。
全国のランナーに人気の大会だ。
今までのフルマラソンに比べたら、準備不足は否めなかったので、無理をしないようにと言って送り出した。
夫はマラソン前日は実家に泊まるので、私が言わなくても義母が応援も含めアレコレ言うだろうと想像していた。
当日。
私は応援アプリで夫の走りっぷりを時々眺めた。
神戸の地理はよく知っている。
アプリ上の地図でも夫が走っている辺りの風景はわかる。
ブルーの丸がピコン、ピコンと点滅しているところが夫の位置だ。
お、走ってる走ってる。どんどん進んでいく。もうすぐ舞子の折り返し地点だ。
次に応援アプリを開いたら、折り返して中間地点を越えるくらいには進んでいたが、位置を示すブルーの丸が、点滅しない灰色の丸になっていた。
メッセージは
「ペースダウンしています。」
歩くか止まるかしているのだろう。気にせずアプリを閉じる。
しばらくしてアプリを見たら、またブルーの点滅に戻って進んでいる。
アプリ上にある応援の太鼓を押してみたら、いい音でトン!と鳴って、丸がブルーから黄色に変わりピコピコンと点滅。
応援が伝わっている気分になるが、応援アプリを見ていることを夫に伝えてないので、太鼓を鳴らして喜んでいるのは私だけだ。
また灰色の丸になった。
メッセージを見たら
「ポイントの通過を待っています。」
これから35キロ地点を通過するようだ。
それから一向にブルーの丸が点滅しない。灰色のまま。
夫よライフはゼロなのか?
マラソン中に電話するのもどうかと思ったが、必死で走っている様子はなさそうなので電話してみた。
「あかーん、めっちゃしんどいわー。
ちょっと走ったら足つりそうになるねん。もうずっと歩いてんねん。」
ライフゼロではないらしい。
高速を走るので、最後に坂道がある。
とにかくキツいらしい。
神戸大橋を渡るコースは今年が最後とのことだ。
アプリのチェックを忘れた頃にLINEがきた。
「ゴールした いま」
文字を打つのもやっとのような文面だ。
夫史上最遅の限りなく6時間に近い、5時間台でゴールした。
お疲れさま!完走おめでとう。
その日のうちに夫は埼玉の自宅まで帰ってきた。
灰色の丸がわずかに点滅するくらいのライフ。
さすがに疲れた様子だったが、完走のご褒美メダルやタオル、そしてかわいいメッセージカードを見せてくれた。
完走した感想は、まだ聞けてない。