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めぐる結婚式2

4月上旬、実家にいる間に叔父夫婦が訪ねてきてくれた。
母の弟夫婦で家も近く、もうすぐ結婚する従兄弟の両親だ。

素敵な招待状をLINEでもらったよ、
イマドキの招待状で、見たら気分上々やわ、と叔母に熱く伝えたら、
叔母はウェブ招待状は見てないねんと言う。
そっか、結婚式の招待状は自分の親には送らないか。
結婚式の招待状は親の名前で出すものだった。

私が初めて結婚式に出たのはこの叔父と叔母の結婚式。
子供だったが記憶に残っている。
若かった叔父と叔母は自分たちの結婚だからと招待状を自分たちの名前で出して、後から親戚の人に怒られたそうだ。

「家と家の結びつきではなく、結婚は私たちがするものやから、と生意気にもあの頃は考えたんかなぁ。」
と叔母が話してくれた。

招待状は進化した。
叔母は、私の昭和脳をひっくり返したあの招待状を、
自分の息子A君の招待状を、まだ見てないと言うのだ。
和装の前撮り写真満載で、叔母の姿もその中にあるというのに。

すぐさま携帯を差し出し、招待状を叔母に見せた。
私はもう、ただの口の軽いおしゃべりおばさん。
転送しよっか。
すぐに叔母のLINEにポチッと転送。
口より軽い指だ。


いつもは軽い指でポチっとなんでも買えるのに、結婚式に着ていく服はポチっと買えなかった。

そこで友達と一緒に服を買いに行った。
目的を持って自分の服を探すのは久しぶりだ。

セレモニー、フォーマル、
今はオケージョンって言うらしい。
そこは全部パスして
「50代 陽キャのおばちゃん 結婚式」
の服を探す。

袖のチュールが盛り盛りのふわふわトップスを見つけて試着。
何用の服なのかはわからないが気に入った。

さらにショップの女性がオールインワンのパンツを持ってきてくれたので試着する。
自分じゃオールインワンは選ばない。
チュールのふわ袖とのバランスが気に入ったので買うことにした。

オールインワンのデメリットが頭をよぎったが、
もし不便なら、こないだ一応買っといたレースのパンツで行って着替えてもいいしね、とフィッティングに首を突っ込んできた友達とにっこり。
友達も買いもの日和で、お気に入りが見つかってご機嫌だ。

こないだ、というのは、先日は一緒にアウトレットモールに出かけ、結婚式用にツヤ感のあるトップスとレースのパンツを買ったのだ。
イメージ陽キャまで到達しなかったので式にはボツだが、あれば役に立つ。
古川に水絶えずって言うじゃないか。
新品だけど。

アクセサリーとシューズも決めた。
こちらは本当に古川の賜物で、手持ちのちょうど良いものがあった。

髪の色を一段と明るくすべくハイライトをガンガン入れて、前髪は眉上パッツンにカットしてきた。
陽キャのおばちゃん完成だ。
あとはネイルだな。
シューズの色と揃えたい。

あのとき叔母は帰りがけに改まって私に言った。
「当日はよろしくお願いします。
 ご両親の名代として。」

久々に聞いたミョウダイ。
息子の晴れの日を思う叔母の親心なのだろう。
従兄弟のA君の結婚式、こちらこそ招待してもらって感謝している。

その日のアクセサリーは、A君と私のおばあちゃんの形見、オパールリングを着けようと思っている。

貰ったときは、
こんな古いのもらってどうしよう?
宝石のリメイクに出す?
なんて思っていたけど、そのまま大事に持っていてよかった。
古いものだけど、今の私の手に馴染んで、祖母も喜んでくれると思う。

祖母の最後の孫の結婚式がめぐってきた。
両親の名代として、
祖母を指に忍ばせて、
お祝いに行ってきます。

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