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「冷たい空気と温かい夢」

車中生活をはじめて18日目。

朝、目が覚めると車の窓ガラスが薄っすらと曇っていた。外はこれまでの温もりが嘘のような冷たい空気。今日はいつもより寒さを感じる。11月の冷え込みが本格的にやってきたのだ。


エンジンをかけると、車内にじわじわと温風が流れ込む。けれど、それも一時の慰めでしかない。この寒さ、簡単には退散してくれそうにない。だが、不思議と嫌ではない。寒さそのものを楽しもうとする自分がいることに気付いた。これも車中生活の一部、そう思うと些細なことすら愛おしい。


夜になると、外の冷たい空気が車の隙間から忍び込んでくる。それでも、先日届いた寝袋が頼もしい。まるで自分を優しく包み込んでくれるようなその温もりに、少しだけ幸せを感じた。


44歳。そんな年齢でこのような生活をしている自分に、かつての自分なら呆れていたかもしれない。家庭を持ち、家族と穏やかに暮らす日々は今や過去の記憶。妻と子どもたちに愛想を尽かされ、最後には1人きりになった。仕事もうまくいかず、転職を繰り返すたびに心が削られていった。それでも当時は気づけなかった。自分がどれほど家族に迷惑をかけ、どれほど愛情を無駄にしていたのか。


いま振り返ると、情けないと思う。それでも、後悔だけを抱えて生きるのは嫌だった。だからこそ、この車中生活がある。

寒さに震えながらも、この狭い車内は今の自分にとって「居場所」だ。何もかもを失ったとき、ここだけは裏切らなかった。暖房も気休め程度で、自由も限られているけれど、この空間は不思議と心を落ち着けてくれる。


私には今、1つの目標がある。それは50歳までに1,000万円を貯めること。何に使うかなんてまだわからない。ただ、夢や目標がなければ、この先を生きていく意味が見出せない気がする。


夢なんて大それたものじゃなくてもいい。自分が何かを成し遂げるための動機さえあれば、この狭い空間も、寒さも、すべてが生きる糧になる。


夜、ランタンを灯しながら今日も1人静かに考える。「44歳にもなって何を言っているんだ」と笑う人もいるだろう。それでも、今は自分の生き方を、自分のやり方で進めている。家賃も光熱費もない生活は決して楽ではないけれど、夢を追うには十分な舞台だ。


そして、この寒ささえも、きっと忘れられない記憶になるだろう。冷たい空気と温かい夢。この両方を抱えながら、私は車中生活の18日目を迎えた。


あとがき


車中生活は決して万人に勧められるものではありません。けれど、この経験を通じて私は新たな目標を見つけました。不便さを受け入れ、狭い空間の中で自分を見つめ直す日々は、どこか心を豊かにしてくれます。



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