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車中生活43日目「軽自動車と暮らす日々」


朝6時、まだ薄暗い空の下で目を覚ました。車内で迎える朝は、いつも静かで穏やかだ。エンジンをかける前の車内はほんのり冷え込んでいるけれど、このひんやりとした空気が心地いい。起きてすぐに10分間の瞑想を始めるのが最近の習慣だ。目を閉じ、深呼吸を繰り返すと、頭の中が整理されていくのがわかる。

瞑想が終わると、道の駅のトイレへ向かう。歯を磨き、顔を洗うとシャキッとして、ようやく1日がスタートする気がする。この一連の朝のルーティンが、車中生活のリズムを整えてくれている。


今日は引っ越しの仕事が入っている。車に道具を積み込み、現場へ向かった。便利屋として働く日々の中で、引っ越しの仕事は体力を使うが達成感がある。作業を進めながら、ふと40日以上続く車中生活について考えた。

「家がなくても、意外と生活ってできるんだな」

これが、車中生活を始めてからの正直な感想だ。もちろん、家があった頃と比べれば不便なことは多い。お風呂やトイレの確保、電気の問題、寒さ対策。課題は山積みだ。でも、それらは工夫次第で乗り越えられる。少なくとも、今の自分には十分な暮らしだと感じている。

軽自動車のワゴンRは、車中泊には少し狭いのではないかと最初は心配していたが、実際に暮らしてみると、驚くほど快適だ。助手席を倒し、マットや寝袋を敷けば十分な寝床が作れる。天井が低い分、狭さを感じることもあるけれど、その分小さな空間に包まれる安心感がある。


車中生活のメリット

車中生活の最大の魅力は、なんといっても自由さだ。毎月の家賃や光熱費がかからないだけで、気持ちがこれほど軽くなるとは思わなかった。好きな場所に車を停めて、その場で生活ができる。今日のように道の駅で寝泊まりをする日もあれば、自然豊かな場所で一夜を過ごすこともある。旅をしているような感覚が日常になるのだ。

もうひとつ大きなポイントは、プライベート空間が確保できることだ。車という小さな空間の中では、誰にも邪魔されることがない。窓にカーテンを付け、ランタンを灯せば、そこは自分だけの秘密基地になる。これは、家の中で暮らしていた頃には感じられなかった特別な安心感だ。


困難もあるが、それを越えて

もちろん、全てが順風満帆というわけではない。特に、電気の確保は大きな課題だ。バッテリー上がりの問題を経験してからは、節電を心がけるようになった。それでも、スマホやタブレットの充電が追いつかないことがある。そこでポータブル電源やモバイルバッテリーを活用しながら、効率的に電力を使う工夫をしている。

また、お風呂の確保も難しい問題だ。銭湯や温泉施設を利用するのが基本だが、時間や場所の制約がある。仕事の帰り道に立ち寄れる場所があれば良いが、なかなか見つからない時もある。そんな日は、車内で簡易的に体を拭くことで対応している。

寒さ対策も重要だ。最近は特に冷え込む日が増え、寝袋や厚手のブランケットが欠かせない。車内用の小型ヒーターも購入を検討しているが、電力の問題を考えると慎重にならざるを得ない。


車があるからこそできる生活

もし自分に車がなかったら、この生活は成り立たないだろう。車がなければ、寒さや雨風をしのぐこともできないし、移動手段もなくなってしまう。車があるからこそ、こうして「動ける家」で生活ができているのだと感じる。

軽自動車でも、十分生活はできる。狭い空間を工夫して使いながら、最低限の快適さを維持している。贅沢はできないが、不思議と不満はない。むしろ、自分が必要とするものが何かを改めて見つめ直すきっかけになった。


今日もまた、道の駅で一夜を過ごす予定だ。引っ越し作業で疲れた体を車内で休め、また明日の朝を迎える。小さな車の中に広がる無限の可能性を感じながら、今日もこの生活を楽しむことにした。

車中生活は不便と自由が隣り合わせの生活だ。でも、その中で見つけた小さな幸せが、今の自分を支えてくれている。

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