斜陽
ヨルシカの新曲が出た。
斜陽という曲。
こちらアニメの主題歌となっている。
しかし、ヨルシカの好きなところのひとつは、タイアップ側に左右されず、あくまでもヨルシカが作りたい音楽を作っている点にある。
「こういうコンセプトで曲を作っている。それでもいいか?」といった形でのタイアップだそう。
あくまでもヨルシカとしての独立性を失わないところが大好き。
n-bunaさんはきっと自身の作品の背景を探られるのをとても嫌う性格、と拝察するが(そういうことされるのも嫌そう。)
「もう少しで僕は僕をひとつは愛せたのに」
この歌詞である。この歌詞、やはりn-bunaさんらしい。
そしてこの寂しげな、おそらく自尊心が低い人間にしか分からない歌詞。
それに比べて、曲調はかなりポップである。これもn-bunaさんの作風らしいと感じる。
遡る話にはなるが、「月を歩いている。」というアルバムがある。
ここに収録されている「セロ弾き群青」という、かなり暗めの曲がある。
(あくまでも私の感想だが。)
こちら私はかなり好きなのだが、
歌詞が
「どこで間違えたんだろうな。気づいたら仕事もなかった。給料の代わりに貰えたのは落第の判子だけ。」
という歌い出しである。
なんというリアルな悲壮感。
「月を歩いている。」は、童謡などをモチーフにしたアルバムで、こちらは作品名からもわかる通り「セロ弾きのゴーシュ」である。
あくまでもモチーフで、ゴーシュのことを書いている訳では無いように思うが。
私は、「セロ弾き群青」からは
大好きなもの(自分の全てともいえるもの)を失った時の喪失感、絶望感、それでももう一度と願ってやまない未練を感じる。
挫折経験のある人間にはこれ以上ない共感の嵐のような曲である。
かなり曲の主人公は自暴自棄になっている印象がある。
これは大ヒット曲「だから僕は音楽を辞めた」に通ずるものがある、と思っている。
ヨルシカはポップな曲調の曲が多いが、歌詞を熟読すると、人生の辛さや、やるせなさ、しんどさが表現されていることが多い、と思っている。
そしてその歌詞は不思議と、曲調に乗って私の中にそのまま入ってくる。
重く、美しく、ほんの少し聞いてて辛い。
しかしそれは、間違いなく私の語彙では表せない私の気持ちを曲で表現してくれているからこそ刺さるのだと思う。
世に吐き出しにくい気持ちを代弁してくれるかのような、ヨルシカの楽曲が大好きだ。