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【アート日記】 ”みかた”の多い美術館展 へ行く
滋賀県立美術館で「”みかた”の多い美術館展」の企画展をしています。先日、初めてパンフレットを見た時、「私がぜひいくべき企画展だ」と思い、昨日行ってきました。
障害のある人、日本語を母国語としない人、小さな子どもといったいろいろな人たちが自分なりの表現をし、鑑賞できることをミッションにしている企画展です。
まさに、私が以前から仕事上で目指していることです。
最近、私は、勤務する特別支援学校で、アートに関する授業について力を入れています。
子どもたちが美しいもの、面白いもの、変わったもの、ありふれたものなどいろいろなものを鑑賞し、さまざまな材料や道具を使い、自分なりの表現活動をすることは重要です。同じ材料や道具を使用していても、出力された作品は、本当にそれぞれ異なり、個性が発揮されます。
このような表現活動は、「表現すること」そのものに目的があるのはもちろんですが、そういった活動を通して「世界を知る」ということも目的になると考えています。
先日読んだ本に次のようなことが書かれていました。
あるモノを見ながら別のモノと区別したり関係づけたりする能力は、私たちが自分の身の回りの世界を理解するのに重要な役割を果たす
私たちは、上記引用したような「比較と分類」を表現活動や鑑賞活動の中で行なっていると思うのです。
今回の「”みかた”の多い美術館展」はまさにそういったことを具現化していました。
いくつか印象に残ったコーナーを紹介します。
1 「絵の高さを下げて、みる」
車椅子に乗った人が、その目線の高さで鑑賞できるようにすると、大きな作品は床に付くくらいの位置に展示されることになります。
そうすると、車椅子に乗っていない私の目には、作品の筆触や絵の具がドーンと飛び込んできました。
白髪一雄さんは、天井からロープで吊り下がり、足で描くことで有名です。この高さで作品を見ると、まさに、白髪さんの「足の跡」を見るようで迫力がありました。
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2 映えて、みる
ブラジル人学校の子どもたちと一緒に考えられた展示です。
作品を自撮り撮影(セルフィー)できるように設定されてます。
撮影した人は、その写真を記録し記憶に留めたり、他の人に見せながら話したりすることはもちろん、SNSでシェアすることもできます。
また、ブラジル人学校の子どもたちには、美術館の情報が行きにくいといった課題もあるということです。
そういったことからも、美術館とSNSの組み合わせが効果を奏するのでしょう。
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来場者を巻き込んだSNSの活用により、プロモーションを成功させている森美術館についてはこちら。↓
3 好きなことをいって、みる
美術館の作品のキャプションはいろいろです。専門的な知識がきちっと書かれている場合もありますし、作品名と作家名だけという場合もあります。
この展示では、知的障害の方が作品を見て話されたことをキャプションにしています。
クスッと笑うものあり、「なるほど〜」と視点を変えさせてくれるものありで、おもしろい取り組みでした。
こういったこともアート作品を通しての表現活動になるのですね。
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今回は、学芸員さんがお話しするギャラリートークに参加し、みるポイントや裏話を聞くことができ、よかったです。
終了後には、学芸員さんに思いきって声をかけ、お話しする時間を作っていただきました。
その中で、この企画展のそれぞれのコーナーのテーマは、美術館側が最初に設定したものではなく、関わる人たちと話していく中でできたものだということを知りました。まさに、美術館のスタッフとともにつくりあげられた企画展だったのですね。
また、私が特別支援学校で取り組んだ、「ぼくのわたしのてんらんかい」という実践の動画も見ていただきました。名画を使った表現活動の作品をちいさなギャラリーで展示したものです。障害のある子どもたちがそれぞれの表現活動をしている様子を学芸員さんに見ていただき、コメントをいただけたことは大変貴重な体験でした。
鑑賞後はいつもどおり、コーヒーを飲みながら余韻に浸りました。
展示ガイドも充実。
ここちよい美術館DAYを過ごしました。
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