【アート日記】 大塚国際美術館のバックヤードを知る
私の最も好きな美術館の一つである大塚国際術館のバックヤードを知る番組を見ました。
NHK「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」、以前から気になっていた番組です。
大塚国際美術館とは
大塚国際美術館は徳島県鳴門市にあります。
世界の名画千点以上を原寸大の陶板で再現している大きな美術館です。
遺跡や礼拝堂などの壁画を空間まるごと再現した展示もあります。コロナ禍前は、作品に触れることができたので、やわからい、するどい、すばやい、もりあがっているなどの筆のタッチを指先で感じ取ることができ、画家に近づいた気分を味わうことができました。
そのような "表側” の大塚国際美術館はこれまでに十分楽しんできました。
さて、今回は ”裏側”。ワクワク。。。
今まで疑問に思っていたことの答えを次々に教えてくれた!
大塚国際美術館を訪れるたびに、疑問に思っていたことがいくつかありました。この番組はその答えを教えてくれ、非常にすっきりしました。
「陶板の大きさが絵によって異なるのはなぜ?」
絵によって、一枚の陶板でできているものもあれば、何枚ものものでできているのもあります。形は全て長方形なのですが、縦横比が異なります。「陶板として焼ける最大の大きさのものを大量に作るのではないのか?」というのが私の疑問でした。
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答え:大きな絵になると複数の陶板を組み合わせる必要があります。その時に、主要人物の顔に陶板の目地(継ぎ目)がかからないように、大きさ、形、枚数を計算しているのでした。なるほど、鑑賞の際にも継ぎ目がそれほど気にならず、邪魔にならなかったのは、そのためだったのですね。「システィーナホールには窓がないけど大丈夫?」
システィーナホールは間口20×奥行40 ×高16mの大きな空間です。真正面にはドーンと「最後の審判」のフレスコ画があります。でも窓がないのです。「よく知らないけど、大きな部屋に窓がないのは、建物的には大丈夫なのかな」という疑問がありました。
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答え:建築基準法によって、窓のない大きな部屋には排煙口を作るように定められています。システィーナ礼拝堂のオリジナルの景観を損なわないように、隠し扉のように排煙口が造られていました。天井画の一部分が、絵の中に溶け込む形で排煙口になっており、番組では開けるところを見せていました。これにはびっくりです。「本物に近づくよう、どれほどこだわっているんだ?」
大塚国際美術館には、「陶板紹介コーナー」があり、どこで、どのように陶板が造られているのかを知ることができました。「茶道の茶碗を焼く時に、どんな色がでるか焼いてみないとわからないと聞いたことがある。では、この陶板の色は、どうやって本物に近づけているんだ?」という疑問がありました。
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答え:実際に焼いてみて、実物と異なるところに手を加え、再度焼くというレタッチ作業を熟練の職人がしています。約2万色の中から最適な色を選び、薄く絵の具で塗り、焼き、また薄く塗るという繰り返しです。一筆一筆を、色、絵の具の盛り上がりを再現させるべく描き込んでいる姿は素晴らしいと思いました。
他にも、古代の作品は圧巻です。細かいモザイクや色がはげたりヒビがはいった様子を再現した壁画は、本物を見ている錯覚に陥ります。ここにも、できるかぎり本物に忠実であろうとするこだわりが見られます。
これまでのお気に入り「大塚国際美術館ギャラリー」
ここで、思い出がてらにこれまでの写真を見たいと思います。
写真を振り返っていると、また「大塚国際美術館行きたい病」になってきました。
素敵な絵画、壁画、礼拝堂。
落ち着く空間。
美しくおいしい食べ物。
今度はいつ行けるかな。
今度行く時には、裏側に思いを馳せ、これまでとは異なる楽しみ方ができると思います。