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変わっていく母 5

施設へ

引っ越しとは違いとりあえずの荷物をもって入居した。ベッドやテーブルなどは事前に用意した。

「狭いね」と母。仕方がない。一軒家からのワンルームだ。狭い。
当時のわたしはやっとここまでやり切った気持ちだった。
冬になる前に間に合った。ストーブの消し忘れ、雪の心配などがなくなる。

母の部屋は2階。帰るとき玄関までわたしと娘を送りに来た母。
「じゃあね、またすぐ来るからね。部屋に戻っていいよ」とわたし。

わたしと娘が母を見送る。エレベーターの前で「あれ?どうやって乗るんだっけ?」と母。

え?エレベーターの乗り方忘れちゃったの?
慌ててまた部屋まで送る。

環境が変わると認知症の症状が進むと聞いていたが、こんなに突然くるのか……不安と恐怖が入りまじった。

次の日、すぐケアマネージャーさんへ電話。
昨日のエレベーターんのことを伝える。「大丈夫ですよ。最初はみなさんそうなる方が多いのです。一時的なものです」との言葉に安堵する。

次に会った母はいつもの母だった。プライドが高くない母は、すぐにうちとけた。友人の親せきは「あんなおばあちゃんたちと一緒になにかするなんて嫌だ」と相当わがままを言ったそうだ。自分もおばあちゃんなのに……


新しい生活

ことあるごとに「狭いね」の言葉は出るものの、朝、昼、晩のご飯は美味しいと言う。

デイサービスは違う場所に通っていたため、外出もできる。

施設でお散歩や外食などのイベントもあり、楽しそうで安心した。

そんな生活が続いて一年半が過ぎたころ、あの未曾有のウィルスが流行した。コロナだ。

世界中が恐怖に包まれ、街から人が消えた。
高齢者は特に危ないと施設から一歩も出られなくなった。

和やかだった生活が一変した。


備忘録として綴っています。今は母要介護3で施設で暮らしています。



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