【エッセイ】少年のスタートダッシュ
明日の朝食の食パンがないことに気づいた。
雨が降り出しそうだけど
朝食はロイヤル◯レッドと決めている。
買いに行くしかない。
金木犀の香りに酔いしれながら歩いていると
小学3.4年生くらいの少年がどこかから勢いよく現れた。
私と同じ方向へ歩くようだ。
少年は私の認識通りの
少年を少年たらしめる行動をとっている。
急に走り出したり、近くの茂みの葉っぱをちぎってみたり。
なんか一人で喋ったりしてる。
「おぉ。絵に描いたような少年だなぁ〜」と和みながら少年のすこし後ろを私も歩む。
すると、少年。
突然クラウチングスタートの体勢を取り出した!
なんと!
一人徒競走をこんな大通りの歩道で決め込もうというのか。
どうした!?
ヨーーイドン!のヨーーイが異様に長いぞ!
精神統一中なのか?
真田広之みたいな空気感が出てるぞ。
少年は十分な溜めの後、ロケットスタートで勢いよく走って行った。
町でいきなりクラウチングスタートとかできるの、いいな。
ドラッグストアに着いたあたりで思い出した。
明日はこの地域の運動会だということを。
彼は明日に向けてのウォーミングアップをしてたのかもしれない。
かっこいいじゃないか、少年。
がんばれ、少年。