銭湯の猛者たち
私の母は今年70歳になる。
近所の銭湯に行くのが趣味で一度行けば何時間も満喫して帰ってくる。
平日の午後だと、若い人や子供が少なくゆっくり過ごせるらしく
その時間帯に好んで足を運ぶ。
平日午後の銭湯は母と同じお年頃のお姉さまたちの憩いの場と化しているのだろう。
知り合いにもよく会うようで、離れて暮らす娘の身としては
母の日常の楽しみがひとつでも多いことは喜ばしい限りである。
ある日のこと、母が露天風呂に入っていると
体が男性の方が入ってきたらしい。
さまざま事情はあれど、体が男性なので
さぞや現場は戸惑ったんじゃないかと聞いたら
「おかんさぁ、あらあら…と思って、ええかしら〜と思ったね。」とのこと。
なんじゃその、こっちの感受性まかせの感想は。と思ったが
人間70年目ともなると、そのくらいのリアクションになるのだろうか。
他のみなさまも同じようなリアクションだったのか
特に大ごとになることもなく
その方は係りの方と一緒に出ていかれたらしい。
平日午後の銭湯の動じなさに
不動心のような、かっこよさを感じた。