「野のへらぶな」釣りをするためのエサのお話(第3回)
今回は、「野のへらぶな」釣りをするためのエサのお話の第3回目です。第2回では、様々な種類のエサをどのような視点で選択するのか。についてのお話の前半でした。第3回はその後半になります。
野のへらぶな釣りに使うエサの考慮要素(後半)
前回は、使用するエサを選択するための考慮要素には以下の6つがあることと、最初の3つについて詳しくお話しました。今回は、残り3つの考慮要素についてお話します。
へらぶなを寄せたいタナ(魚が泳ぐ層)
水の流れの有無
魚の活性
ジャミ(へらぶな以外の小魚のこと)の多さ
大物狙いの場合
釣り場固有のへらぶなの好み
4.ジャミの多さ
へらぶな釣りをする釣り場に居る、へらぶな以外の小魚のことをジャミと言います。例えば、モツゴ、モロコ、ブルーギル、タナゴといった魚たちです。
これらの魚たちは、口が小さくエサ取りが上手いため、ハリに付けたエサに群がると、エサが水中でへらぶなを釣りたいタナに到達する前に、エサを食いつくされたり、落とされたりしてしまいます。
そうなってしまうと、言わずもがなですがへらぶなは釣れません。
これらのジャミがエサに群がっている時には、ウキがフワフワと上下に大きく動いたり、それらの群れの中で1匹の魚がエサに食いつけば、ウキ全体が水中に沈むほど鋭く消し込んだり、水の流れがないにも関わらず、ウキがすーっと横に移動したりという反応が出ます。
また、例えウキが鋭く消し込み、それにタイミングを合わせて竿を上げたとしても、それらの小さな魚はなかなかハリに掛かってきません。(たま~に、うまく口に掛かっている時もありますが、口ではなく、体に引っ掛かってきたり、空振りだったりします。)
水温が暖かい春~晩秋にかけての季節は、本命のへらぶなだけでなく、ジャミ達の活性も高くなってきます。
そのような季節には、グルテンエサやダンゴエサに対するジャミの猛攻で、すぐにエサを取られてしまいます。このような場合には、麩エサの場合、粘りが強めで、ブレンドした様々な種類の麩エサの粒子がダンゴからはがれ落ちないようにまとまり易い性質を持つものや、比重が重めのもので、ダンゴエサが水深の浅い場所を泳いでいるジャミ達の層を速く通過して目的のタナに到達するようなエサをブレンドします。
また、ブレンドするエサの特性の他に、エサをダンゴ状にする時にも工夫の仕方があります。
エサをダンゴ状に丸めてハリに付ける場合、あまり強く練ったり押し固めたりすると、麩の粒子がぎっちりと固まってしまい、水中での膨らみやばらけ方が弱くなります。
そのような状態ではへらぶな達へのエサのアピールができなくなるため、エサボウルの中でエサを混ぜる場合には、ボウルの壁に押し付けたりこねるのではなく、手を熊手状にして、空気を含ませた(「エアーをかませる」と言います)状態でさっくりと混ぜ、それを親指、人差し指、中指の3本で軽くつまみ、ふわっとした状態で優しく丸めてハリ付けするのがセオリーです。
こうすると、水中で麩の粒子が水を含むと、ダンゴからはらはらと良い感じでばらけていくため、へらぶなへのアピールになると言われているためです。
しかし、ジャミが多い状況では、水を入れておいた別のエサボウルに手を浸し、水が滴る手をそのままエサを混ぜたエサボウルに入れて混ぜ(「手水を打つ」と言います)、水分を加え、粘りが出た状態のものを3本の指でダンゴ状に丸めます。
この時、少し指で圧力を加え、麩の粒子が適度に圧縮されるようにし、ハリ付けする時には、ダンゴを3本の指の中で軽く転がして表面を滑らかにします。(ダンゴに角が付いた状態にしてしまうと、角の部分からエサが溶けやすくなってしまうためです。)
ダンゴの形は涙型に、それでもエサがタナまで持たない場合は、極力完全な球体状になるようにして付けると、ジャミに突かれても簡単にはダンゴがハリから落ちにくくなります。
或いは、ジャミに多少食われることを想定して、エサを少し大きめに付ける。という方法もあります。
次に、これは釣り場によってその場所に住むへらぶな達がいつもどのようなエサで良く釣れているかにもよりますが、一般的に、ジャミ対策にはマッシュポテト主体のエサにすると良いと言われています。
マルキューアドバイザーの伊藤さとしさんによると、理由は以下の通りです。
5.大物狙いの場合
へらぶな釣りにおいて、所謂「大物」とは、通常45cm(「尺半」と言います)以上のサイズのへらぶなを指します。へら師達の憧れは、尺半以上のへらぶなを釣り上げることで、そのサイズを釣り上げると仲間に自慢できます!
また、より希少な夢のサイズというと、50cm以上(「50神」と呼ばれます)のへらぶなです。このような超大物のへらぶなは全国でもなかなかお目にかかることが出来ません。
へら師の中には、「50神」を釣ることを夢見て、様々な情報を元に、遠方の大物主体の野釣り場を渡り歩く強者もいます。
さて、やや脱線してしまいましたが、大物狙いの場合のエサと言うと、定番はマッシュポテト系のエサとなります。
私はまだ、大物狙いの釣りをしたことがないので、これまた、専門家である伊藤さとしさんの説明を引用すると、理由は以下の通りです。
但し、マッシュポテト単品で使用するへら師は少ないようで、粘りや比重を大きくするために、異なる種類のマッシュポテト系のエサをブレンドしたり、マッシュポテトと相性がいい麸系のエサをブレンドするのが一般的のようです。
6.釣り場固有のへらぶなの好み
最後の考慮要素は、釣り場固有のへらぶなの好みです。
野釣り場に行ってへらぶなに「君たちはどんなエサが好き?」と聞くことはできませんので、人づてやインターネット上の情報頼みになります。
大抵の野釣り場には、そこに長年通い詰めている常連のへら師達がいるものです。(但し、釣り場へアクセスできるように、草が刈られている、以前その場所に足を踏み入れたような道の形跡がある、手作りの釣り用のステージや釣り台が設置されている、へら師達が実際に今そこで釣りをしている、といった場所の場合ですが。)
最も手っ取り早い調査方法は、そこで釣りをしている人がいたら、声を掛けてみる。というものです。
もし、その人がへらぶな釣りをしているようであれば、挨拶をした後に、「この釣り場はどんなエサで釣れるのですか?」と聞いてみると良いでしょう。
(風貌がやや怪しいとか、ちょっと近寄りがたい雰囲気を出しているような人でないか、取り込み中でないかなどは見極めてくださいね。)
常連のへら師の方々は大抵、自分の好きなへらぶな釣りに興味を持って話かけてくれる人に対しては、親切に答えてくれるはずです。
私も初めて訪れる野釣り場では、へら師の方に声を掛けては、その場所で有効なエサのブレンド、使っている竿の長さ、仕掛けの仕様(道糸の太さ、ハリスの太さ、上ハリスと下ハリスの長さ、上バリと下バリのサイズ)、最近のその場所での釣果などを教えてもらってきました。
このような、人に聞く方法の他に、有名な野釣り場であれば、釣りエサメーカーのサイトに、釣り場情報や釣果、どのようなエサで釣れたかと言った情報が掲載されているので、事前にチェックしておくと参考になります。
私が参考にしているものですと、マルキュー社の「へら鮒天国」というサイトがあります。
このサイトでは、野釣り場に限らず、管理釣り場での釣り情報も掲載されています。
以上、3回に亘り、「野のへらぶな」釣りをするためのエサのお話をしてきました。
へらぶな釣りのエサの話は本当に奥が深く、これまでお話してきた内容はまだまだごく一部に過ぎませんが、まずはへらぶな釣りのエサについて、基本的な内容を知って頂く上で、ご参考になればと思います。
へらぶな釣り歴の長い方からすると、不完全な内容もあるかもしれませんが、何分、私自身がまだまだへらぶな釣り初心者ですので、その旨どうかお含みおき頂き、寛大な気持ちで読んでいただけたらありがたいです。
次回は、野釣り場での釣りの準備についてお話したいと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。