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期待自由エネルギーと万有引力による位置エネルギーは圏同型-高校生でもわかる期待自由エネルギー

 結論から最初に言います。Fristonの自由エネルギー原理(FEP)の自由エネルギーとは、力学における位置エネルギーと「同じ」です。(この「同じ」は、多分圏論の言葉で言う所の圏同値なのだと思いますが、圏論には詳しくないので本稿では「同じ」と呼びます。)そして、期待自由エネルギー(EFE)は、万有引力による位置エネルギーと「同じ」です。
 力学による位置エネルギーは、地球の重力によるもの、万有引力によるもの、ばねの弾性力によるものなどいろいろあります。 地球の重力によるものと、万有引力によるものは混同しやすいのですが、一般に、重力による位置エネルギーは地表面を原点にとり、万有引力による位置エネルギーは無限遠を原点にとります。そのため、例えば、地表近くで高度(地表面からの距離)1,000mと10,000mにある物体の位置エネルギーを考えると、位置エネルギーは距離が遠くなるほど大きくなりますから、重力による位置エネルギーは、10,000mにある物体の方が大きく、万有引力による位置エネルギーは、
無限遠が原点ですから1,000mにある物体の方が大きくなります。(万有引力による位置エネルギーの解説は、高校物理の解説としてたくさんのページがありますので、分かりにくい方はご参照ください。)
例えば、ThothChildrenなど。

 Fristonの自由エネルギー原理に話を戻しますと、期待自由エネルギー(EFE)は、まだ来ていない未来に関するものなので、原点を未来の観測の先においています(自由エネルギー原理について誰でもわかる、明快かつ深い解説 -3- -4- 参照)。いわば、原点を無限遠においているので、万有引力による位置エネルギーと「同じ」です。またこれに対して、Fristonにより先に提案された変分自由エネルギー(VFE)は、過去から現在にかけての話なので、地表面を基準とする重力による位置エネルギーと「同じ」です。ですから、重力による位置エネルギーと万有引力による位置エネルギーの符号が反対なのと「同じ」ように、VFEとEFEの符号も反対になります。VFEを減らすことは、物体の高度が下がる(重力により落下する)ことであり、この時EFEは増加します。逆にEFEを減らすことは、物体の高度が上がる(無限遠に近づく)ことであり、この時VFEは増加します。時間の流れと高度が「同じ」になっているのです。時間は地表からから無限遠に向かって流れていきます。物体は無限遠から地表に向けて落ちてきます。ただ、生命は地表に向かってまっすぐ落ちるのではなく、ひらひらと、また渦を作り、時には浮かび上がり(地表から離れ)ながら、最後には地表に落ちます。


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