e(ネイピア数)と複利計算
経済学を本格的にやろうとすると、ネイピア数$${e}$$がよく出てきます。
微積の本や記事を調べれば色々書いてありますが、
その多くは自然科学系のバックグラウンドで書かれているので、
私のような経済学徒としては馴染みづらかったりします。
そもそも$${e}$$ってなんだっけなあとたまに調べては忘れる日々。
そんな私ですが複利計算の文脈で$${e}$$を理解したら、ちょっと$${e}$$が身近になった気がしたので、メモしておきます。
単純な例から一般化
100円を年利1%で1年預けるとすると、
$$
1年後の価値 = 100 \times (1 + 0.01) = 101
$$
実際は利子って年に2回払いのことが多いです。
半年ごとに年利の半分(0.5%)がかかります。
すると、
$$
1年後の価値 = 100 \times (1 + \frac{0.01}{2})^2 = 101.0025
$$
利払い回数は多いほうが(ほんのちょっとだけ)トクをするようですが、
もしこの回数を無限に増やしたらどうなるでしょうか?
一瞬ごとに利息が積み上がっていくイメージです。
先の式を一般化します。
元手を100から1とし、年利$${r}$$、年に$${x}$$回払いとすると、
$$
1年後の価値 = (1 + \frac{r}{x})^x
$$
$${x}$$を無限大にすれば、
$$
1年後の価値 = \lim_{x \to \infty} (1 + \frac{r}{x})^x
$$
となり、無限複利の場合の一年後の価値が得られました。
一方、$${e}$$の定義は以下でした(他の定義の仕方でも、公式としてこの式を導いているはず)。
$$
e = \lim_{x \to \infty} (1 + \frac{1}{x})^x
$$
先の式と比較すれば、$${r=1}$$(年利100%)で、一瞬ごとに利息が積み上がっていくとき、一年後の1円の価値は、$${e}$$円(=2.72円)ということです。
意外と載ってない証明
年利が100%ではなく$${r}$$の場合、$${e}$$の指数に$${r}$$がのります。
$$
\lim_{x \to \infty} (1 + \frac{r}{x})^x = e^r
$$
私は1年に一回くらい、なんでっ!?ってなるのですが、当たり前すぎるのか、自然科学ではあまり使わないのか、この証明は本に書いてないことが多い気がします。
$${(証明)\frac{r}{x} = \frac{1}{t}とおく。}$$
$${x = rtより、x \to \infty ならば t \to \infty。}$$
$$
\begin{align*}
\lim_{x \to \infty} (1 + \frac{r}{x})^x
&= \lim_{t \to \infty} (1 + \frac{1}{t})^{rt} \\
&= \lim_{t \to \infty} \left\{ (1 + \frac{1}{t})^t \right\}^r \\
&= e^r
\end{align*}
$$
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