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行政書士は、官公署に提出する書・・・

行政書士は、官公署に提出する書類の作成やこれに関わる相談及びその提出手続について代理すること業(なりわい)としています。書類の多くは許認可に関するもので、その数は1万種類を超えるとも云われています。

そのためもあってか、行政書士特定の専門分野に特化してサービスを提供する者が多く、専門以外の業務となると見当さえつかないということも少なくありません。

たとえば、代表的な業務分野には建設業許可運送業許可などがありますが、知的資産経営報告書の作成在留資格の申請取次を専門とするわたしにとっては、そんな王道業務さえも不案内です。

とはいえ、中小企業に対する支援が中心の弊所にとって、様々な許認可の手続きを知っておくことは、提供しているサービス品質の向上に資するものと考え、わたしは、少なくとも月1回、東京都行政書士会の開催する多様な業務講習会・研修会に参加して新たな知識の吸収に努めるようにしています。

先日参加した講習会は、化粧品ビジネスにおける業務に関するものでした。

内容は、関係法令の薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)のうち最低限抑えておくべき条項を概観した上で、海外から化粧品を輸入する際の業務の流れを学ぶといったもの。

東京都行政書士会の講習会に行ってきました

いやぁ、感動しました。

講師の方の専門知識の深さはもとより、お話しから専門家としての矜持、使命感の強さ、倫理感の高さを感じ、圧倒される思いでした。また、お客様のために日々知識を研鑽し、細心の注意を払って業務に向き合う様子に痛く感服しました。すばらしかったです。

配布された資料も、業務プロセスを追いながらわかりやすくまとめられていて、大変ありがたかったです。殊にわかりやすさを感じたのは、化粧品ビジネスにおける行政書士業務を解説する冒頭に置かれたビジネスライフサイクルの箇所。

「企画立案」から始まり、「開発」「製造」「薬事申請」「集客・販売」「品質管理・安全管理」「インバウンド・アウトバウンド」「投資・合併・廃止」へと至るまでの化粧品ビジネスにおけるビジネス・ライフサイクルが示されています。そして、その各ステージには行政書士の支援業務が列挙されていました。

たとえば、「企画立案」のステージでは、法令に照らしてコンセプトメイキングに齟齬はないかをチェックしたり、「開発」では、化粧品基準等規制の観点からアドバイスをしたりする。「薬事申請」での許認可申請はもちろんのこと、「インバウンド・アウトバウンド」では、輸入の際の行政手続きや輸出の際の法規制対応、そして、「投資・合併・廃止」におけるM&Aに伴うDD(デューデリジェンス)対応や許可廃止手続きなどなど、支援すべきことは少なくないようです。

この表を眺めれば、行政書士が、化粧品ビジネスにおいて、いかに長期にわたりクライアントの伴走者としてコンサルティングが期待されているのかということがよく理解できました。

化粧品ビジネスでも行政書士が活躍しています

ある論文によると、2019年、世界の化粧品市場規模は約46.5兆円。わが国の市場規模は約3.8兆円。日本は、米国(約8.5兆円)、中国(約6.2兆円)に次いで世界第3位の化粧品大国だそうです。中でも日本製は高機能・高品質、安心・安全が海外でも高く評価されていて、外国人観光客によるインバウンド需要が増大した同年には、出荷額1.7兆円を超えて過去最高を記録したとのこと。

こう見ると、化粧品ビジネスにおける行政書士業務はとても可能性がありそうです。

とは云え、受講後の私の感想は「残念だけど、いまのわたしにはこの業務分野に参入する自信はないし、年齢的にその時間もなさそうだ」「もう15歳若かったら時間をかけどっぷりつかって専門性を磨くのになぁ」というのが正直なところです。

わたしにはこの業務が奥深く魅力的に思えはしたものの、そう易々と取り組める分野にはとても思えませんでした。

では、今回の受講は無駄だったのかと云えば、決してそんなことはありません。

少なくとも、化粧品ビジネスにおける留意点の大枠を掴むことはできましたし、加えて、先述のようなビジネス・ライフサイクルの観点でサービスを整理してお客さまに提示することの意義やインパクトを理解することができたことは大きな収穫でした。

行政書士の業務はとかく単発な業務が多いと云われますが、お客様の求める成果の本質を見つめればそんなことはない。一度取った許可だって更新しなければならないことや変更しなければならないこともある。新たな追加だってあり得るでしょう。そうした過程には、きっと見落としているお客様の潜在ニーズがあるはずです。

お客様とトコトン付き合い最後まで支援するということがどういうことなのかをじっくり考え、これをビジネス・ライフサイクルの視点で見える化すれば、これまでと違ったお客さまとのお付き合いの仕方が浮かび上がって来ると思います。

日々、専門性を磨きます!

ただ、それにも増して、今回の講習会でわたしにとっての大きな学びだったのは、「いまのわたしの専門業務の品質をもっともっと磨かなきゃな」と思えたことでしょうか。講師の方の行政書士としての在り方にすっかり触発されました。こうしたことはとても大きな学びだったと思います。

講師の先生は、この業務を始めて10年程だそうです。ご自身の失敗事例を交えながら、また、有用な参考文献なども惜しみなく紹介しながらの3時間のセミナーは、とても実りのあるものでした。

改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

以上

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