見出し画像

ある年が到来すると社会に深刻な・・・

 ある年が到来すると社会に深刻な影響を及ぼすことが想定される社会問題のことを「年問題」と云うそうです。40代半ば以上のビジネスパーソンには懐かしいY2K問題(西暦 2000年にコンピュータの年号認識システムが混乱して様々な影響が現れると懸念された問題)。「大みそかまで仕事に駆り出された」なんて云う方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

 近年では、18歳人口の減少により大学経営の危機が問題視された2018年問題や、バブル世代社員や団塊ジュニア世代社員の高齢化にともなうポスト不足、人件費負担増などが懸念された2020年問題などがありました。そして、昨今喧しいのが2024年問題。働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題の総称のことで、私の知り合いの社会保険労務士さんはその対応で大忙しのようです。

 ところで、みなさんは「2025年問題」という言葉をお聴きになったことはありますか?

 2025年以降に団塊の世代が75歳以上となって超高齢化社会を迎えることで生じる様々な問題のことを云うそうです。中小企業にとっての「事業承継」もその問題の一つに挙げられています。「中小企業白書」( 2023年版)に目を通すと、2000年に経営者の年齢層のピークが50代前半であったのに対して、2020年を見るとその年齢は60代から70代前半へと着実に高齢化が進展している様子が判ります。また、とりわけ75歳以上の経営者の割合が高まっていることから、「事業承継」を実施した(している)企業と実施していない企業に二極化していることが想像されます。

 わたしが懸念するのは、その「事業承継」対策の内容です。

 多くの中小企業では「金融資産」の承継である株価対策や相続対策、資金対策は早い段階から取り組み、万全を期してはいるものの、会社の「知的資産(人材・技術・組織力・顧客ネットワーク・ブランド等の目に見えない資産)」の承継は成り行きに任せていて、深く検討していない企業が少なくありません。このことで「金融資産」の承継対策もうまく機能しなかったなどと云った話も耳にします。

 「事業承継」対策 は、「金融資産」と「知的資産」双方の承継対策を兼ね備えてこそ最大限効果が発揮されるものです。「知的資産」の承継を怠ったばかりに承継後の組織がおかしくなってしまったのでは元も子もありません。

 近年、後継者の不在率は、調査開始(2011年)以降、初めて60%を下回ったそうです。その主な要因は、50代、60代の経営者における後継者不在率の低下によるものですが、このことから「事業承継」に対する理解の高まりを読み取ることができます。とは云え、まだ60代以上の経営者の4割が事業承継に関して未定であると回答していることも事実です。

 「年問題」は、決して他人ごとではなく、今を生きる世代にとって渦中の問題です。これを契機として「知的資産」の整理・整頓を始めておいたら如何でしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?