【事実発掘!FACT JAPAN 47 No.35】 秋田県
みなさんこんにちは。FACT 中村です。
大寒波の影響もあり、特に寒い日が続いておりますがみなさまいかがお過ごしでしょうか?
東京でこれだけ寒いのであれば、ここから北には絶対に住めないな...と真剣に思う中村ですが、今回はそんな北国にある教育大国のお話です。
(ずっと九州エリアを攻めていたのですが、今回は寄り道です笑)
突然ですがみなさん、
日本の学力レベルがどのくらいにあるかご存知ですか?
いや、そもそも!文化も言語も違うのに、グローバルで学力を測ることなんてできるの...?そう思われた方もいるかもしれませんが、
実はPISA(Programme for International Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度調査によってちゃんと数値化されているのです。
PISA調査は15歳児(日本では高校1年生)を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野で構成され、3年ごとに実施されています。
2018年そのPISA調査において、日本の順位はというと、なんと数学的リテラシー1位、科学的リテラシー2位!
いやジャパニーズキッズたちすごくない!?!?
と思わず声が出てしまうハイスコア。
順位は平均点を比較したもので、
日本の数学的・科学的リテラシーは世界トップクラスと言うわけです。
一方で、読解力リテラシーは11位...!
2015年度調査の平均点に比べると12点も低下してしまいました。内訳を探ると読解力分野の低得点層が増加傾向にあり、日本人の言語能力や情報処理スキルにおける課題が浮き彫りになっている模様。
また昨今は新型コロナウイルスの影響で、対面での学習もままならない日々が続いていましたし、このままで大丈夫なのかニッポン...!
と少しマイナス思考に陥ってしまいましたが、そんな懸念も吹き飛ぶほど
圧倒的高水準で日本の学力を牽引する都道府県があります。
それが...秋田県です!
え、秋田県!?
私、失礼ながら思ってしまいました。
秋田県といえば田んぼアートでも有名で田園風景が多く広がるのどかなイメージ。東京などの都市部のように、学習塾や教育サービスが多くあるようにも思えませんし、例えば、秋田の名門大学は?と聞かれてもぱっと思い浮かばないのが正直なところです。( 調べてから知ったのですが、かの有名な国際教養大学は秋田県の学校なのですね...秋田のみなさま、無知でごめんなさい... )
しかし、実際には『全国学力テスト』において、なんと第1回から今年まで13年連続でトップクラスの結果を出しており、小学校・中学校ともに、国語、算数・数学でほぼ上位3番以内に入っているという『超エリート集団』だったのです!
では一体なぜ、秋田県の子どもたちは、学力が高いのでしょうか?
その秘密はズバリ2つ!
①規則正しすぎる生活習慣
②学びを支える独自の教育環境
にありました!少し紐解いてみようと思います。
『超エリート集団』秋田の秘密
①規則正しすぎる生活習慣
『全国学力テスト』の質問紙調査によると、秋田県の生徒は全国平均よりも就寝・起床時間ともに早く、かつ睡眠時間が長い。さらには毎日朝ごはんを食べる割合も高い水準にあり、こうした規則正しい生活習慣が、子どもの集中力や学習意欲の向上に繋がっていると考えられています。
実は秋田県教育委員会では、2008年からこの調査において、秋田県の児童生徒が全国平均を上回った項目を組み合わせ、「秋田わか杉っ子 学びの十か条」を策定しているのですが、ここで第一にあげられているのが
「早ね早おき朝ごはんに家庭学習」。
県をあげて規則正しい生活習慣を推進してきた努力が今もなおしっかりと実を結んでいると言えそうです。
『超エリート集団』秋田の秘密
②学びを支える独自の教育環境
高い学力のワケは子どもの努力だけではございません。教育のあり方についても随所に工夫がありました。
まずは、県内の小・中学校で20年以上前から行われている「少人数学級」と「探究型授業」。
2000年代初期より少子化が進んでいた秋田県では学級における生徒数が少なかった。一見マイナスにも捉えられる状況ですが、これを逆手にとって少人数学級を導入。教員と生徒が密に関われる環境を整備することで丁寧で手厚い教育を実現しています。
探究型授業とは、子ども同士の対話を生かしながら課題を解決していくスタイルの授業で、国語や算数をはじめほとんどの教科で、取り入れられているそう。
はじめに、学習課題を子どもと教員で設定。課題についてまず一人で考えた後、グループで共有・検討する。その結果を学級に発表して話し合うという過程を繰り返しながら、課題の解決をはかっていく。そして、最後に学びを振り返り文章にまとめる。これにより、秋田の子どもたちは自ら考えを深め記述して答える設問に強くなるのではないかと言われています。
この傾向は先の調査でも顕著に現れており、国語では複数の情報を関連させながら答える設問、算数では数式の意味を言葉でわかりやすく説明する設問などで、全国平均をより大きく上回る好成績を残しています。
また、無回答率も小・中学校の全ての教科において全国で最も低く、普段から粘り強く考える癖がついている秋田県の子どもたちの多くはテストでも諦めることなく、自分の力で答えを模索しようとする傾向があると言えるのではないでしょうか。
次に、家庭学習の充実度。
秋田県は、学習塾の先生や家庭教師に「教わっていない」と答えた割合が、小学校では全国で最も高く、中学校でも全国で3番目の高さ!
そう、自分で勉強できちゃうんです。
一体何故か... それを実現しているのが「家庭学習ノート」です。
まず教員の助言を受けながら、自分で家庭学習の計画を立てる。その時、復習・予習のほか、自らが発展的に学習したいことも盛り込む。その計画に基づき家庭学習を行う。翌日ノートを学校に提出すると、帰りまでに教員が確認、赤ペンでコメントをしたノートが返却される。教員の赤ペンを励みに子どもは家庭学習を改善していく。
つまり、教員が家庭学習までを見守り、具体的かつ丁寧に指導することで、習慣化を図っているのです。
その成果として、秋田県の子どもたちの多くは、自分で計画を立てて家庭学習を進める習慣が身に付いているのだそう。
粘り強い思考力と学びに対する計画性・自主性の高さ、、
なんというハイスペック...!
こうしてみると、この秋田県の教育は単に子どもたちのアカデミックな学力だけでなく、現代社会で生きていくために必要なスキルをも伸ばす
『グローバルスタンダードなエリート教育』
なのではないでしょうか。
昨今、教育界では「非認知能力」という言葉が注目されています。
非認知能力とは、IQやテスト、偏差値のように数値化される学習能力とは異なり、学力テストでは測定できない、“問題解決能力” “計画性” “柔軟性” “心の回復力” “自制心” “やり抜く力” “社会性” “共感力”などの能力を指します。
グローバル化が加速する中、政治・経済など国際社会が抱える課題や環境問題など、もはや一国で解決できるものはありません。そんな状況下において、この非認知能力を伸ばすことで、分析力・判断力・決断力を身に付け、自分の属するコミュニティーや社会に貢献できる次世代が求められている訳なのですが...
これ、まさに秋田県が注力してきたことと見事に合致している...!?
そう、数年前までは日本ではあまり馴染みのなかった非認知能力なのですが、実は秋田県は20年以上も前から時代を先取って取り組んでいたのでした。
課題に対して意欲的に取り組み、諦めが悪く、それでいて計画的にPCDAを回せる...
まさに現代国際社会に求められるエリート人材の姿!
ALL ENGLISHの少人数授業、一年間の留学必須。日本屈指の人気を誇る超難関大学である国際教養大学が秋田にあるというのも合点がいきますね...
日本の、ひいては世界の発展は教育にあり!と言われる昨今、秋田県こそがその核となる未来も近いのかもしれません。
また、この英才教育っぷりは教育だけに止まらず、県のPR、ひいては人口増にも一役買ってでると思います。
例えば、プチ留学的に幼少期を秋田で過ごす”エリート人材育成支援”や教育現場の人材の登竜門として秋田県の学校への研修プログラムを組めば、教育大国としてのプレゼンスアップや他県からの人工流入を増やせる可能性もありそう...
というわけで、お子様の学力向上のためには、もう夜遅くまでのお勉強も、高い月謝の学習塾も、必要ないのです。
そう、秋田県に住んでいさえすれば。
…さすがに言い過ぎかもしれませんが、教育大国として名を馳せるであろう秋田県の今後に期待大ですね🔥
東北は教育先進大国?
実は、第31回の岩手県の記事でもスポーツ、アスリートの観点から力の入った教育について触れていました。
⇩No.31「岩手県」
https://note.com/preview/nad2c85962bcd?prev_access_key=156747f47092e44511ded554cdb25646
スポーツによって精神力を鍛え、課題解決型教育によって思考力を育む...
教育という視点から東北エリアに光を当てると、興味深い事実が浮かび上がりました。
これだけの充実した教育基盤があれば、東北はもちろん日本の未来はきっと明るいですね!
さて、次回は秋田式教育を受けずとも現代社会においてPR業界をリードする堀田さんよりお送りします。
お楽しみに〜!