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「日本メーカーは中国車にASEAN市場でボロ負け」するのか?

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 日本車の金城湯池たる東南アジア市場に中国製電気自動車(バッテリーEV、BEV)の輸出が急拡大しつつある。BEVに出遅れた日本車メーカー危うし! という、最近の大手メディアの論調を冷静に考えてみよう、と思っていたのだが、そういう日本敗亡論はこれまでもあったし、状況を理解していれば、普通に懐疑的姿勢になるという話をしているうちに、懐かしのトヨタ・キャバリエの話などしてしまい、ついつい長くなったので分割させていただいた。実質的な本論はここからである。

中国が安いBEVを造れるのは技術力があるから?

 先にお断りしておく。筆者は自分の仕事が要求する範囲で中国の諸事情を調べてはいるが、専門家ではない。ただ、中国製BEVの話題がメディアに出るたびに思うのは「中国とクルマの両方について語れる専門家はこの世にいない」ということだ。

 中国に詳しいクルマの専門家がいないことで何が起こっているかというと、「中国はBEV開発に先駆けているので技術力がある。だから安いBEVが造れる」という見方が出てくるのである。いや、本当か?

 もちろん中国製品を「安かろう悪かろう」という思い込みで見るのはまずい。しかし、中国という国家とそこに属する企業は、長期的経済合理性よりも目先のシェアを取るために、破壊的な価格攻勢をかける勝負を挑みがちである。というか、それが中国政府や企業にとって「繰り返し懲りないパターン」として定着しているきらいすらある。

 日本のクルマの専門家はそこを見ずに、「中国の企業だって健全に採算を取ることを考えるだろう」と、(日本の)常識で考える。だから、彼らの電気自動車の価格の安さを考察する際に、「中国は技術力があるから安くBEVを造れる」という認識が生まれてしまうのだ。

 この原稿では、中国のBEVの輸出攻勢の背景が技術云々とは違う話から来ていることを指摘したい。そのためには中国の事情を語る必要がある。

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