困ったとき助け合うフィリピン人(タガログ語翻訳・通訳者 林田マリトニさん:その4)
フィリピン人同士なら「助けて!」を言いやすい
フィリピン人はお互いに協力し合うことが多いです。フィリピン人だけではなく、他の外国人もそうかもしれません。
例えばベトナム人もそうですが、同じ国の出身者が固まって、仲間を助けながら一緒に行動しますよね。
フィリピン人も同じです。
助け合って生活しています。
仕事をしに来ている人が多いので、プライドが邪魔をすることもなく、まわりに助けを求めることができるんです。
逆に「それくらいひとりでできるでしょう」と言いたくなるときもありますが。
習得した日本語で仲間をサポート
神戸に引っ越してきた当時、カトリック神戸中央教会にフィリピンのコミュニティがふたつありました。
そのうちのひとつがルスビミンダという団体で、私も入っていました。
メンバーは日本語があまり得意ではなく、郵便局に行くだけでもついてきてと言われました。
郵便局のATMは英語に対応しているから、言語選択のボタンを押せばよいだけなのですが、それもわからないのです。
みんな細々したことで苦労していました。
例えば、水道料金の手紙が届いても内容がわからないから、私のところに見せにくる感じでした。
わからないものは日曜日に持ってきました。
日曜日は教会のミサがあるので。
これはこう書いてある、これはああ書いてある、と教えてあげるのです。
病院について行ったり、フィリピンに荷物を送りたい人を郵便局へ連れて行ったりしました。
たとえば、「今、何をしてる?お金をおろせないから、一緒に来てほしい」と携帯電話で連絡がくるわけです。
私は交通の便がよいところに住んでいるので、付き添うことが多かったです。
そのときは仕事をしていませんでしたから。
相談窓口に電話するほどではない、小さなトラブルに対応
この間、あるフィリピン人がボイラーが故障して冷たい水しか出ないと言うのです。
冬でしたが、管理会社に電話することもできず「どうしたらいいの!」と困っていました。
わざわざ相談窓口に電話をかけるほどではない、小さいトラブルが起こると私に相談が来ます。
「ボイラーが動きません!」とわざわざHIA(註:兵庫県外国人県民インフォメーションセンターのこと)に相談しないですよね。
その人のマンションまで行きました。冬にお湯が使えないと困りますから。
そういう時って、お礼にごちそうを作って待っていてくれるんです。
フィリピン人はみんな同じ考えで、周りの人のためによく料理をふるまうので、私も太っていくばかりです(笑)。
ある人は、丸焼きチキンを2つ持って来てくれたことがありました。
すごくおいしいんですけど、大きいんです。
「食べ切れない!」と言うと、「ひとつじゃ足りないでしょう!」と言うんです(笑)。
フィリピンと日本。人との距離感に見る文化の違い
知らない人でも、見た目でフィリピン人だとわかるので、街で見かけると声をかけます。
顔が似ているので、たまに台湾やマレーシアなど東南アジアの人と間違えることもありますが。
例えば電車の中で複数人で会話していると言葉でフィリピン人だとすぐわかるので、声をかけます。
みなさん(日本人)は声かけませんか?
自分の国の人だと話しかけますよね。
F:日本人は声をかけませんね。
冷たいですね!
海外に行っても日本人どうしで声をかけませんか。
F:う~ん……かけないですね。
そうなんですね。
もう日本に住んで長いですし、日本文化に染まっていますが、私はいまだに声をかけます。
フィリピン人がいるだけで、「フィリピン人だ!」という気持ちが高まります。本当に(日本人を見ても)声をかけたくならないですか。
F:声をかけたい気持ちもありますが、遠慮が先に来ます。
フィリピン人は遠慮がありませんからね。
F:日本人に声をかけると、知らん顔されるかもしれないと思ってしまいます。
なるほど。声をかけたら無視されるかもしれないんですね。
フィリピンはそういうことはありません。
声をかけたら絶対受け入れてくれます。
連絡先も交換します。フィリピン人にはそういう文化があります。
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