「DX成功の鍵:デジタルネイティブ・デザイン③」
DXはデジタルネイティブ視点でデザインし直さないとゴールに辿り着くことは永遠にないという話しは、以下の三つの記事で書いた通りです。
そこで、デジタルネイティブデザインで企業をソフトウェア化するにあってのポイントを改めて整理しておきたいと思います。
デザインのポイント
デジタルネイティブにデザインするうえで意識すべきことは、アナログネイティブ時代の常識とは全く異なるマネジメントとなるということです。
ここを間違えると、デジタルネイティブでデザインし直した意味がなくなってしまいます。
役員・従業員の価値発揮能力を高めることと同時に、デジタル空間ならではの危険から守ることを第一優先とすること。
業務上のコミュニケーションはデジタル空間経由とし、内容や痕跡を残し、情報の非対称性を取り除き、共有性と継承性を高めること。
職位は責任の重さが異なるだけで、ピラミッドの階層は極力少なくすること。
管理職はメンターとして機能すること。
上級管理職や経営者はスポンサーとして機能すること。
自由を基本とするが、危険地帯に行かないよう保護すること。
無理なく効率的に仕事が進められるようにする(危険や損失から守る)ために役員・従業員の行動ログを取得すること。
必要な手続きを速やかに行われるよう、行動ログからパーソナルワーニングを発すること。
無理なくルールが守れるよう、行動ログからパーソナルワーニングを発すること。
情報は統制ありきではなく公開ありきで考えること。
M&Aに関することなど、知ってしまうことによるリスクがない限り、情報は公開を原則とし、情報の非対称性を取り除くこと。
取引先や労働市場に対しても、競争上の優劣を決定づける情報でない限りは公開し、エコシステムの強化を優先すること。
従業員の管理は自己管理を前提とすること。
管理職の仕事はメンタリングやスポンサーシップにあって、労務監視にしないこと。
監視はコンピュータ(AIである必要すらなし)が行って、レポート漏れや、適正な働き方の逸脱がないようサポートすること。
自己管理ができない者、または公序良俗に反する行為をする者は速やかに去ってもらうこと。
自己管理ができない者や公序良俗に反する行為を繰り返す者が入社してこないよう、的確な検査を実施すること。
自己管理ができない者や公序良俗に反する行為を繰り返す者が入ってしまった場合のため、厳しい服務規程違反を準備し、管理者の管理責任を問うなどという方式をとらず、速やかに去ってもらうよう仕組むを整えること。
自己管理ができない者や公序良俗に反する行為を繰り返す者の存在を前提した管理プロセスを取り除くこと。
忘れてはならないこと
人間はアナログネイティブな存在
繰り返しますが、企業はもともと論理体なので、デジタル化との相性は抜群です。しかし、人間は肉体を持っている物理体ので、デジタルサービスを活用することで機能強化することは出来ますが、肉体を伴って時空を超えることはできません。したがって、デジタル化することについて自分に置き換えて考える事ができません。つまり、全く異なるパラダイムで理解してもらう必要があるのです。
競争優位性の先鋭化
デジタル化が進んでいく将来において、唯一無二になり、将来にわたって唯一無二であり続けない限り、ビジネスプロセスにおけるトランザクション処理の絶対スピードが取引獲得のキーファクターになっていく。待たせることは相手のプロセスを止めていたずらに時間を奪う行為としてマイナス面が先鋭化し、市場から締め出されていくことになるでしょう。
例えば、見積照会に対し、競争相手は数秒で前提条件付きでもクリアな一次回答データを提出する一方で、資料の作成から社内会議での審議を経て2週間後に前提条件付き正式回答を提出しても、その正式回答の前提がズレてしまっていればその回答の価値はないわけです。限りなく唯一無二に近い存在でない限り、お断り必至でしょう。
さようなら~指示待ち・丸投げ族
上司の指示なしには動けない人達、何でも言うことを聞く指示待ち人材なしには存在できない丸投げ人材の共依存とも言える関係性は、デジタル化したスピード社会での邪魔でしかなくなります。
成長力のある人間が必要
自分の中に成長エンジンをもった人間でないと成長が遅い。誰かに褒められることを報酬とし勧められる学習がベースの人間では歩留まりが悪すぎます。社会の変化と連動するためには、自ら変化する力(成長する力)が必要で、指示待ち・丸投げ族は当然無理ですが、外発的動機で動く人間も主体性があるとは言えず、自ら変化する力は限定的と言わざるを得ません。
思考力訓練なき知識詰め込み教育の被害者だから仕方ないと言っている場合ではなく、思考力を訓練し、内発的に自ら変化する力(成長する力)を獲得してもらうようにするしかないでしょう。
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