#4 冷たい水、温かい水、いつでも手軽に
「蛇口をひねれば安全な水が出る」
そういう日常が、当たり前だと思って過ごしてきました。
実は、世界では4人に1人が安全で管理された水を
手に入れられずにいるのが現実です。
日本は、江戸時代から続く浄水技術のおかげで、
世界でも稀に見る安全な水道水を誇っています。
しかし、この恵まれた環境は、決して偶然の産物ではありません。
私たちが安全な水を当たり前に享受できる背景には、
先人たちのたゆまぬ努力と、技術革新の積み重ねがあったのです。
では、世界の人々はどうやって水を確保してきたのでしょうか?
ローマ、ギリシャ、エジプトなどの古代文明では、人々は泉や川から水を汲み、水をアンフォラと呼ばれる大きな土鍋にためていました。このアンフォラは公共の場に置かれることが多かったそうです。
また、1910年頃のアメリカ南西部では、ロッキー山脈で遮られた雨雲が東側にゆかず、水不足につながることが増えていました。
飲み水の確保には水が豊かな土地から大量の水を運送しなくてはなりませんでしたし、その輸送後の飲み水を保管することにも課題でした。
そこで誕生したのが飲み水を大量に長期保存することのできる
ウォーターサーバーです。
アメリカではじめて導入されたウォーターサーバーは、
「ウォータークーラー」と呼ばれていました。
外観は大きなガラス瓶を使って水を貯め、
それを蛇口付きのディスペンサーに置いたような形状でした。
その後、1970年代ヨーロッパを中心にウォーターサーバーが広まりました。世界的に広まった理由は「汚染水を飲みたくない」「安全な水を飲みたい」ということであり、水不足が理由ではありませんでした。
日本でも、現在ではオフィスなどで必ずと言っていいほど見かけますが、ウォーターサーバーが上陸したのは1980年代と言われています。
たった40数年前に上陸したということになりますね。
なぜこんなに上陸が遅かったのかというと、
昔は日本は水に困ることがなかったからです。
日本は、アメリカに比べ山川が多く、
地域差がありますが年間を通して雨が降ります。
綺麗な地下水も手に入りやすく、湧き水の近くには井戸がたくさんあり、
水の確保も容易だったことが背景です。
しかしながら、1950年から1970年代の公害病がきっかけで、
環境問題が注目され、水道水に対しても不安をもつようになりました。
好景気に沸く高度成長期と重なり、
おいしくて安全な水を求めるようになったのです。
日本では、当時の答えはウォーターサーバーではなかったので
次の章から掘り下げてゆきます。
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