#2 実は水輸入大国⁉ ニッポンの現実
世界では、今も昔も、水は争いの火種となっています。しかし、私たち日本に住んでいると、どこか他人事に感じてしまうかもしれません。
それは、日本が豊かな自然に恵まれ、水資源も比較的豊富だから。
もう一つ、大きな理由があります。それは、日本が島国であるということ。
世界の大河の多くは国境を越えて流れているため、水利権をめぐる国家間の紛争に発展しやすいのです。
しかし、日本には、国境を越えて流れる川はありません。
もちろん、日本国内でも、江戸時代以降、灌漑用水や水利権をめぐる争いはたくさんありました。
でも、それはあくまで国内の問題でした。
日本は水をめぐっての国家間の争いはないだけでなく、蛇口をひねれば安全な水が飲める、恵まれた国。そう思っていませんか?
確かに、日本は世界でも珍しい、水道水が安全に飲める国の一つです。
しかし、実は、日本は完全に水を自給できていない事実をご存知ですか?
ペットボトルのミネラルウォーターを外国から輸入しているのはもちろん、私たちが日々口にする食料も、実は多くの水を必要としています。
例えば、牛肉1kgを生産するには、なんと約2万リットルもの水が使われていると言われています。
私たちが輸入している食料を生産するために使われた水、これを「バーチャルウォーター(仮想水)」と呼びます。
つまり、食料の輸入は、形を変えた水の輸入でもあるのです。
もし、その食料生産に使われた水が国際河川の水だとしたら...?
日本は、実は間接的に、国際河川の水を大量に使っていることになります。
水不足や水質汚染が深刻化する現代において、日本も、決して水問題から無関係ではないのです。