#7 日本の「水道水神話」は続くのか?安全な水を考える
日本では、蛇口をひねれば安全でおいしい水が飲めるのが当たり前、、、なのか?
「水道水は安全」という神話は、高度な浄水技術と
厳しい水質基準によって守られてきました。
世界的に見ても、水道水を安全に飲める国は12か国程度で、
WHO(世界保健機関)の調査では、世界人口の約4分の1が安全な飲み水にアクセスできていない現状です。
しかし近年、この「水道水神話」に
陰りが見え始めているのではないでしょうか。
有機フッ素化合物のうち、人体に影響が懸念される代表的なPFOS/PFOAが
一部地域の水道水や井戸水から検出されたというニュースは、私たちに大きな衝撃を与え、今も全国で調査が続いています。
さらに、ミネラルウォーターからもPFOS/PFOAが検出される事例も報告され水に対する安全意識はこれまで以上に高まっています。
水道水 vs ミネラルウォーター:安全性と料金の違い
では、水道水とミネラルウォーター、
それぞれの安全性はどう違うのでしょうか?
実は、水道水はミネラルウォーターよりもはるかに厳しい基準で管理されています。(水道水:水道法、ミネラルウォーター:食品衛生法)
例えば、水道水には、ミネラルウォーターにはない「残留塩素」の基準があります。 これは、浄水場で殺菌処理された水が、家庭に届くまでに雑菌が繁殖するのを防ぐためです。
しかし、近年問題となっているPFOS/PFOAは塩素消毒では除去できません。
また、ようなミネラルウォーターも採水地によってはPFOS/PFOAなどで
汚染されている可能性があります。
ですので、この点では、どちらが安全とは言えません。
日本の水道水、安全を守ってきた「塩素消毒」のホント
どこでも飲めるのが常識の日本の水道水の安全を支えているのは、
高度な浄水処理と塩素消毒です。
特に塩素消毒は、浄水場で水道水を殺菌するための最も一般的な方法で
日本の水道水における塩素消毒の基準は、世界的に見ても非常に厳しいものと言われています。
ところが塩素には細胞破壊力があり、アトピー・アレルギーの原因にもなり
浄水場で原水に存在するフミン質などと塩素が化学反応を起こすと、
発ガン性のある「トリハロメタン」を発生させることがわかっています。
日本の立ち位置をみるため、諸外国の基準値をネットで調べました。
そうすると、だいたいこんな調子でした。
・諸外国は水道水残留塩素の上限値があるのに、日本には無い。
・日本の基準は下限値だけ。
・日本は諸外国と比べて水道の残留塩素が数十倍多い。
このあたりを理由にして、
水道水は信用ならないとかミネラルウォーターが良いとか
浄水器を買ってください、、、などに繋げる論調が多かったです。
ですが、これが全て正しいと日本がミネラルウォーターの消費量/人が少ないことが説明できないような気がするので検証してみました。
検証結果1
・諸外国は水道水残留塩素の上限値があるのに、日本には無い →正しい
・日本の基準は下限値だけ →正しい
日本の水道法では、
給水栓=蛇口で検出される塩素の濃度(残留塩素濃度)を
0.1mg/L以上保持するよう定められているだけです。
つまり、残留塩素を一定以上残すことで
浄水場から遠い家庭の水道にも、
殺菌力を担保しようとしてきたのです。
その為、近年では各水道局が地域毎に設置された給水所で塩素を追加投入し浄水場から遠ざかるほど水道水の塩素濃度が低まることを防いでいます。
でもこれは、裏を返すと、浄水場からの距離にかかわらず、
残留塩素濃度をなるべく低く保つことにも繋がっているのです。
そうでなければ、浄水場付近の水道では、残留塩素濃度が
著しく高くなってしまうはずです。
検証結果2
・日本は諸外国と比べて水道の残留塩素が数十倍多い →正しくない
今回、諸外国の公的機関の生データーを見たり、
厚労省のデーターを見て理解したのは、
日本でこの件を論じている各サイトでは、
基準値と計測結果がごちゃ混ぜになっているようだということです。
ですので、各国の公的機関の基準値と計測結果を分けて比較します。
そうすると、各国かなりバラバラとわかりました。
このように、基準値レベルでは各国バラバラですし、
日本が下限しか決めてないので実測値は青天井か⁉と不安です。
実測値レベルで諸外国と比較して日本が高いか低いかは、
次の章で分析してゆくので、
まずは、諸外国の実測値を見てゆきます。
<実測値>~諸外国~
諸外国の比較でわかったこと;
・基準値:各国ばらばらでその差は最大8倍
・実測値:各国の差が更に開き最大15倍程度
ただし、塩素は時間の経過とともに抜けてしまうので、
実測値については、同じ条件で比較できているか不明です。
なぜなら、浄水場や塩素追加する給水場からどのくらい離れた水道の蛇口で
計測しているかで実測値がかなり変わってしまうからです。
諸外国では、日本のように給水所で塩素追加しているかなど不明なので
このグラフはあくまで参考情報とするのが良さそうです。
また、基準値に大きな差があるのは、
水道水が飲用前提で管理されているかどうかの差である可能性があります。
次は、日本における蛇口レベルでの残留塩素の実測値を見て
諸外国と比べてどんな立ち位置になているのか確認します。
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