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【天草の滝つぼ集団食中毒から学ぶ】水の安全と浄水技術の重要性

今年の夏、熊本県天草市の轟の滝で遊んだ人々が、発熱や嘔吐などの症状を訴え、大きなニュースになりました。原因究明のため県が水質検査を行ったところ、ノロウイルスが検出されました。その後、調査も進み、何らかの症状で保健所に報告があった方の人数は191人に上ります。

あの時、ニュースを見て、「まさか、自然の中で遊ぶだけで食中毒になるなんて…」と驚いた方も多いのではないでしょうか?



◾原因や他の事例

熊本県は、8月末から9月にかけて新たに行った調査結果を公表しました。
周辺に汚染原因となる施設はなく、 また、今回は滝つぼ周辺の水からノロウイルスは検出されておらず、8月12日からの数日間に発症者が集中していることから、「ノロウイルスに感染した人が8月12日頃に滝を訪れ、滝つぼ付近で吐いたり下痢をしたりしたため、水量が減り水の流れが悪くなっていた滝つぼで感染が広がった可能性が高い」と結論づけました。(9/26発表)

今回のことは、私たちの身近な水には、様々なリスクが潜んでいることを改めて気付かせてくれました。

あの時、滝つぼの上流ではイノシシの出没が相次いでいました。川や湖などの自然の水は、一見きれいに見えても、動物の糞便などに含まれる病原体が混入している可能性があり、その影響も懸念されていたのです。

また、当初予想していた原因の一つには、クリプトスポリジウムという3~8μmの原虫も可能性があるとされていました。これは塩素消毒にも強い抵抗力を持つため、浄水場でも除去に工夫が必要な厄介な存在です。
取り上げるメディアはあまりないですが、過去には、アメリカや日本で、水道水を原因とするクリプトスポリジウムによる大規模な集団感染も発生しており、実は、世界で身近に存在する問題なのです。
 <事例>
 1993年米ウィスコンシン州40万人感染(水道水)
 1996年埼玉県入間郡越生町8,812人感染
など(水道水)
また、レプトスピラ症という感染症も、動物の排泄物から感染し、深刻な症状を引き起こす可能性がありますが、こちらは塩素には弱い細菌です。

◾どう安全な水を確保すれば良いのか

夏は終わり、河川や公共の場での水遊びも少なくなってきましたが、涼しくなり、紅葉もきれいで虫も少ない ハイキングやキャンプなどのアウトドアに向いた季節になってきました。
当然、自然の水をそのまま飲むことは絶対に避けましょう。携帯用の浄水器を持参すること推奨します。中空糸膜のろ過フィルターが付いている浄水器を使えば、有害な細菌や寄生虫を除去し、安全な水を飲むことができます。
もちろん、防災グッズとしても活用できます。

尚、現在の水道水は、様々な浄水処理を経て供給されているため、安心して飲むことができます。 日本の浄水技術は世界トップレベルであり、高度な処理によって、原虫の除去はもちろん、適切な消毒が行われています。
安全な水を確保するための知識を身につけ、安全でおいしい水を安定的に供給してくれる浄水技術の重要性を再認識しましょう。
→身近な浄水場で、どう原虫を除去し、適切な消毒をしているかはこちら!(#10 おいしい水道水は、原水と浄水場のタイプに左右される)

◾ミネラルウォーターとの違い

一方、ナチュラルミネラルウォーター・ナチュラルウォーターは、沈殿・ろ過・加熱殺菌だけを行い、水質検査された上で流通しています。
浄水処理はしておらず水質検査の項目は水道水よりも少ないです。
→水道水とミネラルウォーターの水質基準の違いはこちら(#7 日本の「水道水神話」は続くのか?安全な水を考える)

💧💧ミネラルウォーターの種類💧💧
一口にミネラルウォーターと言っても、いろいろな種類があり、正確に言うとペットボトルで売られている水の全てがミネラルウォーターというわけではありません。

日本ミネラルウォーター協会

上の表にあるように、
水道水と同じ性質のものをボトリングしただけのものもあります。
それらは正確にはボトルドウォーター
と呼びます。
下記にある写真のラベルを拡大してご覧ください。 ↓ )
有名大型店で、かなり安価で購入したが、
後から知って驚いたという方の話もあります。

https://inakadaisuki.com/costco-tap-water/
当社作成

◾煮沸による対策の豆知識

ご存じのように、リスクのありそうな水に家庭でできる対策として
煮沸もありますが、細菌・ウイルス・寄生虫が
不活性化or死滅する温度と時間を解説します。

 ウィルス: 例えばノロウイルスは85~90°Cで90秒以上の加熱で死滅 
 細菌  : 多くの細菌は中心部を75°Cで1分以上の加熱で不活性化
 寄生虫 : 一般的には55°Cで5分以上の加熱が有効
      (クリプト原虫は1分間の煮沸で死滅)


尚、ウィルスは非細胞生物であり、自己増殖する能力が無く、
宿主細胞を利用して増殖するものです。
細菌(大腸菌やカンピロバクターなどの病原菌)は、単細胞生物であり
栄養があれば自己増殖するものです。


この天草のニュースは、私たちが普段何気なく口にしている水にも、様々なリスクが潜んでいることを教えてくれました。
水の特徴を知り、正しい知識で消費できるようにしてゆきましょう!


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