#9 水道水の臭いは塩素が原因じゃない⁉

前の章では、水道水の実際の残留塩素は0.4㎎/L程度と見てきました。

実は、プールの塩素も0.4㎎/Lが基準になっているそうなので、
正直言って、人が飲む水がプールと同じくらい消毒されていて良いの?
という感じがします。

でも、プールの塩素臭は半端無いですが
水道水は同じレベルでは臭ってないですよね。

プールの塩素は学校では実際もっと入れているからでしょうか?
もちろんそれもあるかもしれません。
しかしながら、それだけではない深い話があります。

水道水の臭いのホント

まず、水道水の臭いの元は塩素自体の臭いも当然ありますが、
本当は、浄水場の原水(河川水など)に含まれている
アンモニアと浄水場で注入される塩素が反応してできた
トリクロラミンという副生成物などが主な臭いの原因
となっています。

そのほかの副生成物として、トリハロメタンなど
発がん性を疑われる物質ができます。

当然、これら副生成物には厳しい上限基準が定められており、
これに対応する為、各水道局では新たに高度浄水処理を導入してきました。

高度浄水処理の導入は、水質の向上と安全性の確保を目的として行われ
1992年から導入が始まりました。
この処理には、オゾン処理や活性炭処理などが含まれ、
これにより従来の浄水処理では除去しきれなかった
残留塩素臭や微量の有機物やトリハロメタンなどを
効果的に除去
することができるようになりました。

下記のイラストでは、赤枠の部分が高度浄水処理です。
首都圏を中心に、近年日本の主流になっている処理方法となります。

東京都水道局

下記は、東京都と千葉県での調査結果ですが、
この高度浄水処理が水道水のおいしさや満足度の向上に役立ったことがわかります。

東京都の状況:水道博士(工学)増子敦さんより
千葉県の状況:千葉県営水道

このように近年、水道水からプールと同じ塩素臭(カルキ臭)がしないのは
特別な処理を入れていることも理由の一つとなります。

≪コラム≫
先ほど、塩素臭(カルキ臭)と書いてしましましたが、
塩素とカルキの関係について解説します。

カルキは正確には次亜塩素酸カルシウムのことで、別名「さらし粉」
なぜ、カルキというかというと、ドイツ語でクロールカルキ(Chlorkalk)
と言うからです。
水に入れると塩素が発生します。

国から水道水の消毒として使用を認められているのは、
 1 次亜塩素酸ナトリウム(液体)
 2 次亜塩素酸カルシウム(個体、いわゆるカルキ)
 3 液化塩素

水道水の消毒に使われてきたのは、
その昔は、2の次亜塩素酸カルシウム(個体、いわゆるカルキ)でしたが、
現在、使用されているのは、1の次亜塩素酸ナトリウム(液体)です。
昔、今でも昔と同じ臭いが少しするので、カルキ臭と言われてるようです。
※この臭いは塩素自体よりも、塩素とアンモニアが反応して生じた副生成物から主にきていることを本章で説明しました。

※ちなみに、お風呂のガラスに固着する白いものもカルキと言われますが、
本当はカルキではなく、水道水の中のミネラル分が固まったものです。
(カルシウム、マグネシウム、鉄分、シリカなど)

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