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石けんは水の硬度成分と反応し、25%が石けんカスになっていた⁉
石けんは洗浄成分が残りにくい
以前の投稿では、石けんには、界面活性の作用をもつ洗浄成分を肌に残さないという性質があり、スキンケアや美容に向いていると書きました。
もう一度まとめると、次のようになります。
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洗浄成分の残りやすさについては、、、
■ボディーソープ・洗顔料の特徴:合成界面活性剤がお肌に残りやすい
汚れが多い方やお肌が強い方に向いている
■石けんの特徴:洗浄成分がお肌に残りにくい
スキンケアやお肌の弱い方の洗顔に向いている
※ただし、これは純石鹸の場合。
合成界面活性剤を含む複合石鹸は、この限りではない(後述)
これらの洗浄成分のことを言う前に、入浴や洗顔時に必ず肌にふれるものがあります。それは、「水」です。洗顔前に手を洗うのも、石けんの泡立ても、泡の洗い流しも全部水道水。今回とりあげるのは、水道水の硬度に絡んだ石けんのお話です。
界面活性の作用を失わせてしまう白いふわふわ
筆者は、子供の頃、お風呂で石けんを使った後、お湯に白いかすのような、ふわふわしたものが浮かんだり、洗面器に白いものが付着することがありました。その当時を知る世代の方には、おなじみの光景ですね。(笑)
子供の頃、大量にでる白いふわふわをみて、自分の「アカ」だと思っていた人も多いのではないでしょうか? 実は、これはアカではなく、金属石鹸と言われるもの。今となっては、このことをご存じの方も多いと思います。
しかし、その発生メカニズムは、石けんとボディーソープの違いを浮き彫りにしてくれます。
金属石鹸ができるメカニズムについて
石けんの場合: ※純石鹸に限る
天然の脂肪酸を原料とする石けんは、水中の硬度成分(カルシウムやマグネシウムイオン)と反応して金属石鹸(脂肪酸カルシウム、脂肪酸マグネシウム)を生成します。金属と名前がついていますが、有機化合物となります。
金属石鹸は、油になじみやすく、水にもなじみやすいという性質ですが、なじんでも、溶けるわけではないです。だから水中で小さな粒子の状態で分散して、ふわふわに見えます。この性質を利用して、合成樹脂、潤滑剤、化粧品など様座な分野で使われています。
汚れを落とすメカニズムとしては、普通、水の中で溶解した界面活性の作用をもつ分子が、ミセルという分子集合体をつくります。ミセルが汚れを包み込み、そのまま水で洗い流すことで、汚れを落とすことができます。
しかし、そのミセルに、汚れよりも先に金属が結合して金属石鹸になると、汚れをおとし、泡を作る界面活性作用が失われてしまうのです。(失活)
その為、カルシウム、マグネシウムなどの、金属イオンをたくさん含む硬度の高い水を使うと石けんの泡立ちも悪くなるのです。
石けんカスは、正確には、金属石鹸をメインとして、一部、古い角質、髪や肌からはがれた古い皮脂が一緒になったものです。
ボディソープの場合:
一般的な石油由来の合成界面活性剤を原料とするボディソープは、金属石鹸を生成しにくいように設計されています。簡単に言うと、合成界面活性剤を水中の硬度成分(カルシウムやマグネシウムイオン)と反応しにくくするため、金属封鎖剤(キレート剤)を入れているのです。
キレート剤は、水中のカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンと先に結合することで、これらの金属イオンが他の物質と反応するのを防ぎます。
※キレートとは; ギリシャ語で「カニの爪」を意味する「chele」に由来しており、キレート剤が金属イオンを挟み込む様子がカニの爪に似ていることが由来です。
しかし、ボディソープの中にも石けん成分を配合している製品も存在します。石けん成分が配合されているボディソープの場合は金属石鹸が生成される可能性があります。(純石鹸をベースにした液体石鹸などが該当します)
石けん・ボディーソープの中のキレート剤について
この金属石鹸はやっかいで、お肌に張り付くとツッパリ感が出て、乾燥を引き起こします。その為、現在では、純石鹸以外の多くの石けんにキレート剤が添加され、石鹸カスの生成を抑えているのです。
主なキレート剤
・エデト酸ナトリウム(EDTA)
・エチドロン酸
他の用途 食器用・工業用洗剤、化粧品、食品(酸化防止剤として)
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これらのキレート剤は、石けんの機能安定を保つ為に当たり前のようにほとんどの石けんに入っていますが、正直、お肌にとっては無い方が良いです。
特にアレルギーや敏感肌の方ほど。
金属石鹸→石けんカスは、水中の硬度成分と反応して生成されるので、水道水の硬度が高い地域(日本では千葉県や沖縄県)は、泡立ちが悪いです。
よく、欧州に海外出張に行った際、ボディーソープやシャンプーがかなりの量を使わないと泡立たないのは、そのせいです。
つまり、水の硬度成分が無ければ、キレート剤も不要で、本来必要な石けん成分(石けん素地=天然の油脂成分)のみで、用が足りますし、量も少なくて済むのです。
水の硬度ごとに泡の立ち方をテストしてみると、できる泡の量には明確な違いが出ました。<実験結果は今後掲載予定。お楽しみに!>
大量にできていた金属石鹸
石けん成分と水の硬度成分が反応し、金属石鹸になってしまう量は意外と多く、その影響は侮れません。 例えば、100%純石鹸の洗濯石鹸(キレート剤が添加されていない石鹸)を標準使用量で使い、硬度が50mg/Lの水で洗濯すると、およそ1/4の石鹸分が金属石鹸になるという検証結果もあります。引用:金属石鹸とは こうなると、お肌はつっぱるし、洗濯物も洗いあがりの柔らかさに欠けてきます。
一般的に硬度100以上の水を硬水と呼んでいますが、硬水で、身体をあらったりシャンプーしたら、かゆみがでたり、バサバサになったりするのは、こんなにできてしまう金属石鹸で、皮膚や髪がコーティングされるせいです。
(硬度100くらいあると、キレート剤が入っていても間に合いません。)
水道水の硬度が高い地域では、水で顔を洗うだけでも、皮脂に含まれる脂肪酸と、硬水中のカルシウム・マグネシウムが反応し、合成樹脂、潤滑剤、化粧品にも使われる金属石鹸で顔がコーティングされてしまうほどです。
敏感肌の方にとっては、硬度の高い水で洗うだけでも、肌荒れを起こす可能性があるのはこのせいです。
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軟水が解決してくれる
お肌に優しいものを目指すなら、金属封鎖剤(キレート剤)が配合されている合成界面活性剤のボディーソープを避け、石けん、それも、添加物の入っていない純石鹸が選択肢となります。
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そして、ここからが大切なことですが、洗い流す水が、カルシウムやマグネシウム等のミネラル成分が少ない「軟水」なら、天然の油脂を原料とする石けんを使っても、金属石鹸はできません。
硬度ゼロに近い軟水を使うと泡立ちが良く、きめが細かい泡が簡単にでき、
石けんの使用量が少なくて済むのです。
純石鹸でも、石鹸カスに変わる石けん成分が量がゼロですみ、全てが泡になってくれます。
泡ポンプ式の液体石けんは、中の石けん液を硬度ゼロの水で割って泡をつくっていることからも、その威力がわかります。
如何でしたでしょうか。これ以外にも、水道水の硬度成分は、塩素よりお肌に影響を与えることもあるので、軟水はそこでも大きなメリットありです。
次回は、軟水とは何か? どうやったら軟水が手に入るのか? 水の硬度ごとの泡立ちの違いは? について投稿を予定しております。
特に、硬度ごとの泡立ちの違いは、実際のテスト結果を載せますので、ご期待ください。
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