内定辞退者ヒアリングのススメ ~ 採用活動に候補者視点を取り入れるヒント ~

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。今日は、弊社で実施している内定辞退者ヒアリングはお勧めです!という趣旨の内容です。ここまででなんとなく想像できた方は以下の文章は読まなくてもいいと思います。記事の内容としては具体的にどんなことをしていて、どういうメリットがあるか、なぜ実施しているかみたいなところを書きます。

<対象としている読者の方>
- 採用強化中の企業の皆様
- 強く入社してほしいと思った方とうまくマッチングできなかった経験のある方々

<記事の内容のサマリ>
- オファー後辞退した方に個別ヒアリングを打診することで、自社の採用課題・自社の客観的な魅力に気付けるので、お勧めです
- 採用活動は企業が選ぶ時代ではなく、選ばれるために努力する時代だからこそ、実際の候補者の方々の意見を取り入れる努力が必要だと思っています

以下、詳細内容です。


辞退者ヒアリングとは?

言葉通り、内定辞退・選考辞退をした方に対して個別でヒアリングするを指しています。内定辞退・マッチングできなかった背景を直接お伺いすることによって理解し、採用活動に活かすことを目的にしています。弊社ではこれを私が実施しています。以下に具体内容を記載します。

<ヒアリングしていること>

  • 選考を受験した企業はどこですか、またなぜその会社の選考を受けようと思いましたか(認知における課題ヒアリング)

  • 入社の意思決定にあたって、HERPについてどういう良いところ、不足しているところがあると感じましたか(ミッション・事業機会・カルチャー・業務内容・待遇・候補者体験)

  •  内定承諾した企業に対して、良いところ、不足しているところ、最終的な意思決定の背景を教えてください(ミッション・事業機会・カルチャー・業務内容・待遇・候補者体験)

<ヒアリングするタイミング>

理想は、内定承諾された企業様に入社されてから1ヶ月以上経ったタイミングです。両社の差分がよくわかるようになるタイミングでもあると思うので、自社の不足が何かが明確にわかるようになると思います。

<ヒアリング手法>

弊社ではオンラインmtgにてお時間をいただいております。お忙しい方に対してはフォーム等での実施も良いかと思いますが、直接お話することで理解が深まると感じています。

どんなメリットがあるか

以下に羅列したメリットがあります。ただ、このメリットを最大化するためには、自社をかなり深く理解してもらい、入社した会社と相対比較しやすい状態である必要があります。弊社では候補者の方々全員にトライアル入社(社員と同じアカウントを発番し、1~2週間実際の業務の現場や会議にご参加いただき、擬似的な入社体験をしていただく)を実施させていただいているので、リアリティあるご意見を頂けているのではと思っています。

<得られるメリット>

  • 実際の候補者の方々の視点での採用課題に気付ける

  • より広報した方がいい、気づけていない強みに気付くことができる

弊社で実施した辞退者アンケートの結果(具体例)

以下は実際に弊社で直近実施したアンケートの結果サマリとして社内に共有したものです。実際には個別のご意見も記載しておりますが、ここでは割愛します。(個人情報はもちろん除外した形で共有しています)


<辞退者アンケートの結果サマリ>

◯課題調査

  • 候補者体験上の課題はヒアリングを通じては顕在化しなかった。

    •  候補者体験に関しては総じてとてもよかったという評価。

    • もちろん改善の余地がないという理解ではないが、意思決定にマイナスの影響を与えているとは考えにくい

  • 仮説としてあった今後のマイルストン・成長ストーリーの不明瞭さに対する課題は候補者によっては、課題になるケースがある

  • HR領域の機会・インパクトを感じてもらえていないことが課題であるという仮説が生まれた

  • 組織の魅力に関しては、トライアルで伝わっていると考えられる

  • 現場の成熟度比較で負けているケースがある

  • 相対的に採用マーケティングで負けている、HRTechスタートアップがたくさんある中で優位性・特異性を表現しきれていない

◯明らかになった広報が必要なポイント

  • ミッション達成への問いを全社員が持っている、当事者として思考し続けていること

  • 現場のエンジニアがユーザーヒアリングを自主的に行い、新機能・新サービスの方針検討を進めていること(エンジニアとユーザーの距離感)

  • トライアル入社の候補者体験品質の高さ

<実際のアンケートでお聞きした声>

学びが深かったお声を抽出して記載してみます。

  • 改善ポイントへのお声

    • 年齢の部分は考えた。20代半ばとかだったらビジネスドメインを決めなくて良いかもしれないが、30代半ばでそれを決めていきたいと思ったときに、採用領域に対して、数年コミットしようと思いきれなかった

    • UXよりのケーパが足りてないみたいな話も良かったけど、社内的な話に見える、社内課題ではなくミッション達成と紐づけて求人・募集ポジションを設計すべきかも

    • HRTechは有象無象な感じがあるなかで、他社との違いをどう明らかにするかが必要そう

    • 仕事の内容がイメージできてしまった、セールス受ける側の立場もあったから、なんとなくこういう営業をするんだろうなとかイメージが湧いた

    • 居心地はめちゃくちゃ良かった、良すぎて緊張感とかストレッチされて鍛えられる感じがなかったのかもしれない

  • 良い点についてのお声

    • 一番印象的だったのはエンジニアがユーザーヒアリングしたり、職種役割に閉じずにプロダクトの成功にコミットする、思いを実現することにコミットしていることはもっと伝わるといいかも

    • ミッション達成に対する真摯さ、現場を含めて全員で考えている点においてはHERPのほうが優っていた。そのマイルストン・ストーリーも比べると明確だった

    • プロセスは圧倒的にHERPがよかった

なぜ辞退者ヒアリングを実施したか

最後に、なぜこういう取り組みを実施したかの背景について触れておきます。最初のきっかけは、弊社の採用活動において、とてもご入社いただきたかった方とうまくマッチングできなかったことがあり、何が課題かより詳細に聞きたいと思ったことです。とてもシンプルなきっかけでした。
ただ、こういった取り組みを実施する中で日本の採用活動においても候補者視点はもっと取り入れるべきだなと改めて感じました。人材の流動性が高まり、SNSやメディア等で情報が広く普及するようになったことで、転職活動以前の認知獲得から、品質の高い候補者体験をご提供することが求められるようになってきていると思います。我々がオープンな採用を支え、事業成長を加速させる。というプロダクトビジョンを掲げているのにもこういった背景があります。採用活動のKPIが候補者数の最大化とCVR改善から、本当に一緒に働きたいと思える方とどのように出会い(認知獲得し)、ご入社いただけるかに移ってきている中で、候補者視点を理解することはますます重要になってきていると思います。
そもそも、採用活動は企業が選ぶという一方的なものではなく、選び選ばれる双方向的なもの、インタラクティブなものであるからこそ、候補者の方々のお声を積極的に取り入れ、採用活動を改善することが重要かつ、成果を出すためには欠かせないものになってきているのではないかと感じています。我々も引き続き、候補者の方々・将来入社いただけるかもしれない潜在的な候補者の方々に対してオープンでインタラクティブな採用活動の実践にトライしていきたいと思います。

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